だいち2号干渉SARによる熊本地震で生じた小変位の地表断層群の抽出(要旨)
Small-displacement linear surface ruptures of the 2016 Kumamoto Earthquake detected by ALOS-2 SAR interferometry
著者
地理地殻活動研究センター 藤原智・矢来博司・小林知勝・森下遊・中埜貴元・宇根寛
測地部 宮原伐折羅・仲井博之・三浦優司・上芝晴香・撹上泰亮
要旨及び本文
【要 旨】
平成28年(2016年)熊本地震(以下「熊本地震」という)では,地下の断層運動に伴って地面が水平方向や鉛直方向に動くさまざまな変位が現れている.この地表変位を人工衛星からのレーダー観測を用いて面的かつ詳細に捉えることによって,地表では,震源の断層運動による地表変位が広域にわたって現れているだけではなく,変位量は小さくとも細かい線状の変位が数多くあることがわかった.これらは地表付近での小規模な断層運動による変位に類似したものであり,こうした地表断層の数は230程にも及んでいる.それらのうちいくつかは既知の活断層と位置や変位の向きが一致しているものの,その数を比べると今回新たに検出された地表断層の数の方がはるかに多いのが特徴である.地表断層は地域ごとに平行に集中して存在するなど走向や変位の向きが似たものが集中して存在しており,地域ごとにグループに分類できる.それらの走向や変位の向きは既知の活断層もしくは直交する共役断層と一致しており,地表断層が存在する地域ごとの応力場と密接な関連がある.検出された地表断層の成因は,熊本地震の震源となった主たる断層とその分岐した断層,もしくは本震や余震によって誘発された二次的な断層に分類できると考えられる.


