干渉SAR時系列解析による微小な変位量で進行する地盤変動監視の実用化へ向けて
Approach for Monitoring of Small Ground Surface Deformation by InSAR Time Series Analysis
著者
測地部 森下遊・鈴木啓
地理地殻活動研究センター 小林知勝
要旨及び本文
【要旨】
国土地理院では,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)のLバンド合成開口レーダー(PALSAR)のデータを使用して,全国の地盤沈下,地すべり及び火山地域を対象に,地盤変動の監視を目的として定常的にSAR干渉解析を実施してきた.今後は2013年度内に打ち上げ予定のALOS-2データを使用して,日本全国を対象にして定常解析を実施する予定である.
従来のSAR干渉解析技術では地盤変動の計測精度が数cmであったため,微小な規模で進行する変動を検出することは困難であった.このような計測精度の問題を改善するために,近年,国土地理院では,SAR干渉解析の発展的手法である「干渉SAR時系列解析」に関する調査・研究を実施しており,より高精度な結果が得られている.しかし,解析技術には発展の余地があり,実用化へ向けてはまだ多くの課題が残されている.
そこで,ALOS-2データを使用した干渉SAR時系列解析による日本全国の地盤変動監視の実用化を目指し,さまざまな誤差低減手法の干渉SAR時系列解析への適用や効率的な解析機能及び出力機能の開発を行った.また,実際にALOSデータを使用して,これらの手法を適用し,関東地方及び九州地方を対象に干渉SAR時系列解析を実施した.その結果,効率的かつ高精度に地盤沈下,地すべり及び火山地域の変動を検出することができ,干渉SAR時系列解析による全国の地盤変動監視の実現可能性を確認することができた.一方,長波長ノイズや山岳地域では良好な結果が得られないといった新たな問題点も明らかになった.今後も干渉SAR時系列解析による地盤変動監視の実用化へ向けて,調査・研究を続けていく.


