最終更新日:2025年1月24日

験潮場のGPS連続観測点を用いた潮位データ解析手法の検討

Analysis of Sea Level Change with Continuous GPS Stations at Tide Gauges

著者

測地観測センター 三浦優司・川元智司

要旨及び本文

【要旨】
 近年,地球環境問題の中で,温室効果ガスの上昇による地球温暖化のシナリオがあり,海面変動の監視は,重要な課題となっている.日本の長期的な海面変動を把握する上での課題が,潮位観測施設(以下,「験潮場」という.)で取得した潮位データには,潮位の変動と験潮場の地盤上下変動の2つの影響が混在しているという点である.長期的な海面変動を評価する場合,潮位データから験潮場の地盤上下変動の影響を補正し,国際地球基準座標系ITRFを基準とした潮位の変動として海面変動量を評価する必要がある.そのような背景から,国土地理院では,1995年頃から宇宙測地技術を用いて験潮場の地盤上下変動を補正し,海面変動成分のみを抽出する検討を実施してきた(国土地理院, 1996).2002年には,験潮場にGPS連続観測点を設置し,験潮場の地盤上下変動をITRFに準拠した座標値として取得できるようになった(験潮場に取り付けられたGPS連続観測点のことを,以下,「GPS-P点」という).
 今回,川元ほか(2009)の手法を用いて,GPS-P点を用いた験潮場の地盤上下変動の除去の他に気圧補正,潮汐補正を行った潮位データを作成し,GPS-P点設置時からの海面変動量の算出を試みた.算出した結果,日本の海面変動トレンドは全験潮場平均で1.1mm/yearであり,最近の研究報告にある全球的な海面変動トレンドとも調和していた.また,各験潮場の海面変動トレンドには地域分布が見られ,日本海側では1mm/yearから3mm/yearの海面上昇の傾向が見られたが,静岡県西部から四国にかけての太平洋側では,海面下降の傾向が見られた.考察の結果,太平洋側の海面下降の傾向の要因として,黒潮の影響が大きく関わっていることが分かった.特に黒潮大蛇行時に神奈川県から四国にかけての7験潮場では明瞭な潮位変化が確認された.一時的に潮位データが変化すると,変化量の大きい潮位データが影響して海面変動トレンドが変わってくることから,黒潮大蛇行といった海流の流路変化に注意すべきである.
  
  本文[PDF:2,206KB]

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