2010年福島県中通りの地震(M5.7)のSAR干渉解析
InSAR Analysis of the 2010 Fukushima-ken Nakadori Earthquake (M5.7)
著者
地理地殻活動研究センター 小林知勝・飛田幹男
測地部 鈴木 啓・野口優子
要旨及び本文
【要旨】
2010年9月29日に発生した福島県中通りの地震(M5.7)に伴う地殻変動を抽出する目的で,陸域観測技術衛星「だいち」の合成開口レーダーデータを用いたSAR(Synthetic Aperture Radar.以下,「SAR」という.)干渉解析を行った.解析の結果,震央近くの戸倉山を中心に12cmを超える衛星-地表間距離の短縮を示す地殻変動が観測された.干渉解析結果をもとに,半無限弾性体中での矩形断層一様滑りを仮定した震源断層モデルを構築したところ,ほぼ南北方向の走向をもつ傾斜角65°の断層面上で,滑り角を約80°とする逆断層成分が卓越する滑りが起きたと推定された.震源断層は戸倉山のやや東の深さ2kmの位置に求められた.モデル計算により推定された断層の深さは,気象庁一元化震源カタログの深さ(約8km)より有意に浅い.8kmの深さではMw5.5相当の断層滑りを与えても位相変化量は最大でも-2cm程度であり,観測量を説明するためには深さ2km付近で断層の滑りが必要であることがフォワードモデル計算からも示された.また,断層運動に伴う地殻変動のほかに,戸倉山東部の斜面の一部に地震性の地殻変動とは異なる衛星-地表間距離の伸長を示す地表変位が観測された.地形傾斜との相関から地滑り性の地表変位と考えられる.斜面の傾斜方向に沿った地表滑りによるものと仮定すると,おおよそ12cmの滑りで観測された変位量の約6cmを説明できる.


