可搬型絶対重力計FG5 による南極における重力測定(IV)
Gravity Measurements with the Portable Absolute Gravimeter FG5 at Antarctica (IV)
著者
測地部 菅原安宏
要旨及び本文
【要旨】
2009年11月から2010年3月までの間,第51次日本南極地域観測隊(The 51st Japanese Antarctica Research Expedition:JARE-51)の夏隊に参加し,昭和基地において通算で6回目の絶対重力測定を実施した.測定に使用した機器は可搬型絶対重力計FG5(#203,#104)2台で,FG5を用いた測定は6年前のJARE-45に続き4回目である.測定は,2009年12月末から2010年1月末までの約1ヶ月間,昭和基地重力計室に設置してある基準重力点「昭和基地」とその予備点の2点において,2台同時連続観測を行った.今回の測定を含む過去4回の測定の結果,全測定値がFG5の拡張不確かさ(測定の信頼性を表すための尺度)の範囲内にあるものの,過去16年間でわずかな重力の減少傾向が検出された.
昭和基地周辺において,2万年前から6千年前までの氷床融解に伴う地殻の隆起現象(Post Glacial Rebound:PGR)と,最近の地球温暖化に伴う氷床融解による地殻の隆起現象が同時に発生していると考えると,各現象の隆起量は,重力と地殻変動のデータを用いて分離できることが報告されている(中田・奥野,2001).試算の結果,PGRは5.3±2.7mm/yrの速度で発生しており,地形学的データから推定されている隆起速度と調和した傾向を示した.


