新潟県中越地震による小崩壊の分布特性 -平成16年新潟県中越地震1:25,000災害状況図のデータを中心に-

The Spatial Distribution of Shallow Landslides Caused by the Mid Niigata Prefecture Earthquake in 2004
- Analyses Focusing on the Data of 1:25,000 scale Damage Maps Prepared by GSI -

地理地殻活動研究センター  岩橋純子・佐藤 浩
Geography and Crustal Dynamics Research Center  Junko IWAHASHI and Hiroshi P. SATO

新潟大学理学部  山岸宏光
Faculty of Science, Niigata University  Hiromitsu YAMAGISHI

要旨

 平成17年12月に地理調査部から公表された「平成16年新潟県中越地震1:25,000災害状況図」(以下、「災害状況図」という。)から、小規模な斜面崩壊約7千箇所のGISデータを取り出し、25mグリッド標高データ(GISMAP TERRAIN;北海道地図株式会社)、5万分の1数値地質図(竹内ほか,2004)を用いて、地形・地質条件に関する統計解析を行い、小崩壊が多発した斜面の傾向を調べた。また、中越地震の数ヶ月前(平成16年7月)に、ごく近隣で発生した豪雨による斜面崩壊地のデータとの比較を行い、地震による小崩壊が起きた斜面の地形的特徴を考察した。その結果、次のような事が明らかになった。斜面傾斜の増大と共に崩壊率が著しく増大し、谷・凹型斜面、次いで、豪雨では崩壊率の低い尾根・凸型斜面で崩壊率が高かった。地質によって崩壊率に差が見られ、また、地層傾斜(dip)によっても違いが見られた。Dipによる違いは、崩壊率の異方性に影響を与えている。

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