GEONETのルーチン解の精度評価

Evaluation of Precision of Routine Solutions of GEONET

測地観測センター
畑中雄樹・山際敦史・湯通堂 亨・宮原伐折羅
Geodetic Observation Center
Yuki HATANAKA, Atsushi YAMAGIWA, Toru YUTSUDO and Basara MIYAHARA

要旨

 2002年度に行われた改造後のGEONET(GPS Earth Observation Network System)の3種類のルーチン解析について,その精度を評価した.最終解では,基線ベクトルのバラツキのRMSは水平成分が約2mm,鉛直成分が約1cmで,基線長への依存性は小さい.速報解のバラツキには基線長に比例する項が,水平成分で2ppb程度,鉛直成分で9ppb程度あるが,200~300km以内であれば,最終解の精度と大きな差はない.迅速解のバラツキは速報解の約2倍であり,24時間分の平均値を取ると速報解とほぼ同程度である.
 現在のルーチン解析には,解析ソフトの固体地球潮汐補正にバグがあるため,年周および日周的な誤差が含まれている.ルーチン解の網スケールには振幅6.5ppb程度の顕著な年周変化が見られるが,その約半分がこの影響により説明される.
 3時間ごとの迅速解の時系列には,日周的なノイズが卓越する.特に,2002年度よりも前に建てられた観測点では,日照に伴うアンテナ架台が熱変形している様子が捉えられている.2002年度以降に作られた二重管構造の架台ではこの影響は小さくなっている.

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