電子基準点の高さについて

Altitudes of GPS-based Control Stations

測地観測センター 湯通堂亨・岩田昭雄・雨貝知美・小島秀基・矢萩智裕・宮原伐折羅・畑中雄樹
Geodetic Observation Center  Toru YUTSUDO, Masao IWATA, Tomomi AMAGAI, Hideki KOJIMA, Toshihiro YAHAGI, Basara MIYAHARA and Yuki HATANAKA

要旨

 平成14年4月に測地成果2000で公開された電子基準点成果の標高には,アンテナ架台固有のアンテナ位相特性が十分には考慮されず,高さ成分に大きなバイアスが生じていた。
 2002年から2003年にかけて行ったGEONETの改造では,アンテナ交換,アンテナ架台取り付け高の統一,新たなアンテナ位相特性モデル(GSIモデル)の作成・適用を行った。これらの改造により上記のバイアスが解消され,測位解の高さ成分に大幅な向上が見られた。
 新しいGEONETが行う定常解析の解のうち,最も精度の良いF2解を用いて電子基準点の標高成果を改算した。さらに結果の整合を電子基準点間の結合点検計算,及び,VLBIのコロケーション結果との差によって評価した。改算結果が測地成果2000と比べ整合性が良いことが確認できたため,2004年7月1日に改訂成果として公開した。
 以上の過程までに,GSIモデルを用いて電子基準点データを解析した際の解の整合性は検証済みである。だが,基本測量及び公共測量では,アンテナ定数のみを用いて電子基準点データの解析を行っている。そこで,アンテナ定数を用いて解析を行った際の解の整合性を検証し,その結果,基本測量及び公共測量で求められている精度が保たれていることを確認した。
 近年リアルタイム解析の普及に伴い,同解析における電子基準点データの需要が増している。そこで,電子基準点と三脚間で後処理キネマティック解析を行い,エポック毎の解析値のばらつきから測位解の精度を検証した。その結果,アンテナ交換後は,衛星配置によらずばらつきが小さくなることが判明した。

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