北海道勇払地区湖沼湿原調査

The Report of Wetland Survey of Yufutsu Area in Hokkaido

地理調査部  酒井 守・山本洋一・松元拓朗・山根清一・中島秀敏
Geographic Department Mamoru SAKAI,Yoichi YAMAMOTO,Takuro MATSUMOTO Seichi YAMANE,Hidetoshi NAKAJIMA

要旨

 日本の国内において,面積1km2以上の自然湖沼は,およそ100を数える。それらの面積はあわせて約2300km2,国土全体の約0.6%を占めている。国土地理院では,1955年調査の琵琶湖以降,2000年調査のシラルトロ沼まで72湖沼の湖沼測量を実施し,1万分1湖沼図を作成している。一方,近年,かつて「不毛の地」と考えられていた湿地・湿原は,野生動植物の生息地であるとともに,汚れた水を濾過し有害なものを取り除き生態系を再生させる,あるいは洪水を受け止め緩和する役割も果たすなど人間生活にとっても貴重な自然として,極めて高い価値が認められるようになり,その保全・持続的利用は重要な課題となっている。このようなことから,これまで情報整備が行われていなかった湿地・湿原地域についても,詳細な地理情報が必要とされている。
 国土地理院ではこのような変化に対応し,従来の湖沼測量に周辺湿地・湿原の総合的な地理調査を加えた「湖沼湿原調査」を実施すべく,全国の湿地・湿原の実態把握や試験調査等の検討を行ってきた。この結果,湖沼湿原調査を,湖沼調査,土地利用調査,地形調査から構成される調査とし,2002(平成14)年度から北海道勇払地区の本格調査に着手し,平成15年度に「勇払地区」全体の調査が完了した。「勇払地区」は,報告書と湖沼調査および土地利用変化図・地形分類図で構成された湖沼湿原データとして最初の成果である。

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