水害調査とハザードマップ基礎情報整備

Flood Damage Survey and Basic Data Collection for Hazard Map

地理調査部   丹羽俊二・市川清次・木佐貫順一・石川弘美
Geographic Department   Shunji NIWA, Seiji ICHIKAWA, Jun'ichi KISANUKI, Hiromi ISHIKAWA

要旨

 戦後になり、陸地測量部が地理調査所(現国土地理院)となってから、測地測量や地図作成のほかに地理調査が始められた。1947年にカスリーン台風による利根川および荒川の洪水調査が行われ、低地の微地形が水害の進行状況、浸水深、湛水期間などと関係があることがわかった。さらに1959年には伊勢湾台風による濃尾平野のデルタの高潮災害が発生し、浸水の範囲がデルタにほぼ一致したので、低地の微地形分類が水害の予測に有効であることがわかった。これをきっかけに「洪水地形分類図」・「地盤高および水防要図」、そして「土地条件図」が作成されるようになった。この後、大きな水害が発生した時には水害状況と微地形の関係を調査するようになった。
 1990年代になって氾濫シミュレーション結果など、水害に対する危険度に関しての資料が河川管理者から公開されるようになった。そして、このシミュレーション結果をもとに洪水ハザードマップが市町村によって現在作成されつつある。
 水害予測に関係の深い低地の微地形についての情報が記載された「土地条件図」をこれらの洪水ハザードマップの作成に活かしていくために、2002年度に川口市周辺について、洪水ハザードマップを作成するために必要な防災地理情報とは何かということを、委員会を設けて検討した。主な検討内容は以下のとおりである。(1)GIS上で防災地理情報を扱うためにデジタルデータで整備していく。(2)微地形の分類を簡略化する。(3)レーザ測量による地盤高データを活用する。

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