レーザースキャナー等による地理情報の取得に関する研究

新規研究課題提案書

(課題提案者が記入)
提案課・室名
問合せ先
課・室名:地理地殻活動研究センター 地理情報解析研究室
住所  :茨城県つくば市北郷1番
TEL:0298-64-5944     FAX:0298-64-2655
担当者名:地理情報解析研究室 神谷泉
研究課題名 レーザースキャナー等による地理情報の取得に関する研究
研究制度名 特別研究
研究期間 平成14年4月 ~ 平成17年3月 (3年間)
(1) 課題分類 (2)近未来の測量技術を進展させる研究開発
(2) 研究開発
 の背景・必
 要性
近年、地上点(地表、建物、樹木等の表面上の点)の3次元座標を直接計測する航空機搭載レーザースキャナーが実用化し、このデータと光学画像を同時に取得できる装置、レーザー光(近赤外線)の反射強度を計測できる装置も登場した。
反射強度は、射出したパルス光に対する最初の反射パルスの強度であり、近赤外光の反射率だけでなく、対象の表面の状態(粗さと透過率)も反映する新しい種類のデータであり(例えば、近赤外光の反射率が高い植物の反射強度は、必ずしも強くない)、その利用が期待されている。一方、これまで、光学画像による地理情報の自動的な取得手法とレーザースキャナーデータ(高さ情報)による地理情報の自動的な取得手法がそれぞれ研究されてきたが、これを併用することにより、より多くの情報が得られると期待される。
基盤的な地理情報の整備は国家的課題であり、これを遂行するため、地理情報の自動的な抽出技術の開発が求められている。特に、地盤高は、近年頻発している都市型水害のシミュレーションに必須なデータであり、その抽出技術の開発は重要である。
(3) 研究開発
 の目的・目
 標
本研究は、レーザースキャナーによる高さのデータ、レーザー光の反射強度及び光学画像の併用による新たな情報の抽出手法の開発を目的とする。具体的には、これらのデータを使用し、建物、道路(道路縁)、地盤高を抽出する手法を開発する。
建物、道路の抽出に関しては、レーザースキャナーによる高さデータのみによる抽出結果、光学画像のみによる抽出結果より優れた抽出結果を得ることを目標とする。
地盤高の抽出に関しては、実用システムに適用可能なレベルのアルゴリズムの開発と作業方法の確立を目指す。
(4) 研究開発
 の内容
共通的な要素技術として、以下の手法を研究・開発する。
(1) 反射強度の利用手法の研究
(2) レーザースキャナーデータと光学画像のマッチング手法の研究
(3) ランダム点形式のデータを直接取り扱う技術の開発
(通常は、ランダム点形式のデータをメッシュ形式にリサンプリングして使用している)

建物に関しては、以下の手法を組み合わせ、抽出を試みる。
(1) 高さデータ、光学画像の領域分割
(2) 高さデータ、光学画像のエッジ検出
(3) 地盤高を基準とした高さデータのレベルスライス
(4) 彩度が低く、レーザー光の反射率が低いアスファルト屋根の検出
(5) 光学画像等を利用した建物と植生の判別

道路に関しては、以下の手法を組み合わせ、抽出を試みる。
(1) 平坦で凹凸の少ない領域の抽出
(2) 道路中心、道路縁の白線、黄線の検出と追跡
(3) 光学画像でのエッジ検出による道路縁の認識
(4) 彩度が低く、レーザー光の反射率が低いアスファルトの検出

地盤高に関しては、以下の手法を組み合わせ抽出を試みるほか、手作業による修正方法等についても検討する。
(1) 地盤部分と建物、植生の分類
(2) 近隣の最低標高の抽出と補間
(3) 地形が、ほぼ平らな面と崖からなると仮定したモデルの作成(地形特性を利用した補間方法)
(5) 研究開発
 の方法、実
 施体制
地理情報解析研究室の研究者(政春室長、神谷主任研究員、長谷川研究員を予定)及び重点研究支援協力員により実施する。データ取得は、外注で実施する。アルゴリズムを明示したプログラム作成についても、一部外注の予定である。
(6) 研究開発
 の種類
基礎研究
(7) 現在まで
 の開発段階
研究段階
(8) 想定され
 る成果と活
 用方針
(1) レーザー反射強度の利用技術、レーザースキャナーデータと光学画像との併用技術
 基礎技術として、後続の応用研究に活用する。
(2) 建物、道路縁の抽出技術
 基礎技術として、後続の応用研究に活用する。
(3) 地盤高の抽出技術
 システム開発を経て、実用に供する。
(9) 研究に協
 力が見込ま
 れる機関名
特になし。
(10) 関係部局
 等との調整
必要に応じ、国土交通省河川局と調整する。
(11) 備考 特になし。

レーザースキャナー研究概要

レーザースキャナー取り組み