最終更新日:2025年3月14日

GNSSアンテナ位相特性とPCV補正

GNSSアンテナ位相特性とPCV補正

概 要

 GNSSを用いた測量において、GNSS測量機の異なるアンテナ機種間による基線解析を行う場合、PCV補正を実施し、アンテナ高の計測も、統一した方法(アンテナ底面高の測定)で実施することにより、高さ方向の精度が向上します。

 作業規程の準則においては、スタティック法及び短縮スタティック法による基線解析では、原則としてPCV補正を行うものとされています。

お知らせ

 令和7年3月14日 電子基準点のアンテナ位相特性モデルがGNSSアンテナ機種と架台の組合せごとに細分化されました。令和7年4月1日以降の電子基準点観測データを使用する場合は新しいアンテナ位相特性モデルが必要となります。

電子基準点PCV補正データのダウンロードhttps://terras.gsi.go.jp/pcv_top.php

PCVとは

 PCVとは、エポックごとにアンテナで受信するGNSS衛星からの電波の入射角(下図における横軸)に応じて受信位置が変化する(下図における縦軸)ことを言います。
 この変化量は、アンテナ機種ごとによって異なり、アンテナ位相特性と呼んでいます。
アンテナ位相特性は、既知の基線ベクトルと観測した基線ベクトルの平均的なずれであるアンテナオフセットとPCV(Phase Center Variation)から構成されます。

アンテナ底面高

 GNSSスタティック測量においてPCV補正を適用する際の器械高は、アンテナ底面高(標石上面等からアンテナ底面基準面までを垂直に計測する [PDF 225KB])を測って下さい。

PCV補正データの入手

 アンテナ底面からL1、L2周波数の位相中心までの長さであるオフセット値及びPCVによる補正量からなるアンテナ機種ごとのテーブル(PCV補正データ)が、国土地理院及び各メーカーから提供されます。
電子基準点のPCV補正データはこちらからダウンロードできます。
https://terras.gsi.go.jp/pcv_top.php

 その他のアンテナのPCV補正データについては、各メーカーや日本測量機器工業会から提供されています。 https://www.jsima.or.jp/GPS/main.htm

国土地理院におけるアンテナ位相特性決定作業

 国土地理院におけるアンテナ位相特性決定作業の内容は「GPSアンテナ位相特性決定作業要領(平成16年9月1日制定、以下「作業要領」)[PDF 221KB]」において定められています。
そのうち、検定に必要な機器は以下の通りです。
  • アンテナ位相特性検定架台(以下、「検定架台」)
  • 標準アンテナ

検定架台

 国土地理院では、作業要領の以下の条件を満たす検定架台の端点5点をつくば市の国土地理院構内に設置しています。
  1. 地盤が安定し、保存に適し、平坦でかつ電波障害が無い。
  2. 端点間の距離は、アンテナ同士の相互干渉を避け、かつ大気遅延量の差が無視できる1mから10mを標準とする。
  3. 端点にはアンテナの設置誤差及びGNSS電波のマルチパスを可能な限り減ずる処置を施すものとする。
 検定架台の端点間の基線値決定については、位相特性が既知のアンテナ(標準アンテナ)・受信機を使用して、1セット24時間観測を2セット行い、セット間の平均値が基線値となっています。(近傍のため、周波数L1のみ使用)

位相特性を決定するための観測

 位相特性が既知である基準アンテナと未知の試験アンテナ(同時に2台以上)を使用し、24時間の観測を1セットを標準とします。解析は位相特性推定モジュール機能を有する精密基線解析ソフトウェアを使用します。
基準アンテナには標準アンテナ(一次標準アンテナと、一次標準アンテナを基準として位相特性が決定されている二次標準アンテナの2種類からなる)を使用します。国土地理院では、一次標準アンテナにはNGS(Antenna Calibrations) でも標準とされているものと同型機種を使用しています。

関連リンク

お問合せ

「GNSSアンテナ位相特性とPCV補正」に関する質問等は、以下のお問合せフォームで受け付けています。
お問合せフォーム(新規ウインドウ表示)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、以下のページからダウンロードしてください。