国土地理院政策懇談会報告書 21世紀の基本測量
~電子国土の実現に向けて~(平成12年12月)
まえがき
20世紀末、基本測量は大きく変化してきた。電磁波測距儀からGPSへ、日本測地系から世界測地系へ、紙地図から数値地図へ、窓口での閲覧からインターネットでの閲覧へと、その変化は非常に大きいものであった。平成6年度に策定された第5次測量長期計画は、阪神淡路大震災後の電子基準点整備の急速な進捗やGISの発達などの急激な変化に対応するため平成11年度に改定されたが、21世紀における基本測量はさらに大きく変化していくものと思われる。
国土地理院政策懇談会(座長:片山恒雄 科学技術庁防災科学技術研究所長)は、技術の進展や社会構造の改革に伴う様々な変化を見据え、国の機関として国土地理院が果たすべき役割を明確に位置付け、21世紀における基本測量の在り方を議論するため、平成11年6月から平成12年12月まで計6回開催された。この報告書は、国土地理院政策懇談会での議論を基に、21世紀の基本測量の在り方について、「電子国土」を中心軸に据えてとりまとめたものである。
「電子国土」とは、行政機関等が所有する地理情報を数値化し共有するとともに、現実の国土の変化を常時取り込むことで、現実の国土とともに変化する、仮想的に構築された国土である。懇談会では、「電子国土」構想について議論する中で、その大きな可能性を認識し、基本測量の範囲に囚われない議論が行われた。報告書では、「電子国土」の概念を示し、その実現に向けて国土地理院が行うべき基本測量や測量行政施策をとりまとめた。