国際協働におけるリーダーシップ

 国際的な大規模災害や地球規模の環境問題への対応は、国際社会における信頼関係を醸成する上で重要なだけでなく、広い意味での我が国の安全保障においても不可欠である。自然災害の外力が大きくかつ狭い国土上に効率的な都市・社会を築くべく、我が国がこれまでに官民をあげて蓄積してきた技術やデータのストックは、他の先進諸国と比べても優れており、世界的な課題の解決に際して、我が国に寄せられる期待は大きい。国土地理院は、防災、地図・測量分野における世界の先駆的機関として、蓄積した技術やデータを有効に活用し、国際的な諸問題の解決のための国際協働においてリーダーシップを発揮する。特に、気候や地形において共通点が多く、地理的、経済的な結びつきが強いアジア太平洋地域の防災活動においては、一層のリーダーシップを発揮する。

アジア太平洋地域の防災活動におけるリーダーシップ

 平成16年12月に発生したスマトラ島沖地震及びインド洋津波は、人類史上類を見ない大災害となった。こうした地球規模の地殻変動により発生する大災害に対しては、周辺国との協働によって対応することが有効である。そこで、アジア太平洋地域においてこれまでに実施してきた国際超長基線測量アジア太平洋地域GPS観測、東アジア・太平洋地域のプレート運動及びプレート内部変形の様式に関する国際共同研究等の地殻変動監視を発展させ、データ収集、解析、情報提供等の一連の流れで行う監視拠点を設置する【詳細】。


 また、スマトラ島沖地震及びインド洋津波のメカニズム解明と被災地域の復興に貢献するため、スマトラ島沖地震津波の特別測地共同観測プロジェクトを着実に推進する。

地図、測量分野の国際協働におけるリーダーシップ

 地球地図の作成や国際標準の策定等の地図や測量の分野での国際協働において、国土地理院は当該分野における先駆的機関として相応の役割を果たす。平成19年に予定されている地球地図全球陸域データ完成を結実させるために、地球地図国際運営委員会*の事務局活動を強力に推進すると共に、開発途上国における地球地図データの活用を支援するための調査を推進する。


 また、国際標準化機構における地理情報の標準化(ISO/TC211)の審議への参画とこれを踏まえた国内標準への対応、アジア太平洋GIS基盤常置委員会(PCGIAP)における事務局業務の推進など、国際協調に関する技術的協議において戦略的対応を推進する。


国際協働におけるリーダーシップ

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