防災・減災対策のための位置情報・地理情報の整備・提供の推進

地震、火山活動、水害等の自然災害から生命、財産を守り、国民の安全・安心を確保することは、国の重要な責務である。このため、地震、火山噴火と密接な関係にある地殻活動の総合的な監視を強化するとともに、自然災害に対する地形等の土地条件に関する情報を整備する。また、これらの情報をはじめ国や地方公共団体等の防災関係機関が保有し、防災・減災対策の検討に欠かせない地理情報を防災関係機関や国民が共有し、いつでも、どこでも活用できる環境の構築を推進する。

1.地殻活動の総合的な監視強化

世界的にも地殻活動が激しい我が国において、地震や火山活動による被害の軽減に資するため、地殻活動の監視、活断層の調査及び地震調査研究等を推進する。特に、これまで監視を強化している東海、東南海・南海地域に加え、平成16年3月に地震防災対策のための特別措置法が制定された日本海溝・千島海溝周辺地域について、GPS連続観測点の増設等による地殻活動の監視強化及び調査研究の強化を図るとともに、機動観測の体制を充実する。

2.防災・減災に資する土地条件に関する情報の整備

我が国は、周辺を海に囲まれ複雑な海岸線を持ち、さらに国土が急峻で降水量も多く、地震による津波や液状化、大量の降水による洪水や崖崩れ等の土砂災害に繰り返し見舞われている。これらの被害の軽減や対策に資するため、地形の成り立ち、低地における詳細な標高等の土地条件の調査を推進する。

また、災害に関連する空間情報の精度・鮮度を確保できるよう、広範囲な情報収集が可能な人工衛星、特に干渉SARをはじめとするデータ活用技術の開発を推進する。

3.防災・減災に関する情報の共有化の推進

災害時において被害をできるだけ軽減するためには、国や地方公共団体等の防災関係機関の持つさまざまな情報を、共通の位置情報に基づいて統合し、共有化を図る必要がある。平成15年6月に運用開始された国土交通省の防災情報の提供サービス(防災情報提供センター)を通じ、地殻活動や土地条件をはじめとするさまざまな情報について更なる情報提供を行うとともに、防災関係機関でさらに簡便に共有・利用できるような仕組みの構築を推進する。
図:防災・減災対策のための位置情報・地理情報の整備・提供の推進