平成17年3月~4月の地殻変動について

発表日時:2005年5月10日(火)16時00分

全国の地殻変動概況

 別紙1~7は、国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網の観測結果から求めた3月上旬から4月上旬の1ヶ月間の地殻変動を表したものです。九州北部で3月20日の福岡県西方沖の地震に伴う地殻変動が見られますが、それ以外の地域では目立った変動は見られません。


トピックス

  • 3月20日(日)10時53分頃に福岡県西方沖で発生した地震(マグニチュード7.0)後に、電子基準点「福岡」でわずかな余効変動が観測されました。4月20日(水)6時11分頃に発生した最大余震(マグニチュード5.8)に伴い、機動観測点「海の中道」でわずかな地殻変動が観測されました。
  • 別紙8[PDF形式:114KB]
    また、緊急測量の結果によると、地震前の三角点測量成果と比べて玄界島の三角点が南方向へ最大約38cm移動していることなど、福岡湾周辺を中心に変動が確認されました。電子基準点の変動から作成した断層モデルによる地殻変動の計算値と今回の三角点の観測結果を比較すると全体的によく一致しています。ただし、玄界島の三角点は一致が悪く、変動には三角点近傍の地盤の変形などの局所的影響を受けている可能性があります。
    別紙9[PDF形式:44KB]
  • 浅間山周辺の東部-嬬恋基線では、昨年10月の後半以降、ゆるやかな伸びの傾向が見られます。なお、東部-嬬恋基線に見られる伸びの傾向は、昨年の春頃から始まり、9月初めの噴火以降停滞していましたが、10月の後半頃から再び伸び始めたように見えます。この伸びの速度は、9月の噴火以前に見られたものと同じ程度に見えます。
  • 別紙10[PDF形式:322KB]
  • 東海地域とその周辺では、昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震(マグニチュード7.4)以降、この地震による余効変動と見られる動きが観測されていました。最近ではこの地震以前の状態に戻りつつあり、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動が継続していると考えられます。
  • 別紙11[PDF形式:113KB], 別紙12[PDF形式:60KB], 別紙13[PDF形式:154KB], 別紙14[PDF形式:56KB]
  • 阿蘇山を取り囲む基線では、2005年に入ってからわずかな伸びがあるように見えます。
  • 別紙15[PDF形式:162KB]

問い合わせ先

国土地理院
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
測地観測センター      地震調査官        畑中  雄樹 (029-864-4825)
地理地殻活動研究センター  地理地殻活動総括研究官  村上  亮  (029-864-2477)
地理地殻活動研究センター  地殻変動研究室長     今給黎 哲郎 (029-864-6925)

補足説明

  • 全国の1年間の地殻変動(2004年3月上旬から2005年4月上旬、別紙16)[PDF形式:66KB]
    • 北海道に見られる変動は平成15年(2003年)十勝沖地震後の余効変動、並びに昨年11月29日及び12月6日に発生した釧路沖の地震によるものです。また、昨年12月14日の留萌支庁南部の地震に伴う地殻変動が北海道北西部地域に見られます。
    • 関東地方から中国・四国地方にかけて、昨年9月5日に発生した東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震に伴う地殻変動が見られます。
    • 昨年10月23日に発生した平成16年(2004年)新潟県中越地震に伴う地殻変動が新潟県周辺に見られます。
    • 福岡県西方沖周辺では、3月20日(日)10時53分頃に発生した地震(マグニチュード7.0)による地殻変動が見られます。
    • 硫黄島に見られる大きめの変動ベクトルは、島内での長期的な地殻変動を表しています。
    • その他の地方では、プレート運動による定常的な変動が見られます。

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、以下のページからダウンロードしてください。