2005年スマトラ島沖地 ニアス島及びバニャク諸島における地震に伴う海岸線変化

衛星レーダ画像によるニアス島及びバニャク諸島の海岸線変化(離水と沈水)概要

1.SAR画像による海岸線変化抽出
 右図はレーダー衛星(ENVISAT:欧州宇宙機関)が2005年2月4日(地震前)と2005年4月15日(地震後)に撮影したインドネシアNias島西部及びBanyak諸島のデータから作成したレーダー反射強度変化を表す画像である。
 反射強度は、表面の粗度(滑らかさ)に依存する。例えば、水面の反射強度は小さく、画像上で黒く表される。
 水色で示した部分は、地震後に反射強度が増加した地域であり、Nias島の北西岸、及び、Banyak諸島Bangkaru島に分布している。
 赤色で示した部分は、地震後に反射強度が減少した地域であり、Banyak諸島<span #ff0000;"="">Tuangku島に分布している。
 地震の断層運動により生じた地盤の隆起・沈降を示していると考えられる。

2.離水及び沈水の距離
 Nias島北西岸には、最大約1kmの離水海岸、及び、長さ約1.5kmの島が出現した。
 一方、Tuangku島の海岸は、最大約100m沈水(水没)した。

3.潮位
 NAOTIDEによる計算潮位は、2月4日が-10cm、4月15日が-4cmである。
 図中の場所による潮位差は6mm未満である。

4.SARデータ諸元
 衛 星:ENVISAT(欧州宇宙機関)
 センサ:ASAR
 マイクロ波周波数:5.30GHz(Cバンド)
 モード:IS6(入射角41°)
 軌 道:北行軌道
 偏 波:VV
レーダー反射強度変化を表す画像

衛星レーダ画像によるニアス島及びバニャク諸島の海岸線変化(離水と沈水)詳細

衛星レーダ画像 トゥアング島北部(1)トゥアング島北部 衛星レーダ画像 バニャ諸島、ニアス島
バニャ諸島、ニアス島
衛星レーダ画像 トゥアング島東部(2)トゥアング島東部
衛星レーダ画像 バンカル島
(3)バンカル島
衛星レーダ画像 ニアス島北西部
(4)ニアス島北西部
それぞれの画像をクリックすると、より鮮明な画像が見られます。
海岸線付近の水色の部分は、隆起により礁(reef)・砂浜が海面上に顔を出した場所です。
海岸線付近の赤色の部分は、沈降(または津波による浸食)により砂浜等が海面下に水没した場所です。

レーダー画像諸元と潮位

ここで使用したレーダー画像は、ESAのENVISAT衛星搭載のASARセンサーが取得したものです。
解析処理は、スイスのgamma社のSAR解析処理ソフトウェアを用いて、国土地理院が行いました。

観測時刻 2005-02-04 15:51UTC 2005-04-15 15:51UTC
軌道方向 Ascending
ビーム IS6
マイクロ波入射角 約41.5度(range依存)
マイクロ波周波数 5.33GHz(Cバンド)
マイクロ波波長 5.6235cm
偏波 VV VV
衛星高度 約787km
入手データレベル Signal Data (raw)
潮位 -10 cm -4 cm

ニアス島北西部の詳細

詳細はこちら  新たに10以上の島が出現しました

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