液状化などの災害リスクが高い場所がわかります ~「明治期の低湿地データ」の整備範囲を大幅に拡大しました~

発表日時:2023年9月21日14時00分

土地の液状化のしやすさや地盤の緩さとの関連が深い区域を抽出した「明治期の低湿地データ」について、これまで公表していた三大都市圏周辺等に加え、新たに神戸市など35地区のデータを公開しました。このデータは、明治期に作成された地図から河川や湿地、田、芦葦(あしよし)の群生地などの区域を抽出したもので、液状化などの土地の災害リスクの高い場所がわかります。
 
 自然災害の多くは、浸水被害や地震による液状化等を例として、地形や土地の元来の性状と密接な関係があることが分かっており、これらの災害リスクを把握しておくことは重要です。国土地理院では、その関係を読み解き、用途に応じて地図に表現し、防災に資する情報※1を整備しています。液状化などの災害リスクが高い場所がわかる「明治期の低湿地データ」※2は、その一環として整備したものです。
 国土地理院は、近代測量技術により我が国の基本図を整備し、更新してきました。明治期の低湿地データは、明治中期以降に作成した縮尺2万分1の地図に表示されている当時の土地利用記号を基に、河川や湿地、田、芦葦(あしよし)の群生地などの低湿地と考えられる区域を抽出し、現在の地図と重ね合わせられるようにしたものです(資料1)。平成25年3月から公開を開始し、これまで三大都市圏周辺等で約3.5万km2のデータを公表していましたが、今回整備範囲を大幅に拡大し、神戸市等35地区の約4.3万km2のデータを新たに公開しました(資料2)。明治中期以降に作成した縮尺2万分1の地図を基にした明治期の低湿地データは公開から10年を迎え、整備完了となります。
 現在は大規模な人工改変による都市化が進み、元の地形や地盤の状況がわかりにくくなっています。一般に過去に低湿地であった場所は、地震による液状化等との関連性が深いとされ、地盤改良等の対策が実施されていない場所ではリスクが高くなります。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震では、実際にかつて低湿地(昔の水域)であった範囲で液状化が発生しました(資料1)。明治期の低湿地データを現在の地図と重ね合わせることによって、液状化等を含めた土地の災害リスクの高い場所を知ることができます。身の回りの災害リスクを知り、防災意識等を高めていただく一助になればと考えています。

※1国土地理院が、これまで整備した防災に資する情報は、右記URLを参照ください。<https://www.gsi.go.jp/kikaku/index.html> 
※2データ作成に使用した明治期の2万分1地図のうち古いものは、地図作成時の位置の基準となる三角点が整備される前に作成されたため、「明治期の低湿地データ」の位置は、場所によってはかなりの誤差(最大100m程度)を含んでいることがありますので注意が必要です。


明治期の低湿地データのホームページ:
https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_meiji.html

「「明治期の低湿地データ」の閲覧(地理院地図)」:

国土地理院のウェブ地図「地理院地図」において、明治期の低湿地データを公開しております。地図と重ねた状態でご覧いただくことが可能です。https://maps.gsi.go.jp/#6/38.350273/135.966797/&base=std&ls=std%7Cswale&blend=1&disp=11&lcd=swale&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

問い合わせ先

〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番 国土交通省 国土地理院
応用地理部 地理調査課長     山田 美隆 TEL:029-864-5934(直通)
応用地理部 地理調査課長補佐  中埜 貴元 TEL:029-864-5936(直通)

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