最終更新日:2024年2月8日

南極地域における国土地理院の重力測量—地球規模の重力場測定への貢献—

Gravity Measurements in Geospatial Information Authority of Japan at Antarctica
—Emerging Technology and Future Vision for Gravity Standard—

著者

測地部  菅原安宏・宮原伐折羅・吉田賢司・山本宏章
京都大学大学院理学研究科  福田洋一

要旨及び本文

 日本の南極地域観測事業は,1957~1958年の国際地球観測年を契機に開始された.国土地理院は,1956年の第1次観測隊から毎次隊員を派遣し,基準点測量,地図作成,重力測量,地磁気測量などを実施して南極地域観測の基盤となる位置情報の整備に貢献している.
 国土地理院は,南極地域の重力の基準を定め,維持するとともに,南極地域の重力場を把握することを目的として重力測量を実施している.南極地域における国土地理院の重力測量は,1956年に国際重力委員会の要請を受けて,第2次観測隊(1957)から計画された.第3次観測隊(1958)ではウォルドン重力計を用いて相対重力測定を開始し,第6次観測隊(1961)ではGSI型重力振子を用いて昭和基地に重力点を設けた.第33次観測隊(1991)では,投げ上げ式GA60絶対重力計を用いて絶対重力測定を開始し,第36次観測隊(1994)では落下式のFG5絶対重力計を導入して第56次観測隊(2014)まで測定を継続している(写真-1).
 本稿では,国土地理院が実施してきた重力測量の足跡をたどり,重力測量に基づいて定められた重力基準について解説するとともに,第56次観測隊の絶対重力測定について報告する.さらに,ほかの機関が南極地域で実施する超伝導重力計による連続観測,海上重力測定,航空重力測定などの概要を述べるとともに,今後の南極地域の重力測量について議論する.

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