最終更新日:2024年2月8日

日本重力基準網2016(JGSN2016)の構築

Establishment of the Japan Gravity Standardization Net 2016:JGSN2016

著者

測地部  吉田賢司・矢萩智裕・平岡喜文・宮原伐折羅・山本宏章
地理地殻活動研究センター  宮﨑隆幸

要旨及び本文

 国土地理院は,全国に等しく正確な重力値を与えることを目的として重力点を設置し,正確な標高を決定する際の重力補正,質量・力・トルクなど計測の国家計量標準の検定,地下構造探査等のための重力測定の基準等,社会や科学で広く活用される重力値を提供している.
 重力基準網は,重力点のネットワークからなる重力の基盤で,国際的な取り決めに準じた正確な重力値を利用者に与える役割を果たしている.1976年に整備した日本の重力基準網「日本重力基準網1975」は,公表から約40年が経過し,その間に生じた地殻変動等によって重力値の変化が累積したために,場所によっては日本重力基準網1975と実際の重力分布の間に0.1mGalに達する乖離が生じている.そこで,最新の測定に基づく信頼性の高い重力値を広く社会に提供することを目的に,「日本重力基準網2016」を2017年3月15日に公表した.日本重力基準網2016は,FG5絶対重力計を用いて全国34か所に基準重力点を設けるとともに,ラコストG型重力計を用いて全国262か所に一等重力点(水準点等に取り付けた分を含む)を設けて空間密度を補い,全国を約70kmの平均間隔で網羅する重力値の基準を実現した.その精度は基準重力点で0.006mGal,一等重力点で0.019mGalと見積もられ,JGSN75と比べて1桁高い精度となっている.

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、以下のページからダウンロードしてください。