最終更新日:2024年2月8日

国土地理院の重力測量の歴史—観測技術と重力基準の変遷—

The History of Gravity Measurement in Geospatial Information Authority of Japan
—Evolution of Observational Technique and Gravity Standard—

著者

測地部  山本宏章・宮原伐折羅・吉田賢司・菅原安宏
地理地殻活動研究センター  松尾功二・宮﨑隆幸

要旨及び本文

 文部省(現文部科学省)の測地学審議会が,1952年に建設大臣(現国土交通大臣)宛てに国内外の重力測定を推進するため「重力測定等のための国際基準点設定について」建議したことを受けて,国土地理院の前身である地理調査所は,日本の重力の測定を開始した.重力測量は,現在まで,広く国内に重力の基準を整備し,維持することを目的に続いている.国土地理院は,基準となる重力点を設けて日本の重力の基準を構築,維持するとともに,水準点や三角点などの国家基準点等で重力測量を行い日本の重力分布を把握してきた. この建議は,測地学における国際協力の重要性を認識して,日本の重力を世界と結合して地球の形状を把握することを目的に,国際的に統一された重力の基準に準拠して地理調査所が国内外で重力の測定を行うというものである.また,重力測量は,国土に重力の基準を与えるとともに,重力分布を把握して正確な標高を決定することによって,測量法に基づいて国土に正確な位置と高さの基準を与えるという国土地理院の使命の遂行に不可欠である.国土地理院は,重力測量によって高さと重力の正確な基準を維持するために,絶え間なく進歩する重力の測定技術や高度化する機器を重力測量に取り入れ,国際的に整合した高精度な重力値を国土に展開することを継続してきた.また,重力分布は標高の基準となるジオイド・モデルの構築に必須であることから,衛星測位の発展に伴うジオイド・モデルを用いた標高決定への需要拡大を受けて,高さの基盤の整備を実現する重力測量の意義が高まっている.国土地理院が60年以上実施してきた重力測量について,測定機器の性能,観測技術及び達成精度を述べるとともに,社会的な意義を解説する.

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