最終更新日:2015年8月19日

平成27年(2015年)桜島の火山活動に伴う地殻変動

桜島の火山活動に伴う地殻変動について

作成:2015年08月19日

観測された地殻変動から推定した変動源モデル(暫定版)

だいち2号による干渉解析結果と、国土地理院の電子基準点(GEONET)及び気象庁のGNSS観測点で観測された地殻変動量に基づき、変動源の推定を行いました。

変動源のモデルとして、矩形のダイク(開口割れ目)を仮定し、位置(水平・深さ)、形状(長さ・幅・走向・傾斜)、開口量について推定を行いました。なお、推定にあたって、通常は地形を考慮しない半無限弾性体として解析を行いますが、今回は観測された地殻変動量に対して地形の影響が無視できない大きさであることが判明したため、変動量が得られた地点の標高を簡易的に考慮した解析を行いました。

観測値と計算値、残差を図1、2(干渉画像)及び図3(GNSS)に、推定されたパラメータを表1に示します。観測された地殻変動から、ダイクは昭和火口の地下に位置していると推定されました。この位置は震源分布とも整合しています。

なお、今回の結果は速報であり、より詳細な分析等により、今後内容が更新されることがあります。
表1. 推定されたパラメータ (位置はダイク中心、深さの基準は標高0m)
経度
(°)
緯度
(°)
深さ
(km)
長さ
(km)

(km)
走向
(°)
傾斜
(°)
開口量
(m)
体積変化量
(m3
130.6672 31.5791 0.80 1.41 0.78 20.0 76.9 1.60 1.76×106

図1-1

図1-1. 干渉画像(2015年1月4日-2015年8月16日)

図1-2

図1-2. モデルからの計算値

図1-3

図1-3. 残差

図2-1

図2-1. 干渉画像(2015年7月6日-2015年8月17日)

図2-2

図2-2. モデルからの計算値

図2-3

図2-3. 残差

図3 国土地理院・気象庁
図3. GNSSによる地殻変動観測値とモデル計算値の比較。(左)水平変動、(右)上下変動
地殻変動量は、2015年8月1~14日の速報解の平均値を基準として、8月16日0時~17日6時の迅速解の平均値と比較して算出した。


だいち2号の観測データは、火山噴火予知連絡会衛星解析グループを通して、JAXAから提供されたものです。
解析:国土地理院 原初データ所有:JAXA

分析に使用した人工衛星

日本の地球観測衛星 「だいち2号」(ALOS-2)

広報・講演・論文発表

Morishita, Y., T. Kobayashi, and H. Yarai (2016), Three-dimensional deformation mapping of a dike intrusion event in Sakurajima in 2015 by exploiting the right- and left-looking ALOS-2 InSAR, Geophys. Res. Lett., 43, doi:10.1002/2016GL068293. [html]

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