1.社会活動の基盤となる国土の情報を整備・提供 ~国土を測り、地図に表現~

(3)だれでも位置が測れる環境を提供する

◇電子基準点(GPS測量の基準)

 電子基準点は、全国1,240箇所(平成21年4月現在)に設置しているGPS連続観測を行う国家基準点であり、各種測量の基準となります。電子基準点は、GPS衛星からの電波を受信し、茨城県つくば市の国土地理院(本院)に観測データを送信しています。
 GPS衛星を利用して位置を求める場合、単独のGPS受信機で測定したときは 10m程度の精度でしか位置が求まりませんが、電子基準点等の観測データを使って解析すると、数mm~数cmの精度で位置を求めることができます。
 電子基準点の観測データは、測量、地殻変動観測(19頁参照)のほか、様々な分野で利用されています。
 また、全国約13万箇所の国家基準点(三角点、水準点、電子基準点等)は、地図作成をはじめ地籍調査や土地区画整理等の位置の基準として利用されています。

拡大する電子基準点の利用分野

 GPS衛星の電波の地上への到達時間は大気中に含まれる水蒸気の量が多くなると遅くなるという性質があります。全国1,240箇所の電子基準点の観測データから算出される水蒸気データを、気象庁は平成21年10月からメソ数値予報に利用しています。

GPS電波への大気中の水蒸気の影響
 ・ GPS衛星から受信機に電波が伝播する際、大気中の水蒸気により電波の遅延が発生
 ・ 受信データを解析して、電波の遅延量を大気中の水蒸気量に換算できる
 ・ 水蒸気の観測データとしてメソ数値予報モデルの初期値解析に利用する

◇三角点(水平位置の基準)

三角点

全国に約108,600点

 

 

三角点の種類

標準的な
設置間隔

設置点数

一等三角点

25km

974点

二等三角点

8km

5,061点

三等三角点

4km

32,364点

四等三角点

1~1.5km

70,222点

    ※設置点数は、平成22年1月1日 現在


◇水準点(高さの基準)

水準点

全国に約18,300点

 

 

水準点の種類

標準的な
設置場所・間隔

設置点数

基準水準点

100~150km

86点

一等水準点

主要国道沿い
約2km

14,683点

二等水準点

国道や都道府県道沿い約2km

3,553点

    ※設置点数は、平成22年1月1日 現在

 

 


◇基準点現況調査

 平成21年度の基準点現況調査事業(補正予算)では、全国の都市地域を中心に約3万点の調査(所在地、所有者、現況写真等)を実施し、基準点の最新情報を、各種測量事業の計画・実施に役立つ資料として提供しています。

◇離島の基準点調査

 平成19年7月に海洋基本法が施行されました。国土地理院は、離島の保全管理に資するため、三角点の新設や既設三角点の再測量を実施しています。

場所情報コードによる基準点の管理

 国土地理院は、位置情報の高度な利活用、基準点の維持管理及び測量作業の効率化を目的に、基準点に場所情報コードを記録したICタグの附設(インテリジェント基準点化)を行っています。
 この場所情報コードは、シームレス測位等での活用が可能です。コードの内容、活用方法及びその運用については、有識者等の意見を聴きながら具体の検討を進めています。