最終更新日:2023年6月21日

3次元点群データの利活用調査

Utilization Survey of Three-dimensional Point cloud Data

著者

基本図情報部  佐々木励起・石塚麻奈・下野隆洋・岸本紀子・小野里正明・菅野秀秋・髙橋英尚

要旨及び本文

 3次元点群データは用途に応じた3次元地図の作成が可能な価値の高いデータであり,多様な分野で活用可能である.地方公共団体においては,その価値に着目し,業務の最終成果として整備・提供を図る動きが出てきている.国土地理院では,3次元点群データの流通促進に資するため,将来の3次元点群データの整備・提供を見据え,適切な提供形態やその効果等について各種検討を進めており,この一環として3次元点群データ利活用調査を行った.
 まず,国土地理院が整備した3次元点群データを公募形式で試験提供し,提供先となる団体の利用実証を通して利活用事例を得るとともに,提供効果,仕様に関する意見等を収集した.また,3次元点群データの利活用状況についてその全体像を捉えるため,社会で使用されている3次元点群データの利活用事例を各種公開資料により調査した.資料だけでは調査しきれない情報については,必要に応じて聞き取りを行った.さらに,3次元点群データの利用実績のある団体に対して,3次元点群データの利活用事例や仕様等のヒアリングを実施した.3次元点群データの要求仕様やデータ利用時の課題,データ提供・公開に係るニーズについても確認した.これらの調査等により把握した3次元点群データの利活用事例,提供効果及び仕様に関する意見等の整理・分析を行った.
 調査の結果,地表面の様子が判読しやすい色付きかつ間引き無しの高密度生データと,地形解析に利用しやすい1mメッシュDSM(Digital Surface Model,数値表層モデル)・DTM(Digital Terrain Model,数値地形モデル)に対するニーズが多かった.提供に関する技術的課題としては,3次元点群データの容量の大きさに起因するデータの保管や提供手段としての通信の困難さが挙げられ,ファイルへの適切なメタデータの付与・小容量となるような分割や,クラウド等を利用したインターネット通信による提供方法の整備への要望があった.3次元点群データの普及の観点では,データの閲覧・処理が可能なオープンソースソフトウェアやブラウザ上で稼働するWebアプリ等の必要性が指摘された.

  本文[PDF:1,204KB]

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