新潟県中越地震で生じた斜面崩壊と地質,積雪深等データの重ねあわせ

地理地殻活動研究センター
佐藤 浩・関口辰夫・神谷 泉・長谷川裕之
Geography and Crustal Dynamics Research Center
Hiroshi P. SATO, Tatsuo SEKIGUCHI, Izumi KAMIYA, Hiroyuki HASEGAWA
参事官  秋山 實
Deputy Director General  Minoru AKIYAMA
日本地図センター  小白井亮一
Japan Map Center  Ryoichi KOJIROI

要 旨

 国土地理院の災害状況図に基づき,旧山古志村を中心とする東西約14km,南北約18kmについて1,353カ所の斜面崩壊を抽出するとともに2列の崩壊多発帯を確認した.斜面崩壊の疎密は,本震のモデル断層面すべり量の大小と対応しなかった.地質との関連を調べるため,空中写真判読に基づき斜面崩壊を6分類したところ,表層崩壊が圧倒的に多かった.地震前の地形データから地震後の地形データを差し引いた結果,旧山古志村東竹沢,寺野,梶金,旧広神村一ッ峰沢の斜面崩壊(地すべり)において,見かけの土砂移動量は,それぞれ56万m3,22万m3,177万m3,69万m3と見積もられた.
 地震による斜面の不安定化に伴い,今後の融雪期には,土砂が雪崩に巻き込まれて斜面下方に移動する恐れがある.そこで,雪崩の発生に関わりが深いと考えられるデータ(積雪深,傾斜,土地被覆,雪崩地形)を重ね合わせ,雪崩の発生域ほど高得点となる図を作成した.その結果,集落どうしを結ぶ道路沿いには,高得点の斜面が存在することが判った.


 

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