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都市圏活断層図Q&A

都市圏活断層図Q&A

 都市圏活断層図に関し、これまでに国土地理院に寄せられた質問等をもとに図の内容や精度、活断層に関するQ&Aを作成しましたので、都市圏活断層図を利活用する際の参考にしてください。今後、随時追加していきます。 

Q.都市圏活断層図はどのような調査方法で作成しているのですか?
Q. 都市圏活断層図には、その地域に存在している活断層がすべて表示されているのですか?
Q. 黒線(推定活断層)は、活断層なのですか?
Q. 私の家のところが橙、緑に塗られていますが、どういう意味ですか? また、なぜ地形を分類して表示しているのですか?
Q. 都市圏活断層図に表示している活断層線は、最新の情報に基づいているのですか?
Q. 都市圏活断層図に表示された活断層線の位置精度は、どの程度ですか?
Q. 家の近くに活断層があるかどうかを調べるのにどうすればよいですか?
Q. 活断層線の上が危険で、線の上でなければ大丈夫なのですか?
Q. 活撓曲(かつとうきょく)とは何ですか? また、活撓曲が活動した場合、どのような被害が起きるのですか?
Q. 活褶曲(かつしゅうきょく)とは何ですか? また、活褶曲が地震を起こすことはあるのですか?



Q.都市圏活断層図はどのような調査方法で作成しているのですか?
A.
活断層の存在を調べる方法として、空中写真から「断層変位地形」の痕跡を確認する空中写真判読調査、地面に深さ約数m程度の調査溝(トレンチ)を掘って壁面の地層の観察から活断層の過去の活動を調べるトレンチ調査、弾性波・重力・磁気・電波などを用いて地下の状態を探る物理探査法などがあります。
 都市圏活断層図は、主に空中写真判読調査により活断層の存在を調査しています。空中写真は国土地理院が所有している昭和20~30年代の、なるべく古く縮尺の大きい空中写真(最大で1万分1)を使用し、まだ都市開発などによる人工的な改変が進んでいない自然の地形を読みとります。また、各都道府県や大学、研究機関等による研究成果も参考にしています。あわせて、一部の地域においては、精密な標高データを用いて余色立体図、陰影図、傾斜段彩図等を作成して判読作業を支援しています。
 なお、活断層の判読では調査者による解釈の偏りが生じないよう、複数の調査者により互いに検討(クロスチェック)や確認をして、結果を2万5千分1地形図又は電子地形図25000上にまとめています。
 
「米沢」と余色立体図


Q.都市圏活断層図には、その地域に存在している活断層がすべて表示されているのですか?
A.
調査時(図作成時)に確認された活断層は、すべて表示しています。しかし、図で緑系統の色で塗られた部分(沖積低地、扇状地)は、川が運んできた土砂などによって最近数千年間に形成された比較的新しい土地ですので、調査で確認できなかった未知の活断層が埋もれている可能性も残されています。
 また、最近の地層に覆われていなくても、規模が小さな活断層は活動しても地表に明瞭な痕跡を残さないことがあり、一方で規模が大きくても地表にはっきりとした痕跡が残らない場合も知られており(2000(平成12)年鳥取県西部地震や2008(平成20)年岩手・宮城内陸地震など)、都市圏活断層図に表示されているものがすべてであるとは言い切れません。
 さらに、都市圏活断層図の調査が1995(平成7)年に始まってから約20年を経過しています。都市圏活断層図の公開後にトレンチ調査や物理探査が進められ、新たな知見が得られている活断層もあります(特に初期に公開した図)。

Q.黒線(推定活断層)は、活断層なのですか?
A.
黒線は、活断層である可能性はありますが、河川の浸食など他の原因でできた地形であるとも考えられ、図の調査をした時点では活断層であると明確に特定できなかったものです。
 都市圏活断層図では、赤線の活断層の他に、3種類の黒線の推定活断層を表示しており、各々の定義等は下記の表の通りとなっています(平成16年調査までは「推定活断層(地表)」「推定活断層(地下)」の2種類)。
 
推定活断層の定義
 


Q.私の家のところが橙、緑に塗られていますが、どういう意味ですか? また、なぜ地形を分類して表示しているのですか?
A.
都市圏活断層図には、活断層の位置と活断層の存在を評価するうえで重要な指標となる主要な地形分類を表示しています。
 地形分類のうち、橙色は段丘面を指しており、かつて河原(または海岸)だった場所が、過去の地面の(あるいは海面の高さの)変動によって相対的に持ち上げられてできた平坦な土地で、一般的には形成年代が古くなるほど地盤が良いといえ、また浸水の影響を受けなくなります。どの段丘面を活断層が変形させているかによって、断層の活動時期や平均的なずれの速度を知る手がかりとなります。
 緑色は過去数千年間に海・湖や川が山地・丘陵を削り、運搬してきた土砂を堆積させて形成した沖積低地や扇状地・沖積錐などの地形です。一般的に緑色の地形は橙色の段丘面と比較して地盤が悪く、遠くで起きた地震でも地震波が増幅されて、大きな被害が発生することもあります。そして、このような地域には、地表に明瞭な痕跡がなくても地下に活断層が埋もれている場合もあります。また、山地・斜面等は塗色しておらず、白部として表現しています。
 以上のように、地形分類からおおよその地盤の条件を読み取ることができるので、地震による揺れの振幅に関する大まかな情報が分かるほか、長い目で見た地面の動き(地殻変動)に関わる情報も得ることができます。
 
「赤穂」
地形分類の定義
 

Q.都市圏活断層図に表示している活断層線は、最新の情報に基づいているのですか?
A.
活断層に関する調査は国土地理院以外の機関でも実施しており、その調査によって新たな知見が得られる場合があります。都市圏活断層図では、空中写真判読調査による活断層の抽出のほか、各機関が実施した調査成果等も取り入れ、調査時点での最新情報として公開していますが、公開後に新たな知見が得られた場合、その情報は反映されていません。
 なお、なるべく新しい情報を提供するため、第2版や改訂版として情報を修正・追加した図も公開していますが、これらの図についても調査時点の情報としてご利用ください。

都市圏活断層図に表示された活断層線の位置精度は、どの程度ですか?
A.
都市圏活断層図では、3種類の赤線で活断層を表示しており、各々の定義と位置精度等は下記の表の通りとなっています。
 
活断層の位置精度
 
「南相馬」


Q.家の近くに活断層があるかどうかを調べるのにどうすればよいですか?
A.
日本全国で約2000以上の活断層が存在していると言われていますが、そのうちの一部の地域を調査して都市圏活断層図として公開しています。お住まいの場所が都市圏活断層図の調査範囲に含まれていれば、国土地理院ホームページの地理院地図から、または都市圏活断層図ホームページの整備地域から都市圏活断層図を閲覧でき、活断層の存在の有無を調べることができます。
 調査範囲外の場合は、他機関(例えば、文部科学省地震調査研究推進本部(独)産業技術総合研究所 活断層・地震研究センターなど)のホームページや「新編 日本の活断層」などの書籍をご参照下さい。
 なお、調べて近くに活断層がないから大丈夫、と言いたいところですが、活断層の活動による地震に限らず、遠く離れた場所で発生した地震でも地盤条件によっては地震動の揺れで被害が発生することもあります。また、地下に埋もれていて地表に現れていない活断層もありますので、引き続き地震に対する備えは必要です。

Q.活断層線の上が危険で、線の上でなければ大丈夫なのですか?
A.
活断層による内陸地震が発生した場合、被害が及ぶ範囲は活断層線の上だけではありません。活断層が動くことで生じる地表のズレによる直接的な被害の他に、地震動による被害が広範囲に生じることがあります。
 日本の都市の多くは平野部に広がっています。この平野部は柔らかい地層(沖積層)に覆われており、遠方から来た地震波は岩盤の上にある沖積層によって増幅されて地面の揺れが大きくなり、建物被害が激しくなることがあります。また、その地盤条件によって液状化を発生させることがあり、地震の規模によっては、被害が都府県をまたぐような広範囲に及ぶ場合もあります。
 都市圏活断層図は、活断層の情報の他に地形分類を表示していますので、地形からその地盤の性状を推測することができます。

Q.活撓曲(かつとうきょく)とは何ですか? また、活撓曲が活動した場合、どのような被害が起きるのですか?
A.
活断層による地震が発生した際に、段差を伴った地表地震断層(例えば、濃尾地震(1891年)の根尾谷断層や兵庫県南部地震(1995年)の野島断層など)が出現するほか、地表が未固結堆積物(軟らかい堆積物)に覆われている場合に段差ではなく”たわみ“として現れる場合があります。このように断層活動によって形成された”たわみ“を「活撓曲」と呼び、活撓曲で形成された緩やかな崖地形を「撓曲崖(とうきょくがい)」と呼びます。都市圏活断層図では、撓曲崖の基部を赤細実線で表示し、傾動範囲と向きを赤薄色と赤矢印で示しています。
 活撓曲の地下にある断層が活動した場合、地表面に明確な断層線は現れませんが、地表が変形します。また、地下には活断層が存在しているので、土地が傾いたり、小さな割れ目が生じたりすると考えられます。なお、通常の活断層と同様に地震動による被害はこの周辺域で生じます。
活撓曲の模式図
 
「秦野」


Q.活褶曲(かつしゅうきょく)とは何ですか? また、活褶曲が地震を起こすことはあるのですか?
A.
水平に堆積した地層が、長い間にわたって圧縮されて波状に変形した地質構造を褶曲(しゅうきょく)、それを生じた地殻変動を褶曲運動と呼びます。そして、現在も褶曲運動が続いていることが確認されている褶曲を活褶曲と呼んでいます。都市圏活断層図では、地形の形状により背斜(はいしゃ)、向斜(こうしゃ)に分類し、黒長線・黒細矢印で表示しています。
 下の図は信濃川下流地域で活褶曲が顕著に見られる地域の都市圏活断層図の一部です。この図では、上位段丘面の部分は背斜状に、中位段丘面の部分は向斜状に変形しています。太い黒矢印は、褶曲運動に伴う段丘面の傾きを示しています(傾動(けいどう)方向)。
 活褶曲付近の地下には断層が隠れていることが多く、この断層が活動した場合、地震を発生させ、周辺で激しい揺れが生じます。なお、活褶曲の線は地形の変形の認められる範囲で背斜、向斜の軸を示しています。
 
活褶曲の記号
 
「長岡」「小千谷」
【作成】 国土地理院応用地理部・全国活断層帯情報整備検討委員会
【都市圏活断層図Q&A作成に参考にした資料】
 池田安隆・島崎邦彦・山崎晴雄(1996):「活断層とは何か」.東京大学出版会.220p.
 岩橋純子・佐藤 忠・内川講二・小野 康・下地恒明・星野 実(2011):航空レーザ測量のDEM から作成した余色立体図等を用いた変動地形の観察.国土地理院時報121集,143-155.
 岡田篤正(1979):愛知県の地質・地盤(その4)(活断層).愛知県防災会議地震部会.122p. 活断層研究会編(1991):「新編日本の活断層-分布図と資料-」.東京大学出版会.437p.
 

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