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活断層とは何か

活断層とは何か?

地震国日本と活断層

 日本及びその周辺では、世界で起こっている地震の約1/10にあたる数の地震が発生しており、観測体制が整った明治以降でも多くの人的・物的被害をもたらす地震が発生しています。なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
 地球の表面は、「プレート」と呼ばれる板のような岩の層で覆われていますが、日本は海のプレートである太平洋プレート、フィリピン海プレートや陸のプレートである北米プレート、ユーラシアプレートなどの複数のプレートが接する境界に位置しています。海のプレートは、陸のプレートの下に1年間に数cmから10cm程度のゆっくりとした速度で沈み込んでいきますが、引きずりこまれた陸のプレートの先端部にひずみがたまり、100年~200年ぐらい経つとこのひずみの蓄積に限界がきて壊れてずれ動き、陸のプレートの先端部が跳ね返ります。このときの衝撃で起きるのが「海溝型地震」で、2011年東北地方太平洋沖地震のような巨大地震につながるケースがあります。また、沈み込む海のプレート内部で発生するのが「プレート内地震」です。日本列島は、プレートの移動により圧縮され、その押し合う力によって日本列島をのせている陸のプレート内の岩の層が壊れてずれることにより「内陸型地震」が発生します(図-1)。この地震は、地下約5~20㎞ぐらいの浅い所で起きるため、私たちの生活に大きな被害をもたらします。ここでは、この「内陸型地震」を起こす原因である「活断層」について説明します。
図-1海溝型地震、プレート内地震、内陸型地震の模式図(岡田(2012))

断層と活断層の区別

 私たちが住んでいる街の地面を掘り下げていくと最後は固い岩の層にぶつかりますが、この岩の中にはたくさんの割れ目があります。通常、この割れ目はお互いしっかりかみ合っていますが、ここに「大きな力」が加えられると、割れ目が再び壊れてずれます。この壊れてずれる現象を「断層」活動といい、そのずれた衝撃が震動として地面に伝わったものが地震です。また地下深部で地震を発生させた断層を「震源断層」、地震時に断層のずれが地表まで到達して地表にずれが生じたものを「地表地震断層」と呼んでいます(図-2)。そして「断層」のうち、特に数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを「活断層」と呼んでいます(第四紀(260万年前以後)中に活動した証拠のある断層すべてを「活断層」と呼ぶこともあります)。
 現在、日本では2千以上もの「活断層」が見つかっていますが、地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんあります。国の研究機関や大学では、この「活断層」に関する各種調査を行っていますが、国土地理院では「地表における活断層の位置と形状」を詳細に調査して、「都市圏活断層図」として公開してきました。
図-2地震断層と震源断層(松田(1995))

活断層の特徴

 活断層には以下の特徴があります。
(1)一定の時間をおいて、繰り返して活動する
 活断層は普段はじっとしています(断層面が固着している)が、断層面を挟む両側の岩盤には常に大きな力(ひずみ)がかかっています。そしてこのひずみが限界に来た時に岩盤が破壊され、断層に沿って両側が互いに反対方向にずれ動きます。この動きで地震が発生し、ひずみは解消されます。その後、活断層は長く動きを止め、次にひずみの限界が来るまでじっとしています。
(2)いつも同じ向きにずれる
 活断層にかかる力のもとはプレート運動で、その運動の向きや速さは長期的には変化しないので、活断層にかかる力も長期的には変わりません。このため、活断層の活動は基本的には同じ動きが繰り返されます。活断層周辺の地形は、このように繰り返された動きの累積により形成されたもので、地形を見ることで活断層の動きの特徴を把握することができます。
(3)ずれの速さは断層ごとに大きく異なる
 活断層が1回動いて生じるずれが数mであっても、それが繰り返されると、ずれの量は累積して次第に増加します。この増加していく速さ(平均変位速度)は断層ごとに大きな差があります。「平均変位速度」は、長期的に見た場合の活断層の平均的なずれ量を速度で示したもので、通常は1000年あたりのずれの量で表します。これによりその活断層の活動度が分かります。
(4)活動間隔は極めて長い
 私たちが住んでいる日本は、しばしば直下型の大地震に見舞われるため、活断層が頻繁に動く印象を与えていますが、これは日本に活断層の数が多いためで、実は1つの活断層による大地震発生間隔は1000年から数万年と非常に長いのが特徴です。一方、海溝型地震の発生間隔はこれよりずっと短く、例えば南海トラフを震源とする地震の発生間隔は100年程度で、歴史時代に巨大地震(南海地震、東南海地震)を何回も発生させてきています。
(5)長い断層ほど大地震を起こす
 断層の長さが長いものほど、大きな地震を起こす可能性があります。これまでの日本の内陸直下地震の例では、M7級の地震では長さ20㎞程度、M8級の地震では長さ80㎞程度の範囲にわたって地表のずれ(地表地震断層)が現れている例があります。

活断層の種類

 活断層は、断層運動の変位様式によって下の4つの基本タイプに整理できます(図-3)。
図-3断層運動の変位様式による活断層の基本タイプ

 また、地表近くの地層が軟らかい場合などでは、活断層のずれが地表まで到達せず、断層運動による変位が軟らかい地層内で拡散する場合があります。この場合には、ある程度の幅をもった撓み(たわみ)として現われます。これを活撓曲(かつとうきょく)と呼んでいます。活撓曲は地下に断層面が伏在していますので、通常の活断層と同様に地震による被害を発生させると考えられています。また、地層が波状に変形することを褶曲(しゅうきょく)といい、特に、活断層と同様に現在も変形を続けている波状地形を活褶曲(かつしゅうきょく)と呼び、背斜(はいしゃ)と向斜(こうしゃ)があります(図-4)。
図-4その他の活構造のタイプ

断層活動により形成された地形(断層変位地形)

 活断層が動くと地表に食い違い(変位)が生じることがありますが、断層運動の繰り返しで形成された地形を断層変位地形といいます。断層変位地形は、断層の活動度、変位様式などによってさまざまな地形が認められます。日本はその気候の特徴から浸食・堆積作用を受けやすいため、断層の活動度が低い場合には変位地形が不明瞭となったり、痕跡がなくなったりすることがあります。
 図-5は、水平方向のずれの大きな横ずれ断層運動によって形成される地形の模式例を示したものです。空中写真判読による活断層調査は、2枚の空中写真を実体視しながら地形を細かく観察し、例えば下流の方が上流より高くなっている河川地形や、水の流れに直交する崖など、その形成過程が通常の浸食や堆積の作用では説明できない地形を探し、それが図-3、4で図示している断層変位地形として説明できるかどうかを判定します。さらに、その変位が数10万年前以降で現在まで累積されているか、今後も活動を繰り返す可能性があるかなどを検討して活断層であるかどうかを判定します。
図-5右ずれ断層による変位地形の諸例

参考文献
池田安隆・島崎邦彦・山崎晴雄(1996):「活断層とは何か」.東京大学出版会.220p.
岡田篤正(1979):愛知県の地質・地盤(その4)(活断層).愛知県防災会議地震部会.122p.
岡田義光(2012):「日本の地震地図 東日本大震災後版」.東京書籍.223p.
活断層研究会編(1991):「新編日本の活断層-分布図と資料-」.東京大学出版会.437p.
松田時彦(1995):「活断層」.岩波書店.242p.
溝上 恵監修(2005):「地震の大常識」.(株)ポプラ社.143p.

都市圏活断層図 利用の手引もご利用下さい。
 

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