最終更新日:2019年4月5日

採用担当Facebookアーカイブス 特集記事1 (2017年7月~2019年2月)

地図と測量の「未来はこうなる!?」~幹部と若手で自由に語る~

地図と測量の「未来はこうなる!?」~幹部と若手で自由に語る~ 1

総務部 人事課 笠嶋さん

2019年1月22日公開→Facebookで見る
総務部人事課の笠嶋(平成12年採用)です。
今年は「近代測量150年」に当たる年です。明治政府が近代測量を始めてから150年、伝統が脈々と引き継がれ、今の地図・測量につながっています。では、未来の地図・測量はどうなっていくでしょう?みなさんは考えたことがありますか?

150年の節目にあたり、部署も担当業務も違う若手職員で「未来の地図と測量」をテーマに議論する機会が設けられました。昨今、世界の情勢は大きく変わりつつあります。技術の発展はめざましい一方で、社会には多くの課題があり、その中で今後の地図・測量や国土地理院の仕事はどうなっていくのか、どうしていくべきなのか。若手それぞれが自由に考えを発表し、院長を含めた幹部や先輩職員からも様々なアドバイスをいただきながら議論を進めました。

実際に未来がどうなるか誰にも分かりませんよね。ただ、これから国土地理院で仕事をするうえで、今ある課題や理想とする未来の地図・測量の実現のためにできることを考え、意見を交わすことは、とても大切なことだと思います。
今回の議論で若手が検討して幹部へ語った未来・・・この記事を含め全4回でご紹介します!

部署も担当業務も違う若手職員で「未来の地図と測量」をテーマに議論している風景

院長室にて

 

#国土地理院_業務紹介 #未来の地図と測量 #測量 #近代測量150年

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地図と測量の「未来はこうなる!?」~幹部と若手で自由に語る~ 2

測地部 宇宙測地課 酒井さん

2019年1月25日公開→Facebookで見る
測地部宇宙測地課の酒井(平成23年採用)です。
地図と測量の「未来はこうなる!?」、2回目は地理空間情報の3次元化・リアルタイム化についてです。

現在でも自動運転の実用化に向けた取り組みが官民あげて進められているところですが、将来はそれに加え3次元のナビゲーションやドローン宅配なども一般的になっていることが期待されます。また、誰でもいつでも位置情報があらゆるデバイスで取得が可能になり、地理空間情報が日々の生活にこれまで以上に身近で必要不可欠になることが考えられます。そういった変化に対して我々は何をしていくべきなのでしょうか。

自動運転やドローン宅配などのサービスには、現在の2次元の地図だけではなく、高さ方向の情報を持つ3次元の地理空間情報が必要となります。様々な精度をもつ膨大な量の地理空間情報が集まる中で、用途に応じて必要な精度の情報を利用して、ズレのない信頼できる地理空間情報が利用できることを担保する必要があると考えました。さらに、地殻変動により地面が常に動いているため整備した地理空間情報はその瞬間から古くなっており、高精度な情報が求められるサービスにおいては、地理空間情報をリアルタイムで更新していくことも安心してサービスを用いるためには重要です(参考:「正しい位置なのにズレる? ~ドラマで描く地図と位置情報の未来~」 https://www.youtube.com/embed/aufjVgjk1fU?rel=0)。

信頼できる地理空間情報を利用するためのプラットフォームを整備していくことで、便利なサービスを安心して使える豊かな社会が実現できればと思います。

地図と測量の「未来はこうなる!?」 地理空間情報の3次元化・リアルタイム化について

 

#国土地理院_業務紹介 #未来の地図と測量 #測量 #近代測量150年

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地図と測量の「未来はこうなる!?」~幹部と若手で自由に語る~ 3

測地観測センター 電子基準点課 村松さん

2019年1月29日公開→Facebookで見る
測地観測センター電子基準点課の村松(平成25年採用)です。
地図と測量の「未来はこうなる!?」、3回目は防災に関することです。

どれだけ技術が進歩し、社会が変わっても、最も重要なものが人命であることは変わりません。また、気候変動等により深刻化する気象災害、発生が迫っていると言われている南海トラフ地震など、自然災害の発生自体を防ぐことは困難でしょう。だからこそ、自然災害に対する備えは今後ますます重要になると考えました。防災における未来の地図や測量の役割を主に2点、議論しました。

1つ目は、発災前に防災意識を持ってもらうことです。ハザードマップや防災アプリなど、防災に役立つ情報・ツールは整備されてきています。一方で、発災時の実際の行動の最終判断は、個人によるものとなってしまいます。発災時に身を守るためには、正確な判断ができるよう、一人ひとりが普段から防災の知識を持つことが重要と考えられます。国土地理院の地図に描かれる活断層や火山、河川によって形成された低地など、私たちの身の回りの災害の「種」を意識してもらえるような情報の発信をすべきだと考えました。私たちの心理は非日常の災害に対して「自分は大丈夫」と考えてしまうことが多く、地図等を利用して平時の防災をどのように啓発できるのか、議論が尽きない部分もありました。

2つ目は、発災時に少しでも早く、正確な情報を届けることです。これまでも国土地理院は航空写真や地殻変動情報などの情報を発災時に伝えていますが、ICTも活用しながら、より早く正確な国土の情報を得られる技術・施設を整備することが必要です。併せて、不確実な部分のある速報的な情報の伝え方や、発災直後でも伝わる内容を検討するなど、多岐にわたる論点がありました。

議論を通じて感じたことは、自然災害への対策が抜本的に変わることは難しいことです。様々な分野が防災を意識することで、1歩ずつでも災害に強い社会を目指したいですね!

地図と測量の「未来はこうなる!?」 防災について

 

#国土地理院_業務紹介 #未来の地図と測量 #測量 #近代測量150年

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地図と測量の「未来はこうなる!?」~幹部と若手で自由に語る~ 4

応用地理部 地理情報処理課 栗栖さん

2019年2月1日公開→Facebookで見る
応用地理部地理情報処理課の栗栖(平成19年採用)です。
全4話で投稿してきた「未来はこうなる!?」最終話の今回は、「地理空間情報の活用が生み出す未来」についてです。

今の世の中にも膨大な地理空間情報がありますが、将来は情報通信技術の進歩も加速することでより膨大な地理空間情報(ビックデータなど)の活用が期待されています。膨大な地理空間情報が様々な分野で活用されることで、イノベーションが起こり想像を超えるような多くの便利なサービスが生み出される未来が待っているでしょう。また、インバウンドの増加や高齢化社会など情報の受け手の多様化が進む中、老若男女にわかりやすい情報が求められ、直感的で伝わる情報が広がる未来になるでしょう。
そんな魅力溢れる未来につなげるためには、私たち情報を提供する側が必要な人にきちんと伝わる分かりやすい地理空間情報を提供する必要があることはもちろん、既に地理空間情報を活用している分野だけでなく様々な分野との連携により付加価値をつけて多くのユーザに活用いただくことも重要です。どんな世の中でも、どんな便利なサービスでも、最終的な情報の受け手は人です。地理空間情報の恩恵が限られた人間だけでなく皆にいきわたるようにするためには、将来地理空間情報のユーザとなる子供達への教育支援も力を入れないといけませんね。

若手で2ヶ月にわたって行ってきた議論の様子を全4話で紹介してきました。
しかし、刻々と変化する世の情勢をふまえて将来を検討することに終わりはありません。今回の議論にとどまらず、通常業務を行う中でも常にアンテナを高く保ち、国土地理院の内外問わず様々な人と意見交換を続けていくことが重要です。採用希望者の皆さんと一緒に未来を語ることができる日が来ることを楽しみにしています。

「未来はこうなる!?」 「地理空間情報の活用が生み出す未来」について

 

#国土地理院_業務紹介 #未来の地図と測量 #測量 #近代測量150年

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参事官メッセージ

【業務紹介】参事官ってどんな職?(参事官メッセージ[1])

2018年12月7日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。今日は国土地理院幹部の参事官の紹介です。

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国土地理院で参事官をしている鎌田です。
参事官といっても、一般の方にはどういう立場でどんな仕事をしているのか分からないと思います。実は、国の役所は仕事の範囲が法律である程度まで決められています。参事官の場合は、国土地理院組織規則という法律より少し下のランクの文書(正確には「省令」と言います)で、院長の指示のもとで国土地理院の大事な仕事について企画立案に加わる、というようなことが定められています。
実際には、予算の要求、測量の計画と実施、災害対応など、国土地理院としての意思決定を行う際に院長とともに検討するような仕事が多いです。決定権は院長が持っていますが、私は決定に至るまでの間、議論を整理したり皆と一緒に考えたりすることが多いです。その意味では、院長を司令官とすると参謀長のような立場になります。
直ちに決定に至らない場面でも、いろいろ事前に相談や調整が必要になることがあります。実際は一日中、部長や課長だけでなく、課長補佐その他の若い職員も相談にやって来ます。それらの人の話をよく聞いて、どこに課題があるのかを整理し、その解決に向けて何をすれば良いのかなどをアドバイスすることも重要な仕事です。

執務室にて
国土地理院の場合、部長以上は個室で執務を行います。

講師として講演することも

 

#国土地理院_業務紹介 #国土地理院_参事官

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【測量のうつりかわり 1】(参事官メッセージ[2])

2018年12月14日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。鎌田参事官による、測量のうつりかわりについての紹介シリーズが始まりました。

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参事官の鎌田です。前回は私の普段の仕事を簡単に紹介しましたが、今回から数回に分けて、測量のうつりかわりを紹介したいと思います。近代の測量は伊能忠敬が有名ですが、政府が国家事業として測量を開始したのは明治2年のことです。今回は、その前後の話から始まります。

 もともと地図は、図形の相似という考え方を利用しています。相似で変わらないものは[1]角度と[2]辺の長さの比です。図形の相似や合同は、三角形の合同条件、特に二角挟辺相等(一組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいこと)が基本になっています。これは、立ち位置を変えると見え方が変わることから、数学の知識がなくても想像できる概念です。
 初期の地図は、お互いに見通しの利く2地点に据えた三脚の上に紙を水平に置き、両方から見通せる場所にある目標物の方向を記録することで、この2地点を底辺とした三角形を数多く作って、それら目標物の正確な位置関係を得ていました。これを繰り返して位置関係のわかる範囲を拡げるとともに、別途天文観測を繰り返して正確な南北の方向を得て、地図にまとめていたのです。
 この方法では、角度が正確に計測できれば効率よく地図を作成することができます。角度の計測にはその後小型望遠鏡が使われるようになり、20世紀前半には望遠鏡とその光軸周りの工作精度は非常に高い水準に達していました。この地図作成方法は、航空機から撮影した空中写真を用いた測量が実用化されるまで長い間続けられてきたのです。

画像は国土地理院構内にある測地観測塔です。<br />昭和54年に竣工され、高さは42.8m。真下には一等三角点(筑波原点)が設置されています。<br />かつては精密な測量のために利用されていましたが、宇宙測地技術の普及により現在は使われておりません。

画像は国土地理院構内にある測地観測塔です。
昭和54年に竣工され、高さは42.8m。真下には一等三角点(筑波原点)が設置されています。
かつては精密な測量のために利用されていましたが、宇宙測地技術の普及により現在は使われておりません。

 

#国土地理院_業務紹介 #測量 #国土地理院_参事官

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【測量のうつりかわり 2】~写真測量の時代~(参事官メッセージ[3])

2018年12月17日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。鎌田参事官による、測量のうつりかわりについての紹介シリーズの続きです。

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 現代の地図の多くは、空中写真を用いて作成されています。
 空中写真は、1500m以上の撮影距離(飛行高度)から20cm以上の解像度で広範囲を撮影するため、望遠と広角の性能を兼ね備えた高性能カメラを用いて撮影します。
 いま、身長1500mほどの大男がいるものとしましょう。飛行機に搭載したカメラは、大男の右目の位置と左目の位置で、それぞれシャッターを切ります。得られる画像は、大男の両目の網膜に写るものと同じです。
 実際には、地上の所々にあらかじめ正確な位置が分かっている地点を用意しておき、その地点が写真でもはっきり分かるように対空標識を設置しておきます。地上の目標地点と上空の写真に写ったその地点の画素は、それぞれ大男の視線に相当する直線群を表しますが、これらの視線すべてが大男の目(カメラの中心)を通るはずですから、写真画像を見れば大男の目の位置と視線方向(カメラの位置と向き)が計算できます。いったんカメラの位置と向きが分かれば、写真に写っているすべての対象について、地上の正確な位置が分かるようになります。
 地図は、このような原理で作成します。大男が両目で見る(二枚の写真を使う)ことにより、奥行き(高さ)も分かるのです。

画像は国土地理院の測量用航空機 くにかぜ1号機とくにかぜ2号機<br />1号機は昭和35年~昭和58年、2号機は昭和58年~平成21年まで運航。

画像は国土地理院の測量用航空機 
くにかぜ1号機とくにかぜ2号機
1号機は昭和35年~昭和58年、2号機は昭和58年~平成21年まで運航。

 

#国土地理院_業務紹介 #測量 #国土地理院_参事官

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【測量のうつりかわり 3】~宇宙開発の時代~(参事官メッセージ[4])

2018年12月20日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。鎌田参事官による、測量のうつりかわりについての紹介シリーズの続きです。

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 第二次世界大戦後、電子技術が実用化したことに伴い、電波やレーザビームなどを目標に当てて反射波が戻ってくるまでの時間を正確に測ることで、距離が正確に観測できるようになってきました。
 さらに人工衛星が実用化されると、基準点を宇宙に置いて全世界で測量ができるようになります。これが1980年台後半に実用化したGPSです。
 衛星から位置を決める場合は、未知数は座標軸のx,y,zですから、3つの衛星から信号電波を受信すればよいはずです。しかし、GPSの電波は電離層や水蒸気に満ちた大気中を通過する際に多少の遅延を生じますし、衛星と受信機に搭載されている時計にもわずかな時差があり、これらを合わせた時差(デルタティー)は別の未知数となります。このため、GPS受信機は1億分の1秒まで計測できる時計を内蔵し4つの衛星の電波を同時に受信することで、十m程度の精度で位置を求めています。
 ところで、信号電波を2箇所で同時に受信すると、到達時刻の差から2箇所の距離(電波の進行方向の成分)を求めることができます。信号源を複数選べば、内蔵時計の性能に応じた高い精度で相対位置が求められるようになります。現在のGPS測量は、この原理を用いて、相互の位置をmm単位まで求めているのです。

GNSSを使用した測量のいろいろ
http://www.gsi.go.jp/denshi/denshi45009.html
#国土地理院_業務紹介 #測量 #国土地理院_参事官

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【測量のうつりかわり 4】~デジタルの時代~(参事官メッセージ[5])

2018年12月25日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。鎌田参事官による、測量のうつりかわりについての紹介シリーズの続きです。

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 国土地理院では、1970年台半ばにデジタル地図の整備を始めています。当時はまだパソコンが実用化する前でしたが、私が入省した1986年には、標準的なデジタル地図の作成方法と精度について既にある程度まで知見が得られていました。先輩職員手作りのマニュアルを読むのが最初の仕事だったのです。
 それまでの紙に印刷していた地図では、印刷限界までぎっしり地物を書き込むことが重視されていました。隣の線との間は、カミソリの刃程度の隙間が空いていればよかったのです。しかし、デジタルでデータを取得しプリントアウトする場合は、あまりに記号の密度が高いとよくありません。数値計算において計算方法が計算効率に劇的に影響するように、デジタル地図でもデータの持たせ方や演算方法は、経路探索や最小拠点配置などに際して計算効率やアルゴリズムの簡明さに大きく影響します。デジタル地図は、こうして計算幾何学(計算機科学ではありません)という学問分野とも密接な関係にあります。
 1990年台にインターネットが普及したことで、デジタル地図も一挙に普及し始めました。私達がカーナビやスマートフォンで見ている地図は、この頃にほぼ現在の姿の根幹が決まったのです。

地理院地図
https://maps.gsi.go.jp
#国土地理院_業務紹介 #測量 #国土地理院_参事官

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【測量のうつりかわり 5】~測量の未来~(参事官メッセージ[6])

2018年12月27日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。鎌田参事官による、測量のうつりかわりについての紹介シリーズの最終回です。

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 測量や地図作成は、角度と距離を正確に測ることから始まりました。空中写真、人工衛星や計算機が実用化したことにより、測量の方法は大きく変化しただけでなく、得られたデータもナビゲーションをはじめとして様々な目的に利用されるようになりました。
 既にスマートフォンやカーナビシステムにはGPS機能が組み込まれていますが、今年11月からサービスが始まった準天頂衛星では、センチメートル級の測位サービス(CLAS)も可能になってきています。
 大きな地震が起きると、地面が一挙に何mも動くことがありますが、重力の値は殆ど変わりません。これを利用して、正確な標高をいつでも求められる仕組みも数年以内に実用化します。これで、ドローンの宅配で正しいフロアに確実に届けられるようになります。AIが猫の画像を見分けられるように、航空写真から建物のかたちや土地の起伏が自動的に取得できるようになるのもそう遠いことではないでしょう。測量技術は、さまざまに形を変えながら、生活のあらゆる所に浸透していきます。
 AIは全てを自動化するかのように見えます。それでも、AIのチューニングを含めて、精度管理の根幹は技術者がしっかり見ていかなければならないと私は考えています。

正しい位置なのにズレる? ~ドラマで描く地図と位置情報の未来~
http://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/positioning_movie.html

平成30年度国土地理院概要
http://www.gsi.go.jp/kikakuchousei/kikakuchousei40194.html
#国土地理院_業務紹介 #測量 #国土地理院_参事官

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【メッセージ】~これから測量業に就こうとしている若い皆さんへ~(参事官メッセージ[7])

2019年1月11日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。今回で参事官記事の最終回となります。鎌田参事官から、これから測量業に就こうとしている若い皆さんへのメッセージをお届けします。

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 コンピュータの発達とワークスタイルの変化により、個人技で仕事ができる場面がかなり増えてきている現代ではありますが、国土地理院のように地球全体を相手にする測量では、まだまだ組織的に行動することが重要です。世の中はどんどん変化しています。その変化を感じ取って、新しいやり方で対処するには、現場で働く一人一人が持っている力を発揮することと同時に、現場が力を出しやすいようにバックヤードが環境を整備することも重要です。国土地理院は、国の役所の中では比較的バックヤードが柔軟に対応できる方だと考えますが、それは現場の声が院内で共有され、皆で知恵を出し合って業務システムを運営改良できているからだと思います。この採用担当ページも、若い人にやり方を任せたことでうまく運営されていると考えます(幹部は運営に口出ししないスタンスのもと、この記事も依頼を受けて書いています)。
 理想的な組織では、個人の力だけではなく個人の幸せの総和も組織の発展につながるものです。若い皆さんは、組織の一員として合理的に動き自らバックヤードを改良することと、個人技や自分らしさをしっかり発揮できることとの両立を目指して、ぜひ自分の幸せをつかんで下さい。

画像はリクサポメンバーと打合せでの1こま<br />説明資料をもとに打合せをしています

画像はリクサポメンバーと打合せでの1こま
説明資料をもとに打合せをしています

 

#国土地理院_業務紹介 #測量 #国土地理院_参事官

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社会人経験者採用(技術系係長級職員)

【業務紹介(社会人経験者採用[1])】

企画部 地理空間情報企画室 永井さん

2018年10月16日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポです。
先週10/5より社会人経験を持つ方を対象とした技術系係長級職員の選考採用試験の受付が始まりました。
今回は、昨年度のこの試験を経て入省した永井係長に、入省前に感じていた不安や今の業務について語っていただきました。

また、民間企業等における勤務を経て入省した職員の記事を後日あと2本投稿予定です。受験を検討されている方は是非ご覧ください!

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こんにちは。
企画部地理空間情報企画室の永井(H30採用・一般職技術系(社会人経験者))です。

私は民間企業での地図出版物やカーナビ・GIS向け地図データの編集業務や、様々な地図情報サービスの企画制作・営業の経験を活かし、政府の地理空間情報(身近な地図情報から衛星測位による位置情報など場所にひもづく情報のこと)の活用推進に関する国土地理院の窓口として国土交通本省や他省庁、国土地理院院内の調整業務を担当しています。慣れない専門用語や新たな経験に戸惑いながらも、充実した日々を送っております。

今これを読んでいる方の中で、「えっ民間企業から公務員に転職できるの?」と思った方いらっしゃると思います。私も1年前までは同じ思いでした。まだあまり知られていませんが、民間経験を国土地理院で活かすチャンスが実はあるんです。

今回はせっかくの機会をいただきましたので、まだ入省して半年ではありますが、これから国土地理院への転職をお考えの方の少しでも参考になればと思い、民間企業から転職してみて自分自身の入省前の不安と入省後の実際についてご紹介させていただきたいと思います。

<入省前の不安>
[1]前職は測量業務というよりも企画や営業が多かったけど技術職で大丈夫かな。それに行政事務や法律の知識ないけど…
[2]経験者なのでいきなり1人で任されるのかな…。
[3]つくば、遠いな…。子供もまだ小さいし家族と過ごす時間が心配。

<入省後の実際>
[1]新規採用者と一緒に測量行政や技術の基礎を研修でしっかり学べる。
 国土交通大学校での合宿研修もあり同期と親睦を深めながらみんなで勉強します。
 また希望すれば関連分野の研修やドローン操縦まで!?色々とチャレンジできる環境です。
[2]しっかりしたフォロー体制でチームみんなで業務を進めます。
 なにかあっても頼りになる上司や仲間が近くにいます!
[3]ライフスタイルに合わせた勤務体系、休暇の取得が可能。
 私はフレックスを活用して、時間を前倒しにして少しでも早く帰宅しています。
 また通勤時間は延びましたが、逆方面のため通勤ラッシュもなくゆったりと
 自分の時間を満喫しています。

最後に、私はこれまでの経験や得意分野を人や社会のため最大限活かせる仕事をしたいと思い国土地理院への転職を希望しました。国土地理院での業務は日々勉強であり、必ずしも民間での経験をそのまま活かせず、困難な仕事もたくさんありますが、それ以上に入省前の想像をはるかに超えたダイナミックな業務に関わることができ、国のためにやりがいを感じることができる仕事だと思っています。

国土地理院の仕事に興味をお持ちの方はぜひ経験者選考採用試験に チャレンジいただき、これまでの経験を行政に活かしてみませんか?

デスクにて

室内でのミーティング風景 

 

#国土地理院_採用_技術系

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【業務紹介(社会人経験者採用[2])】

基本図情報部 地図情報技術開発室 阪上さん

2018年10月17日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポです。
今回も社会人経験者採用された職員に語っていただきました。

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平成29年4月に経験者採用で入省しました阪上です。前職では民間のコンサルタント会社で防災事業や砂防事業に関わる仕事をしておりました。
 国土地理院に入省して感じることは、[1]職員の仕事に対する真面目な姿勢、[2]何か困ったときの職員の団結力、[3]まずは自分で手を動かしてみる職員の積極性、[4]ワークライフバランスがしっかりしていることです。特に驚いたのは男性の育児休暇取得率が高いことです。実は私も2ヶ月間育児休暇を取得する予定です。仕事と家庭との両立を支援してもらえるのは大変助かりますし、仕事する上でメリハリがあって良いなと感じています。
 現在私は基本図情報部地図情報技術開発室で、[1]無人航空機(UAV)や移動型レーザスキャナ等を用いた三次元地理空間情報の取得に関する技術開発、[2]航空機やヘリコプターで取得した画像や映像を用いた災害時の迅速な情報提供等に関わる技術開発を行っています。
 入省後まず取り組んだのは、無人航空機(ドローン)飛行に関わる資格取得に向けた練習です。2ヶ月間国土地理院の敷地内にある倉庫で練習を重ね、その後9カ月間かけて航空局が定める申請基準の10時間以上の飛行経験を積み資格(国土地理院内部で定める飛行資格)を取得しました。仕事は室内でパソコンに向かうこともあれば、現場に出て計測作業を行うこともあります。前職で経験のない業務も多く入省当初は不安なこともありましたが、何事も近道はなく、地道に練習や基礎を学びながらその技術を習得していくことが自分の成長となり、今後技術を活用する上でも大事であると感じています。
 その他初めて経験することとして、海外から来られる方への技術情報の提供があります。国土地理院では毎年海外からJICA研修を通じて多くの技術者が来られ、昨年講師として説明する機会をいただきました。今までは個人や国内の視点で考えていましたが、がらりと視点は変わり今度は日本の国家機関として世界にどの様な情報を提供できるか視点は大きく広がり、どの様な情報を提供すれば良いのか当時大変悩み、貴重な経験をさせていただきました。
 このように国土地理院に入省し、数多くの新しい経験をさせていただき、初めは慣れないこともありましたが、今は少しずつ自分の引き出しが増えていく喜びを噛みしめ、充実した日々を過ごしています。

国土地理院内での無人航空機(ドローン)練習の様子

無人航空機(ドローン)を用いた計測の様子

現場での計測の様子

海外から来られた方への説明の様子

 

#国土地理院_採用_技術系

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【業務紹介(社会人経験者採用[3])】

応用地理部 地理情報課 後藤さん

2018年10月22日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポです。
民間企業における勤務を経て入省した後藤係長に、今の業務について語っていただきました。
受験を検討されている方は是非ご覧ください!

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 応用地理部地理情報課の後藤(H30年入省、社会人経験者選考採用)です。 昨年の今頃は、1次試験に提出する履歴書、小論文を必死に作成していたことがつい昨日のことのように思い出されます。私の一家は、今年の4月に兵庫県豊岡市からつくば市に引っ越してきました。

 私は民間企業で航空写真から地形図を作成する業務(空中写真測量)に20年ほど従事していました。現在の業務は主に、航空機から地上にレーザを発射して得られる高密度な三次元データ(航空レーザ測量データ)の管理・提供を担当しています。

 配属初日は、午後から1時間ほど引継ぎを受け業務がスタートしました。同業種から転職のため、測量の専門用語に戸惑うことはありませんでしたが、社会人経験が20数年あっても、国土地理院では新人です。規則など分からないことが多々あり、毎日のように分からないことを尋ねる日々でしたが、現在は業務の方も慣れてきました。

 国土地理院では担当業務以外に色々な業務を経験できる機会もあります。その一つにHPの更新があります。作業した数日は、不安しかありませんでしたが、2回目以降は少し心にゆとりも。また、9月には富士山の近くにあり、富士五湖の1つに数えられる河口湖へ湖の調査(湖沼調査)に行ってきました。富士山は1日しか顔をのぞかせてくれませんでしたが、船酔いもなく無事に調査することが出来ました。初めてのことが多く、大なり小なり不安はつきものですが、それが生きている証であると思う日々です。

 最後になりますが、社会人経験者選考採用試験にチャレンジされる方、来年の4月にお会いできることを楽しみにしています。GOOD LUCK!!

河口湖での湖沼調査

 

#国土地理院_採用_技術系

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職員紹介:事務系

密着職員24時 ~契約課2年目係員の軌跡~

総務部 契約課 猪股さん

2017年7月21日公開→Facebookで見る
日中、庁舎内を颯爽と駆け回る職員がいる。彼の名は、猪股奎佑。入省2年目、契約課管理係に配属、一年中日焼けした肌―――現在、知り得る情報はこれだけ。7月某日、「僕、記事になりますかね(笑)」と苦笑いとも照れ笑いともつかない表情を浮かべながらも、リクサポは彼に一日密着取材を許された。彼はどこで、何をしているのか―――若手職員の背中を追った。
※取材文は、各写真のキャプションに掲載しました。取材文とともに彼の一日をご覧ください!
始業のチャイムが鳴ると同時に前のめりになる猪股。彼の手元には請求書。これは国土地理院が設置している電子基準点を運用するために必要な通信料や電気料、土地の使用料の請求書だ。
電子基準点の数はなんと全国に約1300地点。彼はそのすべてを処理しなければならない。
まずは今月分の請求書と前月分の請求書を照らし合わせて、内容と支払期限の確認をする。

「支払業務はとにかくスピード感かつ正確さを求められるため、あらかじめ会計法や物品関係の法律、細則を頭に入れておく必要があります。

初めは、条文の全てをズラズラ読んで覚えようとしましたが、業務が多忙になるにつれて、法律を覚えるための時間が確保することが難しくなってきたため、要点だけを押さえる覚え方に変えてみました。すると、難しい用語や法令が自然と頭に入るようになるとともに、業務をする上で気持ちに余裕ができ、何よりも自分で実感できるほど確実に作業が早くなりました。」
電話のベルは支払業務に追われる彼を知らない。一日中、地理院内や外部からの電話が鳴りやまない契約課。電話応対は、採用されてから最も苦戦したことの一つだったという。学生時代、アルバイトで販売の経験がある彼だが、電話応対は未経験だった。

「初めは焦りと緊張で呂律が回りませんでした(笑) 先方の『○○様いますか』につられて『○○様ですね?』と言ってしまったこともあります。」

すると上司に「内部の職員のことは基本的に呼び捨てだから」と注意を受けた。極度の緊張から、電話応対のマナーを押えられない自らを反省した。“様事件”をきっかけに、彼はビクビクせずに堂々としようと決める。

「腰を低く、丁寧に応対するよう心掛けています。電話対応での言葉遣いが丁寧な上司がおり、その方を見習いたいと思っていますが、今の僕には難しい・・・ですが、何事もチャレンジが大事なので!」
昼休みを告げるチャイムと同時に、請求書に代わってお弁当箱が机上を陣取る。
「お弁当箱を開けてテンションが上がるおかずは、豆腐ハンバーグです。母がお弁当用に考えたレシピなのですが、時間が経ってもふわふわで美味しいです!」
13時だ。
次は、午前中に処理した請求書の支払をするために必要となる支払決議書を作成する。朝と同様、前のめりになる彼。決議書の作成が彼の仕事の中で最も集中を要するという。
右手でさまざまな印を押す。素早い。印一つ押すにも法令や規則に則る。おそらくそれらが頭に入っているのだろう。
書類をクリップでまとめて決議書の決裁を依頼する。まずは契約課内だ。
支払業務は、契約課以外の職員や外部の方とやりとりしながら進める。その中で、大切にしている言葉が二つあるという。一つ目は「やり方は、人それぞれ」。1年目の時の上司に言われた。
「例えば書類の修正が必要な際に『こちらで直します』と言う人もいれば、『君が直してね』と言う人がいるように、考え方や仕事のやり方は人それぞれ違います。しかし、“修正”という作業自体は、誰がおこなっても法令上問題ない場合があります。そのようなときに、『いや、昨年度まではこうだった』と無理に通すのではなく、相手の考えをしっかり聞いてから判断するように心がけています。」
契約課内の決裁を得たのも束の間、決議書を手にし、会計課へ急ぐ。支払担当者に決議書を渡し、会計課の決裁を依頼するためだ。
契約課へ戻る道すがら、大切にしている言葉の二つ目を教えてくれた。「君はどうしたいのか」。現在の上司から頻繁に問われるという。
「自分の意見をしっかり持たなくてはいけないと思いました。意見を持つことで、例えば書類をチェックする際に、『このようにしたらどうでしょうか』と少しずつではありますが提案できるようになりました。 でもまだまだですね。上司から『いや、こっちのほうが良いよね』『これは違うよ』と指摘されることもあり、『あ、そうか』と気づくことが多く、毎日が勉強です。失敗もたくさんありますが、今はいろいろなことにチャレンジしています!」
再び席を立つ。手には決議書?いや、台車だ。倉庫に向かう。消耗品の在庫の確認がてら、契約課内で使用するコピー用紙を取りに行くという。
倉庫には消耗品が綺麗に並べてあった。300以上もの消耗品を注文し、補充することも彼の仕事だ。
「コピー用紙の箱の数が少なくなると、各課の補充担当の職員が焦って確保しようとするのでしょうか、より一層減りが早くなります(笑)在庫を切らさないように注文しているので、皆さんには『必要な数だけ持ち出して』とお願いしているのですが・・・難しいところですね(笑)」
終業のチャイムが響く。マウスに手をやると、好きな映画のキャラクターがプリントされたコップとマウスパッドが目に入る。パソコンの電源を落とすと、本日の業務は終了だ。
趣味は多い。終業後は映画鑑賞、バッティングセンター、釣り、ランニング、写真撮影、ドライブなど楽しむという。
さて、一日密着してもなお気になることが一つ。

ーーーなぜ彼は一年中日焼けをしているのか

その理由を、帰り際にこっそりと尋ねた。
「夏は釣り、海水浴、ドライブ、一人旅、サイクリング、野球をし、冬はスノボ、星景写真、釣りなどをして休日を過ごします。」
―――お気づきだろうか。彼にとって、釣りに行くのが夏か冬か、さらには平日か休日かは関係が無いのである(笑)それは日焼けもする訳だ(笑)
ただ、彼は釣り針の先に将来を見据える。
「釣りの楽しさを知って欲しくて友人を誘ったのですが、今ではその友人も大の釣り好きで、週に一度は、『お前暇だろ、次の休みはいつだ!』と言われます(笑)でもそう言われるとすごく嬉しいですね。釣りを通して、人に知ってもらう、伝えるという楽しさを学びました。将来は広報関係の仕事に携わって、国土地理院のことをみなさんに伝えられたらと思っています。」

ちなみに・・・この写真の日は?
「釣れませんでした!!(笑)」

 

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国際課の歩き方【2017夏 限定】

企画部 国際課 安藤さん

2017年8月3日公開→Facebookで見る
今から、旅に出ませんか?
 
官庁訪問対策で忙しい皆さまに、この夏限定の“国土地理院 国際課ツアー”にご招待!
国際課―――「国際会議に出席するの?」「憧れるけれど・・・自分とは無縁だな」「そもそも英語、話せません・・・」
そんな疑問や不安はひとまず勉強机の上に置いて、ツアーに参加しませんか?事務官 安藤係長が国際課をご案内します!
 
―――こんにちは。企画部 国際課 国際企画係の安藤です。
本日は国際課の名所!?案内ということで、国際課ならではの業務についてご紹介させていただきます。
それではみなさん、Here we go!!
 
※下のガイドブック表紙から安藤係長のガイド文とともにツアーをお楽しみください!
最後までご参加いただいた方には“オプショナルツアー”もご用意しております!
まずは、外国のお客様をお迎えする際の来訪対応からご案内します。
国土地理院では、視察や会議などのイベントで、さまざまな国からお客様をお迎えします。
例えば会議を開くのであれば、スケジュール調整や会場のセッティング、必要物品の調達から通訳さんの手配、会食を開くのであれば、お店の予約、食物アレルギーや宗教上食べられないものの確認など・・・事前準備は多岐にわたります。
こうした会議の進行に必要な情報をまとめた通称“ロジブック※”を作り、当日、担当者はこれを抱えながら対応にあたります。
※「ロジ」はロジスティクス (logistics)の略。後方支援業務を指します。
さて、次にご案内するのは、国際的なマナーについてです。
昨年、国際会議の準備を行った際、参加国の旗を会場の卓上などに設置し、国土地理院庁舎の屋上にも掲揚しました。国旗は、自国旗と外国旗のどちらをどこに掲げればよいかなど、国際的なマナーを意識しながら配置しなければなりません。 国旗のほかにも会場の席次や名前・敬称などにもマナーがあり、とても勉強になりました。
このような国際的なマナーを「プロトコール」といいます。プロトコールは必ずしも絶対的な儀礼ではなく、これまでも時代とともに変化しており、地域や国によって差異もみられます。また、会合の趣旨、参加者の認識、会場の制約などによって柔軟に運用されることも大切です。
会場のセッティング一つとっても、『おもてなし』は、なかなか奥が深いのです。
そして最後にご案内するのは、記念品についてです。 外国のお客様の来訪時や職員が海外に出張する際には、国際的な慣例に倣い、お渡しする記念品を国際課で用意しています。ここ数年は、日本文化を理解してもらえそうな和風のグッズ(写真立てやペンなど)を購入してお渡ししていましたが、昨年は国土地理院初の試みとして、オリジナルの3Dクリスタルガラスを製作しました。
みなさん、こちらのクリスタルガラスの中には、何が彫刻されていると思いますか?
クリスタルガラスの右下に、答えがバッチリ刻まれていますが(笑)、外国の方にも知名度の高い富士山が彫刻されています。その3Dデータは地理院地図※からダウンロードしたものです。
国際課に配属されて、3Dクリスタルガラスの製作を担当することになるとは思いもしませんでした。 特に苦労した点は3Dデータ仕様の説明です。3Dデータ形式など詳しく分からない点も多く、国際課職員の助けを大いに受けながら(泣きながら)仕様書を作成しました。しかし、できあがったものを見た時は嬉しくなりましたね。


※地理院地図:国土地理院の発信するウェブ地図。
興味のある方は、こちらからどうぞ!→https://maps.gsi.go.jp/
(過去Facebook記事による紹介→https://www.facebook.com/gsi.saiyo/posts/1432732313466630)
国際課に配属される前は、漠然と華やかなイメージを持っていましたが、実際はこうした裏方業務に精を出すことがほとんどです。しかし、こうした業務の一つ一つが、表舞台を支えるための重要な仕事だと実感しています。
今年10月には国土地理院が事務局になっている国連会議(国連地球規模の地理空間情報管理に関するアジア太平洋地域委員会(UN-GGIM-AP))が熊本県で開催されますし、その後はつくば(国土地理院本院)で開催の国際会議を控えていますので、今は国際課の総力を挙げてその準備を進めているところです!がんばります!!
ちなみに、私が担当している業務で、英語が必須ということはありませんが、必然的に英語に触れる機会は多くなりますので、英語を習得していれば仕事上有利です。例えば英語による問い合わせメールへの対応や、翻訳された文章を確認する際も、原文の内容が理解できていれば、効率的に仕事を進めることができます。
また、国土地理院ではJICA研修員を受け入れていますが、国際課では研修員との距離が近いため、自分次第で!?さまざまな交流を図ることができます。昨年は仲良くなったジンバブエの研修員と観光に出かけたり、お互いの子どもや料理のことなどいろいろなおしゃべりをしたり、楽しかったです。
みなさんも国際課に来て、国際交流を楽しんでみませんか!?職員一同、お待ちしております。
それではSee you !!
《オプショナルツアー》 バックパネルを組み立てよう!
今、「まだ帰りたくない・・・」とおっしゃいました?
それではせっかくですし、オプショナルツアーはいかがでしょうか!ここからはオプショナルツアー担当兼リクサポのSにバトンタッチ!
さて、国際課の皆さんの後ろに見える、緑色のバックパネルにご注目。バックパネルとは、記者会見や記念撮影時に設置するものです。官公庁や企業の記者会見などのニュースで目にしたことはありませんか?
こちらのバックパネルは国際課が製作し、今年の3月に完成したばかりで、なんと世界初公開!国際課では外国とのTV会議の背景として利用したり、国際会議を開催する際に幹部等の講演の背景として使うということも想定しています。
ただの一枚のパネルと思うことなかれ。国際課職員になったつもりでバックパネルを組み立ててみましょう!
《オプショナルツアー》 1. まずは細長いキャリーバッグからパネルと骨組みを取り出しましょう。3枚のパネルをつなげることで、ひとつの大きなパネルにしていくのです。

2. おっと、くるくると丸まってしまう癖を丁寧に伸ばして広げましょう。真新しいバックパネルを前に、笑みがこぼれる国際課の皆さんですが、神妙な面持ちで骨組みを持つ二人が後ろに・・・。胸騒ぎを抑えて、とりあえず次へ行きましょう!

3. 続いて、パネルを骨組みの上部に引っ掛けて慎重におろします。「あれ、意外と高いですね」と安藤係長。そう、パネルの高さは約2m30cm。ちなみに自由の女神像の人差し指の長さとほぼ同じです。自由の女神像って大きいのですね!
《オプショナルツアー》 4. 最後に3つのパネルをつなげて完成ですが・・・骨組みを手に、勢いよく立ち上がるであろう姿に、背後から心配そうな眼差しを向ける課長・・・。
ここは、はやる気持ちを抑えましょう。パネルが天井を直撃しないよう、慎重に持ち上げましょうね。
(課長のお察しの通り、この直後に鈍い音が課内に響いたのはここだけの話(笑))

こうして無事にバックパネルの完成!次は皆さまが組み立てる番・・・いや、いつかこのバックパネルを背に、国際舞台で講演をする日が来るのかもしれませんね・・・!
ちなみにバックパネルのデザインは、国際課職員によるものです。このようなところからも、表舞台を支える国際課の仕事が見て取れますね。

これにてツアーは全行程終了です。ツアーガイドの安藤係長、国際課の皆さん、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

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僕は三十八歳になって ―――入省からこれまで そして今

事務官 増村さん

2017年8月16日公開→Facebookで見る
出会いって、不思議だ。
『偶然よ』って顔をして目の前に現れ、さも必然のように人生を変えてゆく。



事務官 増村 哲郎、この本の主人公です。彼は国土地理院に入省してからこれまで、さまざまな“偶然の出会い”を重ねています。いろいろな業務、変わりゆく部署、あの日ともに汗を流した人々―――これらは“ある小説”との出会いから始まりました。
この赤色の本は今、皆さまの手元にあります。この夏、この本との“偶然の出会い”を是非お楽しみください。
※巻末には雑誌も収録しました。今月号の特集は「かりゆしウェア」です。
※下の赤い表紙から順に写真の右端をクリックすることで、本のページをめくることができます。巻末には雑誌も収録しました。今月号の特集は「かりゆしウェア」です。
序章
こんにちは。国土地理院で事務官として働いている増村と申します。
私は今38歳で、今年で採用14年目となりました。
皆さんは国土地理院と聞いて何を思い浮かべますか?「地図を作っている?」「測量をしている?」「災害対応のニュースで名前を見かけたことがあるかも」など、いろいろあるかもしれません。では、「事務官として国土地理院に入省したらどのような仕事をするのだろう?」そんな疑問はありませんか?
今回は私が入省からこれまで、国土地理院でどのような仕事をしてきたかを一部ご紹介したいと思います。少しでも“国土地理院で事務官として働く”というイメージをつかんでいただければ、大変幸いです。
第一章 もしもあの時、あの小説を
初めは、地方公務員になることを考えていました。
そんななか、たまたま参加した官庁合同業務説明会で国土地理院の名前を見つけました。
そのとき、学生時代に読んだ“ある小説”がふと頭に浮かびました。
その小説の中に、地図が好きで、将来国土地理院に入るのが夢だと語る登場人物がいたのを思い出したのです。
そのことがあって、国土地理院という名前が強く印象に残ったのを憶えています。

業務内容の説明を聞いて、公務員でもこのような仕事に携わることができるのかと興味をもち、官庁訪問で訪れたつくばの広々とした雰囲気も気に入り、いつしか国土地理院が第一志望となりました。

「もしもあの時、あの小説を読んでいなかったら・・・」なんて考えると、不思議な気持ちになりますね。
第二章 正直に言うと
採用されてから6年目までは、つくば市の国土地理院本院において、主に内部管理関係の仕事を担当しました。私が担当した主な業務は、出勤簿の管理などの服務関係、旅費事務、給与計算、人事異動関係、職員の採用関係事務、予算要求関係といったところです。このあたりは皆さんが事務官の仕事としてイメージしやすいものかもしれませんね。
正直に言いますと、当時はあまり国土地理院ならではと感じられる業務ではないなと思っていました。
しかしこれらの業務は、国土地理院がさまざまな施策を実施していく上で無くてはならないものであり、自分にとってもこのような業務に関する知識は、事務官として働く上で必要不可欠なものだと、今は実感できるようになりました。
特に、後述する地方の勤務先では職員数が少ないことから、つくばの本院であればいくつかの課や係に分かれるような仕事を、一人で幅広く担当しなければならない場面があり、この間に身につけた知識が非常に役に立ちました。
第三章 その日は金曜日で
採用7年目の平成22年4月から2年間、国土交通本省河川局(現:水管理・国土保全局)防災課への出向を経験しました。まさに国土交通省の災害対応の中枢で勤務していたことで、さまざまな経験をしました。



平成23年3月11日、東日本大震災が発生しました。
その日は金曜日で、私は通常どおり勤務していました。霞が関の庁舎もかなり揺れました。防災課内に設置されているモニターには、道路や港に津波が襲来する様子が映し出されており、これは大変なことになったと思いました。すぐに隣の庁舎にある防災センターに参集し、そこから24時間体制の災害対応が始まりました。一晩中かかってくる問合せの電話、昼夜を問わない災害対策本部会議への対応、度重なる余震・・・。
当時は本当に必死でした。
家(といっても、つくばまでは帰れず、埼玉の実家でした)に帰って家族と再会できたのは、震災が起きてから数日後のことでした。
初動対応がある程度落ち着くと、災害復旧事業にかかる災害査定のために東北地方に何度も出張に行きました。その時、目の当たりにした街の光景は今でも目に焼き付いています。



このような経験を通して、非常時に国家公務員が果たす役割の大きさを強く意識し、自分の仕事に改めて誇りを持てるようになりました。 また、わずか2年間ではありましたが、国土地理院という組織を離れたことで、外からの視点で国土地理院を見ることができました。特に東日本大震災の対応では、やはり地図の情報というのは必要不可欠なもので、国土地理院が果たす役割は大きいこと、非常時には情報のスピードが求められる場面が多く、国土地理院にもそのことが強く求められていることを実感しました。
国土交通本省には、地方自治体や他省庁などから出向してきている人も多く、さまざまなバックグラウンドを持つ人達と一緒に仕事ができたことも非常に大きな経験でした。当時一緒に働いていた方々とは今でも交流があり、たまに一緒に飲みに行ったり、旅行にいったりといった付き合いが続いています。これが出向で得た一番大きな財産かもしれません。
第四章 沖縄へ
採用11年目の平成26年4月から今年の3月までの3年間、国土地理院の沖縄支所で勤務していました。 私は海が大好きで、沖縄勤務は長年の希望でした。希望をかなえてくれた国土地理院には感謝しかありません。

沖縄支所では、デスクワーク以外の業務を幅広く経験することができました。
例えば、国土地理院が現在力を入れている「地理教育」の一環としての小学校での出前授業 や、測量に関する説明会といった対外的な仕事に携わることで、外部の方へ国土地理院の仕事を分かりやすく伝えるという視点を意識するようになりました。また、上記説明会や測量作業の補助業務等で数多くの離島へ行けたことも、沖縄ならではの貴重な経験でした。

プライベートでは、とにかく家族でいろいろなところに遊びに行きました。綺麗なビーチの前でキャンプをしたり、子供と一緒にシュノーケリングで熱帯魚や海亀を見たりと、たくさんの楽しい思い出ができました。子供も小さく、子育ての中で一番楽しい時期を過ごすことができた3年間の沖縄生活は、私にとっても、家族にとっても一生の思い出となりました。
第五章 今はまた、新しいことを
現在は国土地理院の地図を利用したいという方からの申請に対する審査を担当しています。
国土地理院の地図は実はさまざまな所で使われています。身近なところでは、みなさんも良く目にする観光情報誌やカーナビにも使われています。国土地理院の地図は使用方法によっては、事前に申請が必要な場合があります。そのような申請に対して、測量法という法律に基づき、適切な地図が正しい精度で使用されているか等の観点から審査をしています。
現在の業務は、申請手続きに関する問合せだけではなく、地図そのものに関する問合せも多いため、地図に関する知識も求められます。国土地理院で働いていながら、国土地理院がどのような地図を作成・提供しているのか分かっていない部分もありましたので、今はまた新しいことを勉強中という感じですね。
採用14年目にして、今までと全く違った業務を担当することに戸惑いや苦労もありますが、今の業務は国土地理院の地図に対する国民の皆様からのニーズが実感できるので、今までの業務とまた違った面白さ、やりがいを感じています。
僕は三十八歳になって
学生時代に読んだ“ある小説”の主人公は37歳。 私は今38歳で、小説の世界よりもひとつ先を生きています。

私はこの本を書くよう依頼を受けたとき、主人公が出会ったある登場人物を思い浮かべました。
地図が好きで、地図を作るという希望を抱き、国土地理院に入るという目的のために、仕送りをもらって東京の国立大学で地理学を勉強していた彼のことです。
そんな彼との出会いから国土地理院に入って14年目となり、今はまさに地図に関する仕事をしています。
そんな彼を思い浮かべ、考えました。

僕は38歳になって―――
今、好きなことは
職場のサッカー部に所属していて、週末はリーグ戦に出場しています。38歳となり、体力的には厳しくなってきましたが、やはりチーム一丸となって勝利を目指すのは、一人で何かをすることより何倍も楽しいと感じています。
サッカー部には事務官・技官、先輩・後輩いろいろな職員がいて、仕事ではあまり関わりがない方ともサッカーを通じて知り合えることも魅力です。

子供との時間も自分にとって大切なものです。私は子供が3人いて、長男が小学校1年生、次男が4歳、長女が1歳です。子供とサッカーしたり、キャンプに行ったり、旅行に行ったりする時間が一番リフレッシュになりますし、楽しいです。
今、仕事に対する希望は
今までいろいろな場所で仕事をして、採用当時に比べればだいぶ視野が広がったと思っています。
ただ、視野が広がっていくとともに、自分に足りないものが次々と見えてきて、なかなか満足することができません。

しかし、そうやって課題を見つけていける環境というのが自分の成長に繋がっていくと思うので、今後も自分に足りないものを見つけて、それを知識として身につけていきたいと考えています。
今、仕事をする目的は
現実的なことを言えば、収入を得て生活を維持するためということもありますが、それ以上に大切なことは、やはり人の役に立つ、社会の役に立つことだと思っています。
国土地理院が提供している地理空間情報は社会の基盤の一つと言えるものですし、災害時にも大きな役割を果たしています。そのことは今までの業務を通して、さまざまな場面で実感してきました。その中で自分の役割をしっかりと果たしていきたいと思っています。
子供にも自分の父親が人の役に立つ仕事をしているのだということを、見て感じ取ってもらえたらうれしいですね。
かりゆし
私が着ているのは、沖縄の“正装”「かりゆしウェア」です。かりゆしウェアには次の定義があります。
  • 沖縄県産であること
  • 沖縄らしいデザインであること
暑い沖縄で涼しく過ごすためにデザインされており、裾はズボンから出して着ることを想定して短くカットされているのが特徴です。
沖縄では公務員から会社員、近所のおじいまでみんながかりゆしウェアを着ています。

私にとって沖縄の思い出の一つであり、蒸し暑い関東の夏にもぴったりなので、つくばに戻ってきても愛用しています。

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プロ意識 ~それは完璧という意味ではなくて~

総務部 会計課 鈴木課長

2017年8月21日公開→Facebookで見る
―なぜあのとき、公務員になろうと思ったのだろう。
――なぜあのとき、ここで働きたいと思ったのだろう。
―――――なぜ今ここで、この仕事をしているのだろう。




この番組の主役は、総務部 会計課 鈴木 正則課長。
番組制作の企画段階では、普段めったに語られることのない鈴木課長の20代を紐解くことで、今20代の国家公務員試験受験者の皆さまに“国土地理院で働く”ということを知ってほしいと願い、制作に取り組んでいた。

しかし、こうして番組が出来上がった今、制作者の私は思った。 この夏にあなたが下した決断に対する自信が、少しでも揺らいだとき、 いつでも、何度でも、この番組を再生してほしい、と。

官庁訪問対策で汗を流す、今のあなたへ。
そして、社会人として汗を流している、未来のあなたへ。
プロ意識 それは完璧という意味ではなくて
鈴木課長は、昨年4月に会計課長の席に着いた。
―――鈴木課長は、昨年4月に会計課長の席に着いた。

窓を背に、課内の中心に座ることの重圧とその心境を、入省3年目の私が想像することは不可能である。しかし、私はずっと知りたいと思っていた。日々、どのような思いで鈴木課長はその椅子に座っているのかを。


「いや、課長の椅子に座っているからといって、特別なことをしようとは考えていません。そもそも“課長になる”というのは、“段階を踏んでいく”ということだと考えています。
例えば係員が昇任して係長になれば自分の担当の係をうまく回すことを求められるし、それが課長になったら今度は課内の全ての係をどううまく回すかを考えなくてはいけない、ということです。
ただ、課長の席に座れば、当然今までよりも責任は増えて、重くもなるし、判断力もこれまで以上に求められているとは感じています。」
1円でも貰った瞬間、プロ意識を持て。
―――鈴木課長の胸には、25年前から刺さったままのある言葉がある。


『お前、給与貰ってるだろ。1円でも貰った瞬間、プロ意識を持て。』
若いうちは仕事で失敗してなんぼ、心配してなんぼです。
「今から25年前、採用1年目のときに出会った先輩に言われた言葉です。
4月に採用されて最初に任された仕事で、国民の皆さまや業者の方々からの問合せの電話に対応する業務があったのです。“対応する”ということは、つまり役所の人間として責任を持つということですよね。しかし新採で入ってすぐですよ、当然右も左も分からない状態でした。

ある日、いつも通り電話に出たら、その内容が・・・要は“ご意見”だったのです。
そして、お話を伺って対応していくなかで、私がポロっと言ってしまったのです。 『4月に着任したばかりで、まだ分かりません』的なことを・・・。

受話器をおろしてすぐ、その先輩に言われました。『お前、給与貰ってるだろ』と。
実際、仕事で分からないことや、出来ないことはありますよね。異動になってすぐとか、当時の私のように採用されて間もないのであればなおさら。
しかし、仮にそうだとしても“そんなのまだ分かりませんよ”という気持ちや態度でいるのは、給与を頂く者としてのプロ意識が無い、とその先輩に言われました。
この言葉は今でも胸に刺さっています。


これから皆さんもね、社会人になって、違う職場で働く友人と自分の給与の額を比べたときに、『友人の方が・・・』とかいろいろ思うことがあるかもしれない。しかし、1円でもお金を頂いたら、その瞬間からプロだという意識を持つこと、これは本当に大切だと思います。」
―――「好きな言葉?『ピンチはチャンス』だね。」
鈴木課長の頬が緩む。まるで少年のころに戻ったかのように、その言葉を何度も口にする。

  「30代後半くらいかな、突然『ピンチはチャンスに変えられるな』と思ったのです。この言葉を好きになったきっかけが、パッと思い浮かばないのが不思議ですね。仕事をしていくうちにこう思ったのかな。
ピンチ・・・例えば若手職員に起こり得るピンチでいうと、普段何気なく取り組んでいる事務処理があるとします。しかし後になって、法令に則って処理できていないことが判明したとき、このまま放っておくのは明らかにまずいですよね。でも、このピンチは努力によってチャンスに変わるのです。
『これはまずい』と思って必死になってその原因を調べたり、法令を勉強したりすれば、知見や視野が広がりますよね。そして、いよいよこのピンチを上司に報告するときに、上司に何か説明を求められることを想定して、すぐに回答できるように準備をしておくと。ここでしっかり説明できれば自分自身の仕事の能力アップにも繋がりますし、達成感も得られます。
だから、ピンチが来たら『これは自分が成長するために必要なことだ』と思い込めば楽勝。そうすれば目の前のピンチが、チャンスに見えるようになりますよ。
ただし、自分が招いたピンチであれば反省することが先ですよ。それは当然のこととして。
私は今も、ピンチを前にしたときは『これを乗り越えたら、またひとつ見識が高まるぞ』と思うようにして、心配性という自分の性格を活かして必死に勉強することで、チャンスに変える努力をしています。」
2017年夏 午後に一息
―――鈴木課長は、歩く。

日中、庁舎内のさまざまな部署を歩いて回り、仕事の話を進めていく。その目は厳しい。
会計課内でも歩く。スッと部下の元へ行き、仕事のことや欠かさず見ているドラマのこと、いろいろな話を部下とする。その目は優しい。


「もっと話したいです、若手の職員ともね。私、“課長として”という考えがあまりないのです。実際、“課長として”振る舞ったり、発言することを周りから求められているのかもしれないけれど、私は自分が課長であることを意識せずに、積極的に皆と話していこうと思っています。」

―――プロに年齢は関係ない、鈴木課長はそう続ける。
これまで鈴木課長が部下と接してきたなかで、“プロだ”と感じた瞬間とは?


「私が“1円でも貰ったらプロ”や“ピンチはチャンス”の話をしていないのに、そういう姿勢で仕事をしている部下をみると『あ、プロだな』と思います。
プロって逃げないですよね。
別に完璧に仕事を理解できていなくても良いのです。それでも、理解していないなりに仕事に必死に取り組んだり、一生懸命に説明しようとする人を見ると、プロだと思いますね。
ただ一方で、仕事は結果が全てだと思っています。たとえプロセスや取り組む姿勢が良くても、結果がダメであれば、その過程のどこがダメであったかを反省しなくてはいけないと思います。」
理不尽
―――“社会に出ると、理不尽なことや自分が納得できなくても受け入れなければならないことがある。”

私が社会人としての一歩を踏み出すその前日の夜に、父から貰った手紙の一節である。
未来を憂いているわけではない。ただ、理不尽という壁が歩む道を遮ったとき、どう一歩を進めるべきかを鈴木課長に教わりたいと思った。

  「若いときは、嫌なことを反射的に避けてしまうこともありました。 でも、やはりずっと逃げていてはダメだと思い、どうしたら嫌なことや理不尽に耐えられるかを考えたのです。

言葉って、その裏に思惑があると思うのです。だから相手が言うことの裏を考える、つまり相手の立場になって考えれば、一見、理不尽に思える言葉の本質が見えてくるのでは、と思いました。
相手の立場を考えようと私がやったことは二つあり、一つ目は相手を理解しようと努力すること。相手のやりたいことや自分に指示しようとしていることを、相手が何を考えているのか理解しようとすると、次第に相手の伝えたいことの本質が何となく分かってきます。
二つ目は相手より先回りをして次の手を考えること。例えば相手が質問や疑問を投げかけてきたときは、『相手が知りたい情報は何だろう』とか、『前もって説明するべきことは何だろう』と先を考えることです。

これらは頑張りすぎると疲れるのですが、こちらが常に相手の立場になって考える努力をしていくうちに、相手が『この人はプロだ』と思うようになり、そう簡単には理不尽なことを言わなくなると思いますよ。皆さんが“理不尽なことにどう耐えるか”を考える以前に。まあ、口を開けば理不尽なことを言う人は別としてね(笑)」
「もっと ”悔しい” という気持ちを抱け」
―――悔しい。

人が成長する上で、この感情が糧になるということは分かっているつもりだ。
ただそれでも、悔しいものは、悔しい。
“悔しい”という沸々とした感情を無駄にせずに成長の糧に変えるには、まず何を考え、どう行動に移せばよいのだろうか。


  「国土地理院はプロ集団だと思います。
技官は国土の測量、地図の作成を自ら行うのみならず、さまざまな研究、技術開発を行うプロとして、そして事務官はそれらを実施するための予算の確保や広報をはじめとするさまざまな分野においてその技術力を支え、さらに高めてゆくプロとして日々汗を流しています。
だからプロ意識を持って仕事が出来る人にとって、国土地理院という職場は、やりがいがあって面白いと思います。

しかし、もしも皆さんが国土地理院の職員になり、事務官・技官それぞれ異なるフィールドで仕事をしていくと、時には自分の立場や伝えたいことをうまく理解してもらえずに『悔しい』という気持ちを抱くことがあるかもしれません。

  でもそのとき、自分に聞いてみてください、

『じゃあ自分、どこまで勉強した?どこまで今の仕事を理解しているの?どこまで相手のことを理解しているの?』と。

『悔しい』と思ったときこそ、自分の今の仕事を極める努力をする―――これがまさに“プロ意識”だと思いますし、“仕事”とはその繰り返しだと考えています。
先ほど言った、私が新採のときに電話対応で失敗して、先輩に『給与貰ってるだろ』と言われた話ですが、電話口で『分からない』と言ってしまった自分が悔しくて、その日から本や手引きを家に持ち帰って勉強しました。休日もね。」
―――「20代が勝負ですよ。」


鈴木課長の視線が、鋭い。

その言葉は、20代の自分自身に対する後悔からにじみ出た言葉であった。
だから私ももっと20代のときに苦労しておけば・・・いや、苦労しなくてはいけなかったと思います。」
「今振り返ると、20代の私は視野が狭く、聴く力が無かったと思います。上司や先輩に言われたアドバイスが耳に入らなかったというより、その言葉の意味をよく理解できていませんでした。
例えば庶務の仕事を任されていたときに、上司に言われた『どんなポストでも、その仕事を極めろ』という言葉は、『どうして俺の仕事は雑用ばかりなのか』と思っていた当時の私には、あまり心に響きませんでした。
しかし、私が仕事の経験を重ねるにつれて、ようやくその言葉の意味と当時の上司がどれほど私を想っておっしゃっていたのかが分かるようになりました。 今になって考えると、アドバイスをただ“耳に入れる”のではなく、“視野を広げる”という観点で聴くことができれば良かったのかな、と思います。

    そして、20代のうちにもっと苦しい思いをしておけば、もっと踏み込んで仕事ができたのではないかと思います。

  生意気を言わせていただくと、20代が勝負ですよ。
20代のときにいかに歯を食いしばって苦しい思いをするかで、30代、40代が変わります。周りを見たときに、私がすごいなと思う上司や先輩は、20代のときにすごく苦労していました。
だから私ももっと20代のときに苦労しておけば・・・いや、苦労しなくてはいけなかったと思います。」
What is professional?
「20代の頃って、私もそうだったように、同年代の人たちがバリバリ仕事やっているように見えるのです。そして『どうして自分だけがこんな仕事をやっているのだろう』と思うときが来ると思います。

でも、そこのポストを全力で極めれば、必ず次に繋がるはずです。
たとえ今の仕事が、自分に向いていないと思ったとしても。
たとえ今の仕事が、“雑用”に見えたとしても。


“極める”というのは“完璧にする”ということではなく、“努力を惜しまない”ということです。 そして、その“次”というのは上司が決めることではなく、自分自身にとっての“次”です。」

 
―――最後に、私は尋ねた。
―――鈴木課長にとって、“プロ”とは?
プロ意識 それは完璧という意味ではなくて 完
「自分の今の仕事を極める努力をする人だと思います。」

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【職員紹介:技術系】課長に突撃インタビュー!

測地部物理測地課の矢萩課長に突撃インタビューを敢行しました!

(前編)~プレスリリースのウラ話~

2017年8月18日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポの菅井です。
今年の春、「重力値の基準が更新されて体重がほんのわずか軽くなる?!」というニュースを耳にして心躍った方もいるのではないでしょうか。実はあのニュース、国土地理院発の話題だったのです。公務員らしからぬあのワクワクするフレーズはどうやって生まれたのか。その仕掛け人、測地部物理測地課の矢萩課長に突撃インタビューを敢行しました!
前後編に分けてお送りするインタビュー、前編ではプレスリリースの裏側に迫ります。

--------
――――目に見えないけれど、本当に大切なもの。

【菅井】物理測地課はどういう業務を担当しているのですか?
【矢萩】地理院の“測る”は位置を測ることが中心ですが、私達の仕事は少し異色で、重力や地磁気といった“目に見えないもの”を測ることがメインの業務になります。
【菅井】正直、馴染みがないものばかり…。日常生活に関わりはあるのでしょうか?
【矢萩】意外に身近に使われているんですよ。例えば重力について言えば、物体の‘重さ’に影響します。月は重力が小さいので体重が約6分の1になることはよく知られていますが、実は国内でも北海道と沖縄では地球の遠心力の関係で重力が約0.1%違い、同じ物体でも北海道の方が少し重くなります。わずか0.1%ですけど、金1kgで1g、最近の金相場で1gが約5000円なので、そのままだと金を北海道に運ぶだけで丸儲けできちゃう。
【菅井】金額にすると俄然実感が湧きますね(笑)。
【矢萩】そうなると困るので、はかりの校正にも地理院の重力値が使われていたりします。体重計の地域設定なんかもそうですね。普段は全く意識しないですけどね。ほかにも、重力は標高の決定や活断層調査にも使われますし、地磁気は地図の向きを正しく決めるために重要な情報です。
小説「星の王子さま」の中に、「いちばん大切なものは、目に見えない」というフレーズがあります。物理測地はまさにそういう仕事かなと。目に見えないけれど、本当に大切なもの。そういう思いで仕事しています。

――――興味を持ってもらえるような、「攻め」のプレスリリースを。

【菅井】昨年度、国土地理院は重力値の基準を40年ぶりに更新しました(※)。プレスリリースの中で例として使われた「ヤブ蚊数匹分軽くなる」というフレーズを見て、そんな言葉が出てくるか!と衝撃を受けたんですよ。どんな流れから「ヤブ蚊」が出てきたのか、是非知りたいです。
【矢萩】ストレートに重力の説明をしても、さっきの菅井さんのように恐らく一般の方にはピンと来ないと思ったので、どんな表現なら読み手に一番響くかをみんなで考えました。その中で、体重に例えるのが一番身近だろう、と。でも実際に計算してみたら、60kgの体重でも変化は0.6mg(1mgは1gの千分の一)程度でもの凄くちっちゃくて(笑)。それを分かりやすく例えるものを調べたときに、「ヤブ蚊だ!」と。
【菅井】そこでヤブ蚊が出てきたんですか!
【矢萩】他にも候補はあったんです。米1粒の10分の1とか髪の毛とか。でも、10分の1ってよく分からないし、髪の毛も個人差があるので、イメージしやすいヤブ蚊にしました。「ほとんど変わらないんだけどちょっと減って嬉しい」という遊び心と、「それくらい精密な測定をしている」という事実が少しでも話題になればいいなという思いはありました。想像以上の反響でしたけど(笑)
【菅井】プレスリリースを出すにあたって、何かキーフレーズを入れようと思っていたんですか?
【矢萩】実は、少し前に聴講した広報に関する講演会で、「どんなにいい内容でも相手に受け取られなければ意味がない。逆に、本当に伝えたい内容から少しずれても、相手が受け取ってくれれば自分で興味を持って調べてくれる。そんなキャッチボールを期待した『攻め』のプレスリリースをしてもいい」という話を聴いたのが自分の中で大きなショックだったんです。
地理院が重力を測る一番の理由は、水の流れを表す標高を正確に決めるために必要だから。大切だけど、それを前面に出してもきっと届かない。それなら、プレスリリースでは思い切ってその点には敢えて触れず、「体重が変わる」というフレーズで『攻め』ようと考えました。そこで興味を持ってもらえれば、重力測定の本来の意義も調べてくれるのでは、と期待して。実際に様々な取材を受ける中で、本来の目的を丁寧に説明し、記者さんにもその重要性を理解して頂くことができました。しかし、リリースの内容に興味を持ってもらえなければそんなチャンスすらなかったはずです。私にとっても、まさに講演会の内容を実体験する貴重な経験となりました。

※日本の重力値の基準を40年ぶりに更新 ~あなたの体重がほんのわずか変わります~
http://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/gravity_JGSN2016.html

【職員紹介:技術系】課長に突撃インタビュー!(前編) ~プレリリースのウラ話~

今年の春、「重力値の基準が更新されて体重がほんのわずか軽くなる?!」というニュースを耳にして心躍った方もいるのではないでしょうか。実はあのニュース、国土地理院発の話題だったのです。公務員らしからぬあのワクワクするフレーズはどうやって生まれたのか。その仕掛け人、測地部物理測地課の矢萩課長に突撃インタビューを敢行しました!

物理測地課の業務について笑顔で語る矢萩課長。人に話を聞いてもらうコツは「楽しそうに話すこと」だそうです。

今春の重力値基準更新で、青い矢印のところでは「体重が軽く」、赤い矢印のところでは「体重が重く」なりました。皆さんのお住まいの地域ではどうでしょうか?

 

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前編「プレスリリースのウラ話」、いかがでしたか?
後編では、これまでのキャリアからお昼休みの過ごし方まで、矢萩課長の人となりに迫ります。後編「経験は、いつかつながる」、お楽しみに!

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(後編)~経験は、いつかつながる~

2017年8月20日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポの菅井です。
測地部物理測地課の矢萩課長インタビュー後編。今回は、課の業務からは少し離れて、「矢萩課長ってどんな人?」を掘り下げてみました。地理院に入省して、経験を積み重ねていく中で見えてきたこととは?矢萩課長からの心温まるメッセージ、どうぞご覧ください。

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――――バラバラだと思っていたキャリアが全てつながった瞬間。

【菅井】地理院に入省後、どのような業務を経験してきましたか?
【矢萩】最初は測地系の花形であるGEONET(※)に関する業務。その後、内閣府に出向して大規模地震の被害想定やその対策などのとりまとめをしました。地理院に戻ってからは災害時の緊急観測を含む現場での測量作業。1年の半分近く出張という生活でした。その後、再びGEONET関係の仕事に戻った年に東日本大震災が発生し、現地での緊急保守などを経験しました。
今だから言えますが、当時は自分のキャリアがバラバラで一貫性がないことに悩みもありました。しかし、震災直後に現地に派遣された時に、GEONETの知識、出向時に学んだ大規模地震対策の内容、現場作業の経験、そして大学時代に仙台で学んだことまで含めて、それまでの全ての経験が自分の中で一つにつながったんです。すぐに見えなくても、自分が経験したことはいつか必ずつながる。その時を逃さないように、目の前のことに集中して多くのことを自分のものにしておくことが大事だと実感しました。
【菅井】色々な経験を積んでいくことで、結果としてそれらがつながり、やれることの可能性が増える、と。
【矢萩】そうですね。震災後は、基準点の成果改定に全力で取り組みました。私達の仕事は警察や消防のように直接人の命を救うものではないですが、地図を活用した現地での活動の支援や、基準点の迅速な整備により生活を立ち直らせるお手伝いはできる。これは国の機関だからこそできることでもあり、自分の立場でできることを一生懸命に頑張ろうと思いました。
その後、1年間フランスに留学し、内閣官房に二度目の出向をして総理官邸での危機管理業務を担当した後、地理院に戻って現在に至ります。

――――地理院は面白いことがたくさん転がっている場所。

【菅井】矢萩さんは、学生時代にはどんなことを専攻していたのでしょうか?
【矢萩】専攻は地球物理学で、極域のオゾン層と中間圏の大気循環といった気象学に近い分野を研究していました。
【菅井】現在担当されている業務とは関係なさそうですね。どういう経緯で地理院を知って入省に至ったんですか?
【矢萩】実は、当時は地理院の存在を全く知らなかったんです。官庁訪問の時期にたまたま地理院を知って、元々地図も好きだったので、面白そうだなと思ったんですよ。大学時代に研究のためにつくばには何度か来たことがあって馴染みがあったし、緑がたくさんあっていい環境だと感じていたので、ここで働いてもいいかなと思った。これがきっかけですね。
【菅井】地理院の職員には官庁訪問の直前に地理院に興味を持って、そのまま入省する人も結構いますよね。地理院に入省してみて、イメージ通りだったところ、イメージと違っていたところはありますか?
【矢萩】イメージ通りだったのは、環境がいいところ。生活環境はもちろん、仕事をする雰囲気がいい。
いい意味でイメージと違ったのは、職員が技術者としての誇りを持って仕事をしていたところ。測量は基本的にチームプレーなので、地理院にはお互いに助け合う文化があると思います。私も全く違う分野から入省しましたが、先輩方にいろいろ教えてもらいました。また、小さい組織なのでいろんなことができるチャンスがあります。私も、課内や測地の仕事だけではなく、ドローンの操縦技術を磨いたり、防災や危機管理に携わったり、ISOの国際標準の仕事に取り組んだりと、様々な業務に関わらせてもらってます。やりたいという希望は比較的聞いてもらえるので、その気になれば面白いことがたくさん転がっている場所だなと感じます。
【菅井】ドローンの練習は私もご一緒させていただきましたね。矢萩さんが実は同郷(山形)の先輩だと聞いて話が盛り上がったのをよく覚えています。
【矢萩】操縦技術は菅井さんの方がずっと先輩でしたけどね(笑)。同じ地理院内でも普段あまり接点がない職員もいますが、業務を通じて一緒に仕事をしたりすると意外な発見があって楽しいよね。

――――「結果自然になる」。目の前のことに全力で集中すれば道は開ける。

【菅井】最後に地理院への就職を考えている皆さんに一言お願いします。
【矢萩】「結果自然になる」という禅言があります。自分がやれるだけの事を精一杯やれば結果は自然とついてくる、という意味です。研究でも就活でも、就職してからですら、その時自分がやっていることに対して、戸惑ったり、不安に思ったりすることがあると思います。ただ、目の前にあることに全力で取り組んでいればいずれ道は開けると思うので、諦めずに少し粘ってみてください。やっていく中で自分なりの楽しさを探せるくらいの遊び心も大切にしてほしいですね。
【菅井】いろんなことをやっているとつながるという、矢萩さんらしい言葉ですね。私も心に刻みます。ありがとうございました。
※GEONETの解説はこちらから
https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_38136.html

測地部物理測地課の矢萩課長インタビュー後編。
今回は、課の業務からは少し離れて、「矢萩課長ってどんな人?」を掘り下げてみました。地理院に入省して、経験を積み重ねていく中で見えてきたこととは?
矢萩課長からの心温まるメッセージ、どうぞご覧ください。

物理測地課内での打ち合わせの様子。
矢萩課長は人をグイグイ引っ張っていくのは得意ではないという。周りの人の意見をよく聞き、力を借りながらみんなでいいものを作っていこうという姿勢を大事にしている。
 

これは、平成28年4月の熊本地震発生後、現地視察に訪れた松本防災担当副大臣(当時)へ活断層調査の内容を報告しているときの写真だ。「現場作業」、「災害時の対応」、そしてインタビュー前編で触れた「人に伝えること」。このシーンも、矢萩課長の経験がつながった一つの瞬間なのだろう。

オン/オフの切り替えのため、昼休みは運動をしたり、語学の勉強で気分転換を図っている。休日には、サッカーやマラソンをしたり、家族との時間を大切にしている。出身地のサッカーチームへの愛情も失ってはいない。

 

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前後編に分けてお送りした突撃インタビュー、いかがでしたか?
一般職官庁訪問も間近に迫ってきました。悩んでいる人も不安な人も多いことでしょう。矢萩課長からのエールを胸に、あと一踏ん張り。応援しています。

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【職員紹介:技術系】ほぼ未到の地に行った男~絶海の孤島で何をした?~

測地部 測地基準課 加古さん

2017年8月9日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポの渡辺です。国土地理院には、普段訪れることのできない離島や山中での業務があります。今回は、測地基準課の加古係長(入省9年目、土木区分)に、これらの場所での業務経験について、また先月まで受講していた採用後ある程度の年数を経てから受ける高等測量研修についても話していただきます。

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【渡辺】今まではどのようなキャリアパスでしたか?
【加古】1年目の研修後、関東地方測量部(以下、地測)に3年、本院の測地基準課に2年、中部地測に2年、そして今年度測地基準課に戻ってきましたが、引越しの片付けも終わらないまま高等測量研修に3ヶ月間行きました。
【渡辺】本当におつかれさまでした。1年目も普通測量研修があったと思いますが、今回はどのような内容だったのですか?
【加古】普通測量研修は測量の基礎を学びますが、今回はある程度業務を経験しているので、プレゼンのやり方とか、今後職員としてどうあるべきかの話があります。業務で置かれている現状や最新の技術に触れてきたなかで、課題研究も行います。
【渡辺】課題研究で追い込まれていたそうで・・・
【加古】(笑)
【渡辺】テーマはどう決めるんですか?
【加古】課内で解決すべき問題でも、自分が研究したいテーマでもいいです。私は課内の課題解決のほうが絶対にいいと思い、テーマを課内に相談しました。本院とは違う環境での作業に手こずりましたが、何とか成果の提出とプレゼンが終わりました。

*課題研究のテーマについては、写真1で詳しく書いています!

――――南硫黄島は史上100人も上陸していない島

【渡辺】今までは現場での業務が多かったのですか?
【加古】そうです(写真2)。地測にいたときは管内の三角点の設置や維持管理、発注業務とか。本院では離島が現場ですね。
【渡辺】離島での作業の内容は?
【加古】基準点の設置・観測と、標高を求めるために潮位を測る簡易験潮。ベヨネース列岩と南硫黄島に行きました。
【渡辺】普通には行けない場所ですね。
【加古】特に南硫黄島は史上100人も上陸していない島で、上陸するまで約50時間もかかり、作業も大変でした。ただ、釣った魚をさばいてもらったり、星も綺麗だったし、その辺は楽しかったかなー。
【渡辺】やはり離島で業務をしたいと思っていたのですか?
【加古】離島に基準点を設置したくて、冠字は「領」をいただきました(冠字とは、三角点の測量を実施する測量官に与えられる漢字1文字)。
【渡辺】その夢が叶いましたね!

*離島での作業は写真3(ベヨネース列岩)、写真4(南硫黄島)で詳しく触れています!

――――危険とは隣り合わせにいたくないから。

【渡辺】最初の現場での作業はどうでしたか?
【加古】長野県栄村の山へ暑い時期に片道2時間、四島三角点の標石を背負って登ったのが初めての現場で、すごくきつかった記憶がありますね。その後栄村が震源の地震があり、自分が置いた点をすぐ測り直しに行くという・・・。しかもそのときは雪に熊の足跡が。危なかったなーってことは記憶に残ります(汗)。
【渡辺】良くぞご無事で。現場に備えて体力づくりはしていたのですか?
【加古】測地系に行きたかったので、身体は資本だと思い、1年目の研修では朝か夜に毎日走り、土日は8kmずつ走っていたので、石を背負った登山も困りませんでした。日光白根山の作業では、3人ローテーションで68kgの標石を背負って5時間かけて登りましたし。ただ、地測へ行くと走るのをやめちゃって。で、太って(笑)
【渡辺】つくばでもランニングを始めないとですね(笑)。でもこうした日ごろの鍛錬で、離島や山奥でも作業をこなせる体力がついたんですね。また、体力に加えて作業の安全確保も大事だと思いますが、一昨年、技術報告会の発表では、特別賞を受賞されていましたね(写真5)。
【加古】危険とは隣り合わせにいたくないから。当時の幹部に、「最近、プログラム等の技術の話が多いなか、“現場の作業を安全で効率的に行うには”というテーマが良かった」とコメントをいただきました。
【渡辺】現場での経験ありきの発表内容ですね。

――――結構、なるようになると思っている

【渡辺】採用前にはどういった勉強・研究をされていましたか?
【加古】大学都市デザイン工学、大学院が環境工学。粘土の透水性について研究していました。地理院にはめぐり合わせで入省しました。
【渡辺】何かの縁に引き寄せられたのですね。それでは、最後に官庁訪問を控えたみなさんに一言お願いします!
【加古】結局は運とかめぐり合わせだから、自分がこれだと思ったら、それに向かって進んでいけばいいと思います。結構、なるようになると思っているところもあるので。
【渡辺】ありがとうございました。

写真1:[左]漁船に乗り笑顔を見せる加古さん[右上]南硫黄島の遠景[右下]ベヨネース列岩での簡易験潮

【写真1】
 今回は測地基準課の加古さんにインタビューを行った。加古さんはキャリアの中で、基準点設置等に関する現場経験を多く行い、現在は測地基準課に配属されている。先月まで行われた高等測量研修にも参加した。高等測量研修の目的は「測量・地図に関する高度な専門的知識及び技術を習得させ、職務遂行能力の向上を図る」ことだ。そこで行った課題研究のテーマは「電子基準点のデータを使って標高の補正ができないか」。
 標高は、水準測量のデータに重力値等の補正計算をして正しい標高として算出しているが、地震等による地殻変動があった地域では衛星からの電波を連続的に受信する「電子基準点」のデータを使って標高を補正できないか検討されている。今回の研究は、東北地方において、平成23年の東日本大震災後のデータに電子基準点のデータで補正をかけた値と、平成28年に実際に観測して出てきた値との差分を見て、今ある電子基準点のデータだけでどれくらいの精度で補正できるのかを見る、というものだ。
 研究で使うプログラム言語が加古さんにとってあまり触れてこなかった言語だったこと、本院と動作環境が違ったこと、数々のバグ修正があったこと等の逆境もあったが、研修全体を振り返り、「今までは基礎を活かすだけで良かったけど、そこからステップアップするのに、人に説明をしたり、計画を自分で立てたり、目標を立ててどういう段階で到達しないといけなかったり、そういうスキルを学ぶのが高等測量研修なのかな。」と話していた。

写真2:加古さんがこれまでに作業を行った現場の一部

【写真2】
 加古さんがこれまでに作業を行った現場の一部を地図にした(本文中に取り上げた現場は写真つき)。山奥から離島まで、あらゆる場所に設置されている基準点の設置や観測に携わっている。加古さんが新設した三角点は現在合計20点で、一等三角点も2点含んでいる。ちなみに三角点の標石は四等で約40kg、二等・三等で65kg以上、一等ではなんと90kg以上だ。本文中に触れた日光白根山の二等三角点再設作業の「5時間」という登山時間は想定以上の速さで、2日行程の予定を1日で終えたそうだ。とにかく現場での話をするときのいきいきした表情が印象的だ。この中でも離島の2箇所、ベヨネース列岩と南硫黄島での作業は以降の写真で詳しく述べる。
 また、場所が場所だけに危険も近くに潜んでいる。様々な現場を経験したからこそ、身の安全に関する意識も高く持つようになったそうだ。これについては写真5で述べる、技術報告会の内容にも関わってくるだろう。

写真3:ベヨネース列岩

【写真3】
 ベヨネース列岩には東京から八丈島まではフェリーで行き、そこから傭船した漁船で向かった。傭船の手続き等も自ら行う。砂浜がなく岸壁なので、上陸がとても難しかったという。基準点の設置と簡易験潮を行ったが、台風の接近による影響で波のうねりが大きくなり、2泊の行程を1泊に変えて作業をした。写真1の右下はベヨネース列岩での簡易験潮の様子である。波が打ちつける岸壁での作業だったことがわかる。
 また、上陸して寝られる場所はなく、漁船の中で一夜を明かしたそうだ。船のエンジンオイルの匂いが漂ってきそうな臨場感のある話だ。

写真4:南硫黄島[上]南硫黄島上陸の様子[下]GNSS測量機を載せた係留ブイを用いた潮位観測

【写真4】
 実は写真1の右上にある島は、南硫黄島の遠景だ。南硫黄島には、東京から父島まで25時間半(当時。現在は24時間で行ける。)かけて行き、父島からさらに「翔鴎(かもめとぶ)号」というヨットで27時間半かけて南硫黄島に行った。この時点で丸二日以上かかっている。もちろん帰りも同じ。
 
 [写真 上]加古さんいわく、島は「麦わら帽子」のような形らしく、岸壁ではなく僅からながら浜があり、上陸を繰り返すリスクを考えた結果、浜で寝泊りした。丸石がごろごろ転がっている状態の浜の上に簡易ベッドを敷いて寝床を確保したが、低緯度のため熱帯性の気候で寝苦しかったそうだ。
  
 [写真 下]ベヨネース列岩と同様の作業に加え、このときにGNSS測量機を載せた係留ブイを用いた潮位観測の検証も行った。

写真5:技術報告会表彰式

【写真5】
 技術報告会は国土地理院内で毎年行われる、主に若手職員による課内業務等の口頭・ポスターによるプレゼンテーションの場である。加古さんは千葉県勝浦市及び、写真4[下]で述べた南硫黄島での簡易験潮とGNSS験潮で求めた基準点の標高差を検証し、より安全かつ効率的に行えるGNSS験潮が十分な精度を持つことを実証した。その成果をまとめた報告では、現場に着目したテーマが評価されて、特別賞を受賞した。
 この写真は、中部地測で行われた技術報告会表彰式の様子である。

 

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【職員紹介:技術系】国土地理院の研究官に突撃!

地理地殻活動研究センター 研究官 宮崎さん

2017年7月20日公開→Facebookで見る

こんにちは。リクサポメンバーの佐藤です。一般職の官庁訪問も間近ですが、入省後の多様なキャリアパスの一例として、「研究」の道があるのはご存知でしょうか。
今回は研究官として活躍している、地理地殻活動研究センターの宮崎さんに突撃インタビューを行いました。業務内容はもちろん研究官ならではのお話などをたっぷり聞いてきたので、どうぞご覧ください!

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【佐藤】:本日はよろしくお願いいたします。では、宮﨑さんの研究内容を教えてください。
【宮﨑】:主にふたつありまして、一つは重力の時空間変動です。重力は測定場所や地下の質量の状態が変わると観測される値も変わります。これらが時間の経過や場所の違いとともにどのように変動していくかをテーマにしています。もう一つはGNSS観測から得られた測位解(緯度・経度・高さ)のデータを使って、地震が起きた後に起こる余効変動を統計学的な手法によってモデル化することをテーマにしています。
【佐藤】:面白そうですね、とても。入省してすぐに研究センターに配属されたわけではないのですよね?
【宮﨑】:最初は重力を観測するところに配属されました。
【佐藤】:測地部物理測地課重力係ですね。
【宮﨑】:そうです。全国の重力を測っていました。最近新しい日本の重力基準網が国土地理院から公表されましたけど、従来の計算処理を見直して、新しい計算処理を作る仕事を担当させて頂きました。
【佐藤】:おおー!
【宮﨑】:入省したときには統計学やプログラミングの知識はほとんどゼロでしたが、そのときに勉強して、計算処理の基本を作りました。その後研究センターに配属され今年で3年目になります。
【佐藤】:GNSSの研究はどういった経緯ではじめたのですか?
【宮﨑】:重力の時間変化の研究をやっていて、重力値は観測点の高さに連動して敏感に変化してしまうんですよね。そこで重力値の変動を説明するモデルを作ることを考えたときに、電子基準点等の上下変動のデータを使用することにしました。その流れで今は本格的に研究させていただいています。
【佐藤】:そうなのですね。研究官の仕事で大変なことは何ですか?
【宮﨑】:研究は必ずうまくいくわけじゃなく、手探りで進む作業ですから、どれくらい時間をかければ済むのか分からない中で仕事をするのは少し大変ですね。
【佐藤】:大学の研究との違いはありますか?
【宮﨑】:地理院で実施する研究としては社会の役に立つという部分がより要求されると思います。テーマ設定もその点を意識してやることが多いです。あと地理院で研究することのメリットは地理院がこれまでに蓄積してきた非常に膨大な観測データを即座に扱えることですね。様々な観測データの担当者と直接やり取りできるのも良いです。例えば最近DEM(デジタル標高モデル)データを基本図情報部の担当者からもらって、重力観測点の周辺の地形が重力に与える影響を計算するのに使いました。こういう膨大な観測データに立脚した研究が行いやすいというのは地理院ならではだと思います。

――――後輩の技術力を底上げするような取り組みもできたらいいと思っています。

【佐藤】:今後は、どのようなことに取り組みたいと思っていますか?
【宮﨑】:今は主に重力とGNSS関連の2つを研究させてもらっていますけど、それだけだと芸の幅が広がらないところがあるので、将来的には地磁気や干渉SARなど、他の測地技術もひととおりやってみたいなと思っていますね。
【佐藤】:測位技術はカテゴライズされてはいますが、それぞれ繋がっていますからね。
【宮﨑】:そうそう。特にこれからはさまざまな測地技術を組み合わせて一つの良いプロダクトを作っていくという仕事が大事になっていくんじゃないかなと思うので、そういう仕事にも関われたらいいなと思います。
あと、勉強会などを通じて後輩の技術力を底上げするような取り組みもできたらいいかなと思っています。
【佐藤】:是非開催して下さい!

――――研究センターにいて、総合職と一般職の違いを感じたことは特にないですね。

【佐藤】:ちなみに、一度研究センターに配属されると何年くらい同じ部署にいられるのでしょう?
【宮﨑】:それは分かりません。測地部や測地観測センターに今後配属されることも十分あると思います。研究センターには公募採用ではじめから研究官として採用された方もいらっしゃいますが、その方々は比較的長い期間研究官として仕事をされています。私は今で言う一般職の採用区分で採用されているので、部署異動は他の職員と同じだと思います。
【佐藤】:部署異動の機会は研究官も他の部の職員も同じってことですね。そういえば、研究センターには総合職の職員の方が多いんでしたっけ?
【宮﨑】:多いかもしれない…ですが、研究センターにいて総合職と一般職の違いを意識したことはあまりないですね。他の研究官の方が面白い研究をされていると、それに刺激されて自分も頑張ろうという気分になります。私の所属研究室では研究上の議論などもしやすいので、とても働きやすい雰囲気だと思います。

――――人生楽しんだもの勝ちってのもありますし。

【佐藤】:研究が行き詰まったりしたときはどうしていますか?
【宮﨑】:研究がうまくいっていないときは、旅行に行っちゃったりしますね。人生楽しんだもの勝ちってのもありますし、タイミングがよければ少々無理でも時間を作って休憩することはありますね。
【佐藤】:休日は何をしていますか?
【宮﨑】:私の妻はわりと外に出ていろいろ観光したい人なので、車で観光地に連れて行ってあげたりしています。
【佐藤】:旅行が趣味ということですか?
【宮﨑】:結果的にはそうなっているかもしれません。私だけだと休日は本を読むだけとかになってしまうことが多いのですが、外に出かけてリフレッシュする機会を作ってくれる妻には感謝しています。

――――観測・研究・行政など幅広い仕事を経験できるのが魅力のひとつ

【佐藤】:では最後に受験生に一言お願いいたします!
【宮﨑】:国土地理院では部署によって比率は違いますが、観測・研究・行政など幅広い仕事を経験できるのが魅力のひとつかと思います。就職活動は自分と相性のあう職場を探すプロセスという側面もあるのでいろいろな会社の面接を受けてみるのは良いことだと思いますが、上記のような仕事に少しでも興味があれば、公務員試験に受かる必要はありますけれども国土地理院も検討のテーブルに加えてもらえればと思います。

※GNSSとは??
https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_aboutGNSS.html
※あなたの体重がほんのわずか変わります
http://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/gravity_JGSN2016.html

地理地殻活動研究センター 宮崎さん 執務室にて

インタビュー風景

 

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