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よくある質問と回答

1.GNSS連続観測システム(GEONET)について知りたいのですが?

 GNSS連続観測システム(GEONET:GNSS Earth Observation Network System)とは、全国約1,200ヶ所に設置された電子基準点とGEONET中央局(茨城県つくば市)からなる、高密度かつ高精度な測量網の構築と広域の地殻変動の監視のために国土地理院が運用しているシステムです。
 詳細は「GNSS連続観測システム(GEONET)」ページをご覧いただくか、国土地理院時報(2004,103集)の「小特集 電子基準点1,200点の全国整備について」をご覧ください。

2.「日々の座標値【F3】」とはどのようなものですか?

 電子基準点の観測データを「GNSS連続観測システム(GEONET)」により日々解析した結果が「日々の座標値」です。「日本列島の地殻変動」ページでは、この結果を利用した地殻変動情報を提供しています。
 2009年6月までは解析戦略[F2]による結果から地殻変動情報を提供していましたが、 2009年7月以降、改良された解析戦略[F3]による結果を利用して情報を提供しています。詳しくは、新しい解析の主な改良点をご覧ください。
 なお、詳細については国土地理院時報(2009,118集)をご覧ください。

2-1.地心直交座標系とはなんですか?

地心直交座標系概念図  回転楕円体(地球表面を近似したもの)の中心を原点とし、原点から経度0度の子午線と赤道との交点を通る直線をX軸、東経90度の子午線と赤道の交点を通る直線をY軸、回転楕円体の短軸をZ軸とした3次元直交座標系です。
 GEONETで計算している「日々の座標値」は、この地心直交座標系の座標値を求めています。
 詳しくは、地心直交座標系から緯度経度への変換をご覧ください。

2-2.「日々の座標値」からどのように変動量を求めているのですか?

 いくつか方法がありますが、変動量が楕円体(地球)のスケールに対して十分に小さければ、XYZ(地心座標値)方向の変動を、観測点の緯度・経度で座標変換(回転)し、NEU(東西南北および上下)方向の成分を求める方法が最も単純です。
 例えば、緯度B、経度Lの点で、変動量(dX,dY,dZ)が得られたとすれば、

dN = -sinB・cosL・dX - sinB・sinL・dY + cosB・dZ
dE = -sinL・dX + cosL・dY
dU = cosB・cosL・dX + cosB・sinL・dY + sinB・dZ

が局所座標(B,L)におけるNEU方向の「変動量」となります。

3.地殻変動とは関係のない座標変化とはどのようなものですか?

 地殻変動以外の原因で電子基準点が移動する場合と、本当の移動ではなく観測条件やノイズの変化によってあたかも移動しているように見える場合とがあります。
 前者の例としては、局所的な地盤変動や凍上現象などによる電子基準点の変動等、後者には、季節変化に伴う影響(気象条件に関するノイズ、電子基準点周辺の樹木の生長等)や建物の新築等によるGNSS電波の受信障害があります。なお、受信障害の影響による座標変化については変化量を推定することができないため数値の補正をしていません。
 また、「日本列島の地殻変動」では、地殻変動以外の原因による異常と判断されるデータは、削除する場合があります。
 これらについて、いくつかの事例を国土地理院における地殻変動か否かの検討事例としてまとめましたので参考にご覧ください。(事例については順次追加する予定です)

3-1.障害物(樹木、建物等)による影響とは何ですか?

 電子基準点はGNSS衛星からの電波を連続して受信していますが、電子基準点の周囲に障害物(樹木、建物、電波源)があると、電波の中断や反射波の影響により解析結果に影響をあたえることがあります。日付の特定できる樹木伐採については、電子基準点保守作業リストに記載しています。電子基準点保守作業リストは、電子基準点データ提供サービスの「提供サービス入り口」からログイン後(ID・パスワードが必要)、地図の上にある「各種データ」を選び、左列上から3番目の「保守作業リスト」をクリックしたページにあります。

障害物(樹木)による影響 電子基準点 淡路一宮(950360)
写真1_伐採前 写真2_伐採後
樹木伐採前 樹木伐採後

 座標変化グラフでは、樹木伐採前後で座標値に変動が見られます。
樹木伐採前後のグラフ

3-2.アンテナの交換による影響とは何ですか?

 観測点のアンテナを交換すると、座標値に変化が生じることがあります。その原因は、アンテナの取り付け位置が交換前と同じではないことや、アンテナ交換によってGNSS信号の位相の測定条件が変化することにあります。この座標値の変化については4-1のように補正処理を行います。

アンテナ交換

3-3.凍上現象による影響とは何ですか?

 北海道道東地域に設置された電子基準点の多くは、冬季になると地殻変動とは異なる特異な変位量を示すことが確認されており、これは凍上現象が大きな要因と考えられています。凍上現象による変位は数ヶ月に及び、座標変化において数cmに達することもあります。

凍上現象グラフ

3-4.地下水の汲み上げによる影響とは何ですか?

 電子基準点の周囲で地下水位の上下変動が発生した場合、局所的な地盤の上下変動が発生する場合があります。地下水位の変動の要因として、農作業、消雪に伴う地下水の汲み上げ等が考えられます。

つくば比高グラフ
 毎年春から夏にかけて農作業での地下水の汲み上げに伴う高さ方向の変化が見られます。
 (参考:飛田ほか(2004)つくば市周辺の地下水位と地盤の季節変動、測地学会誌、第50巻、第1号、pp. 27-37)

山形新庄比高グラフ
 毎年冬季の消雪のための地下水汲み上げに伴い、西方向及び沈下方向の変化が見られます。(参考:兒玉ほか(2008)

3-5.夏季の気象状況等による影響とは何ですか?

 樹木の枝葉の繁茂に伴う直接的なGNSS電波の中断による影響のほかに、大気中の水蒸気量の増加や、周辺植生からの反射波の影響により、ノイズが増加し、座標値のばらつきが大きくなることがあります。これは一般的に冬季より夏季に多く発生し、全国的に見られます(図は鹿児島県、長野県、岡山県、秋田県の電子基準点の例)。

指宿座標変化グラフ
 夏季(7月~9月)に東西、南北、高さ方向で通常よりも大きなばらつきが見られます。

3-6.着雪による影響とは何ですか?

 大雪の気象状況の際に、アンテナレドームへの着雪による伝播遅延が原因と考えられる座標値のとび(実際の変動を伴わない見かけ上の座標値の変化)が発生することがあります。大雪の前後の観測データのSNR(Signal to Noise Ratio)を比較しても、大雪の際には通常とは異なったパターンが確認されました。

大雪の影響
 大雪に見舞われた日(2月8~9日、14~15日)にだけ高さ方向のとびが見られます。(参考:今給黎ほか(2014)降雪がGEONET測位解に及ぼす影響について、日本測地学会第122回講演会講演要旨)

3-7.その他にどのようなものがありますか?

 気象状況だけではなく、その他の原因によっても以下に示すように座標値のとびが生じることがあります。

工事の影響
 電子基準点近傍での工事に伴う重機の頻繁な移動等による受信障害等の影響で、座標値のとびが発生したと考えられます。電子基準点内に設置されている傾斜計にもわずかな変位が観測されました。

電波干渉
 周期的な高さ成分の変化がみられますが、水準測量により実際の変動ではないことが分かっています。原因は電波の受信障害と推測されますが、原因の調査を行っています。

4.人為的な要因による変動量の補正とは何ですか?

 地殻変動とは関係のない座標変化のうち、保守(アンテナ交換等)による座標変化は、原因が明らかであり、日時も特定できるので、変化量を推定して補正することが可能です。日本列島の地殻変動ホームページで表示やダウンロードされるデータは、「電子基準点データ提供サービス」より提供されている「電子基準点日々の座標値ファイル」の数値に、これらの推定可能な変化量を補正しています。

 原因が明らかであり日時も特定できるアンテナ交換や設置位置の再調整などの保守作業等のうち、電子基準点の座標に影響する可能性が高いもの一覧表を「電子基準点保守作業リスト」(要ログイン)として公開しています。

4-1.保守(アンテナ交換等)によるオフセットの補正とは何ですか?

 例えば、観測点のアンテナを交換すると、取り付け位置の変化やGNSS信号の位相の測定条件の変化によって3-2のように座標値に変化が生じます。測定条件の変化はデータ解析時にある程度までは補正可能ですが、完全な補正は難しいため、解析結果にオフセットの補正処理を行いデータに連続性を持たせています。

アンテナオフセット補正

4-2.オフセットの補正計算はどうやって行っているのですか?

 基本的には、保守の前数日間の座標の平均値と、後数日間の座標の平均値の差をとって、補正値としています。国土地理院では、より確実にオフセットを結合させるため、幾つかの工夫を行い計算しています。

5.ホームページのデータやアニメーションを論文等に引用したいのですが?

 「日本列島の地殻変動」ホームページに掲載されているデータやアニメーション等を論文などで引用する場合は国土地理院コンテンツ利用規約に従いご利用ください。

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