地震による崩壊についての解析事例

地震として扱った2つのケースについて、傾斜と崩壊地セルの面積率(同じ傾斜度を持つセルの中で崩壊した面積の割合)の対応を下図に示した(傾斜はすべて13x13(26m四方)の標高点を用いて計算した)。

傾斜と崩壊地セルの面積率

地震による崩壊の場合は、傾斜が大きいほど崩壊は起こりやすくなるが、同時に傾斜が大きくなればなるほど崩壊しやすくなる傾向も見られた。

 

次に、凹凸度と崩壊地セルの面積率の対比について下図に示した(凹凸度はすべて17x17(34m四方)の標高点を用いてLOGフィルタで計算(ラプラシアン)。平地・緩斜面(5x5の傾斜<5度とした)を除きグラフを作成)。

 

凹凸度毎の崩壊地セル面積率

図の通り凹凸に関わらずピークが現れる形となっており、豪雨のときほど凹度が影響しているわけではない。

 

崩壊地の位置と斜面型

上図は岩手宮城内陸地震の例であるが、地震による崩壊の場合は尾根型(凸型)斜面・谷型(凹型)斜面ともに崩壊が現れていることが分かる。

 

 

 

地震による斜面崩壊のケースでは、「岩相によって崩壊頻度の違いがある」という傾向や、「節理に起因する岩盤崩壊の多発域では、崩壊地アセスメントに最適ウィンドウサイズはない」という傾向も見られるが、何よりも「崩壊が大型で傾斜の寄与が非常に強い」という点が豪雨による斜面崩壊と比較して一番際立った特徴となっている。

 

 

 

このことから、「地震による斜面崩壊の発生は傾斜でほとんど決まるため傾斜分級図の作成が効果的である」と整理した。

 

 

 

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