測量・地図分野研究課題事後評価書

提案課・室名
問合せ先
課・室名:地理地殻活動研究センター地殻変動研究室
TEL:0298-64-6925  FAX:0298-64-2655
代表担当者:地殻変動研究室長   村上 亮
研究課題名 最近5カ年間の地殻変動研究
予算  
研究期間 1994年4月~1999年3月
分科会委員 ○竹本修三  川崎一郎  横山紘一 (○は主査)
[1]当初計画における目標成果の最終達成度 (コメント)
測量と防災を担う国家機関として、概ね使命に応える研究成果を挙げている。
[2]研究の貢献度 (コメント)
  • 観測成果に基づいた国土地理院の研究者らによる研究は、関連する測地学、地球物理学等の研究発展に貢献している。
  • 国土地理院のGPS等の宇宙測地技術による観測成果、ならびに水準測量等の従来手法による測量成果に基づいた国土地理院の研究者らによる研究は、関連する測地学、地球物理学等の研究発展に貢献している。
  • また、これらの観測成果は、防災政策上の基礎データとして活用されると共に研究成果を背景に、地震予知および火山噴火予知にも多大の貢献をなしている。
[3]成果発表 (コメント)
  • 国内外の学会等においての発表および学術誌上での発表等を通じて成果は広く公開されている。
  • 国土地理院の測量・観測成果は外部の研究者にも公開され、地球科学の発展に貢献しているほか、成果の一部はインターネットのホームページを通じて一般にも広く公開されている。
[4]不完全要因 (コメント)
  • 国際的な枠組みの構築が未整備であったことも一因であるが、VLBIなどの国際共同観測への取り組みが不十分で、グローバルな地殻変動の詳細の解明に必要なデータが不足している。
  • 地殻変動のメカニズムにまで迫るには、地殻変動シミュレーションなどの新しい手法が有効であると学会などで認識され始めている。国土地理院で蓄積されつつある観測・測量成果を効果的に利用した地殻変動シミュレーションなどへの取り組みがこれまで十分とはいえず、メカニズムなど本質的な要因にまで迫ることが不十分であった。
  • 後継者育成のための教育システムが未整備である。
[5]成果の活用方針・見込み (コメント)
  • 国土地理院の観測と研究の成果は、地震予知・火山噴火予知のために現在広く利用されており、防災研究や対策に貢献している。
  • これらの成果が地震予知・火山噴火予知などの防災面ばかりでなく、地球科学の研究発展に広く寄与するために、データセンター的機能を強化するとともに外部の研究者がデータを利用しやすい環境を一層整えることが望まれる。
[6]残された課題と新たな研究開発の方向 (コメント)
  • グローバルな地殻変動の詳細を解明するため、特に、国際的なVLBI観測の頻度を高めるべきである。
  • 地震予知を担う国家機関として、地殻変動シミュレーション手法の開発をさらに充実させる必要がある。このような研究は、地震予知研究の新しい柱の一つになりうるだけでなく、地球科学の重要なテーマにもなりつつある。
  • 国土地理院の観測成果と研究成果に基づいて、独創性のある先端的な研究にも取り組むことが望まれる。
[7]その他、課題内容に応じ必要な事項 (コメント)
測量、測地学、地殻変動研究を担う国家機関として多くのデータを有し、設備等も整備されている地殻変動研究の拠点の一つとして、さまざまな制度を利用しつつ、国内外の外部研究者との交流を一層拡大することが重要である。
総合評価  ○1.十分な成果  2.一部不満足  3.部分的成果  4.失敗
(コメント)研究成果に対する総合評価を、外部評価委員会(分科会)が記述する。

測量・防災に係わる国家行政機関という枠内では、十分な研究成果を挙げてきたと考える。平成10年度に研究職が配置されたことから、今後、研究面での一層の発展が期待できる。また、今後は、後継者育成への努力が望まれる。