三宅島山頂の陥没地形の計測

Caldera Subsidence Measurement at Miyakejima Summit

地理地殻活動研究センター  長谷川裕之・村上 亮・政春尋志
Geography and Crustal Dynamics Research Center
Hiroyuki HASEGAWA,Makoto MURAKAMI and Hiroshi MASAHARU
測図部  松尾 馨・小荒井衛
Topographic Department Kaoru MATSUO,Mamoru KOARAI

要旨

 2000年6月に始まった三宅島の火山活動では、山腹噴火と溶岩流の流出が主体であった過去数回の噴火と異なり、山頂部の陥没から山頂噴火、カルデラ形成を経て火口から大量のSO2を放出するようになり現在に至っている。この陥没によるカルデラ形成という出来事はこれまでに詳細な研究はなされておらず、どのような過程を経るのかよく分かっていない。従って陥没の進行状況を定量的に計測することは火山活動への理解を深める上で非常に意義があると考えられる。GPS、傾斜計、重力計などによる観測は火山の活動を高精度に捉えることができるが、よほど高密度の観測網を構築しない限りはカルデラの形成過程を理解する上で必要な空間的な解像度に欠けている。そこで国土地理院では、航空写真のステレオマッチングデータ、SAR画像のシングルパス干渉データなどを用いて数時期のDTMを作成し陥没カルデラの地形を定量的に計測し、時系列的な変化を調べた。その結果、陥没体積は開始時から少なくとも8月初めまで一日1,500万m3の割合で直線的に増加していることが分かった。9月以降は陥没の進行はほぼ停止しており、大きな変化は生じていないことが分かった。