岩手山航空磁気測量図の作成

Aeromagnetic Anomalies over Mount Iwate Volcano

測地部  錦 輝明・白井宏樹
Geodetic Department Teruaki NISHIKI and Hiroki SHIRAI
科学技術庁研究開発局  藤原 智
Science and Technology Agency, Research and Development Bureau Satoshi FUJIWARA

要旨

 1999年夏に岩手山周辺で航空機磁気測量を実施し、空中の磁気分布を示す磁気図を作成し、国土地理院技術資料「岩手山航空磁気図 B.1-No.27」として刊行した。本稿では、その作成過程よ結果について述べる。火山地域の航空磁気測量は今回初めて実施され、従来の全国航空磁気測量とは質・量ともに異なった種類のデータが得られた。また、火山地域での利用に即した成果が必要とされるために、新たな解析技術の開発を行った。今回の調査結果から、西岩手山に地表のごく近くまで地下の熱が達していることを示す負の磁気異常が認められた。一方、東岩手山は表層の火山岩の磁化が極めて強いことを示す正の磁気異常が見られ、表層まで熱が達していないことがわかるなど、岩手山の構造と熱の分布に関する多くの情報が得られた。