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地理院ホーム  > 刊行物・資料  > 国土地理院時報  >  国土地理院時報(2010,120集)目次  > 国土地理院時報(2010,120集)要旨 最終更新日:2010年12月16日

国土地理院時報(2010,120集)要旨

Landslides Movement Detection Using SAR Interferometry Image in Mt. Gassan Area, Yamagata Prefecture
 
測地部  鈴木 啓・雨貝知美・森下 遊
地理地殻活動研究センター  佐藤 浩・小荒井 衛
地理調査部  関口辰夫
 
【要 旨】
  国土地理院は,陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されているLバンド合成開口レーダーの観測データを用いて,SAR干渉解析を定常的に実施している.定常的に監視する解析地域は,地盤沈下・火山・地すべり地域を対象とし,その解析結果を順次Web等により公開している.
  地すべりの定常監視地域に該当する山形県月山周辺では,SAR干渉解析によって,地すべり性の地表変動が数ヶ所捉えられた.その中でも七五三掛(しめかけ)地区や志津地区では,約500m四方の地すべり性地表変動が検出された.特に七五三掛地区では,2009年2月下旬から地すべりが再活動し,春先の雪解け時期にかけて大きな被害をもたらした.SAR干渉解析では,この七五三掛地区で再活動した地すべりの前兆現象と思われる非常に緩やかな地表変動(約6~7cm/year)を捉えていた.この情報は,月山周辺の地すべり監視・対策を担う官署の1つである国土交通省新庄河川事務所に提供し,地すべり監視を目的としたGPS観測点を設置する上で貴重な情報として活用された.
  また,志津地区では,地すべり監視のため2006年から新庄河川事務所において,GPS観測が継続されている.そこで,SAR干渉解析で検出した変動量とGPS観測結果を比較した結果,概ね一致していることが示された.
 
  本文[PDF:3,264KB]
 
Proposal for SAR Interferometry Image Interpretation Card on Landslide Surface Deformation
 
地理地殻活動研究センター  佐藤 浩・小荒井 衛・飛田幹男
測地部  鈴木 啓・雨貝知美
地理調査部  関口辰夫
測地観測センター  矢来博司
 
【要 旨】
  陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されているL バンド合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar:SAR)の観測データを用いた干渉解析によっ て,平成19年能登半島地震(M6.9)による地すべ り性地表変動が検出されたことが先行研究で報告さ れた.その研究では,SAR干渉画像から地すべり性 地表変動をどのように判読するのかが説明されてい る.その後,能登半島地震を例に,対象地区を増や してSAR干渉画像の判読例を解説した「地すべり性 地表変動に関するSAR干渉画像判読カード」を作成 して国土地理院のWebから公表した.本稿では,そ の判読カードの様式と内容を説明するとともに,山 形県鶴岡市七五三掛地区に平成21年2月から被害 を与えた地すべりを例として,SAR干渉画像判読カ ードを作成したので,その結果を報告する.
 
  本文[PDF:2,233KB]
 
Approach to Efficient Leveling by Using InSAR
 
測地部  森下 遊・鈴木 啓・雨貝知美・唐沢正夫
近畿地方測量部  藤原みどり
 
【要 旨】
  国土地理院は,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS) に搭載されているLバンド合成開口レーダー(PALSAR)の観測データを用いて,SAR干渉解析を 定常的に実施している.対象とする現象は,主に地 震,火山,地盤沈下,地すべりであり,これまでに 数多くの変動が検出されている.
  地盤沈下に関しては,干渉SARを活用した効率的 な水準測量の実施が期待されている.今回,水準測 量が実施されていなかった地域において,干渉SARによって地盤沈下が検出された.そこで実証実験と して,その干渉SARの結果を参考にして効率の良い 水準路線を選定するという初めての試みを行い,当 該地域で継続して水準測量とSAR干渉解析を実施し た.その結果,少数の水準点の配点で詳細な変動を 把握することができ,効率的な水準測量の実施に成 功した.
  また,干渉SARにおいて,複数の解析結果を平均 するスタッキングという手法を用いることにより, ノイズの影響が軽減され,沈下量が小さくこれまで 検出が困難であった地盤沈下も検出できる可能性が あることがわかった.
  今回の実証実験における水準測量の実施方法は, 今後の地盤沈下監視のための水準測量におけるモデ ルケースとなるであろう.
 
  本文[PDF:4,240KB]
 
Characteristics of Land Cover Change on Tama Hill Area Using Time-serial Geographic Information
 
地理地殻活動研究センター  小荒井 衛
 
【要 旨】
  明治初期の地形図である迅速測図原図や終戦直後に撮影された米軍空中写真,並びに環境省の5万分1現存植生図など,位置精度や分類項目の異なる時系列地理情報を活用して,多摩ニュータウン地域における開発に伴う過去の土地被覆や植生の変遷を捉えた.その結果,明治初期には6割弱残っていた森林が戦後には4割になり昭和後期には2割に減少していること,終戦直後に全体の1割だった人工改変地が昭和後期には5割を超えていることがわかった.改変地へ変わったものは森林からよりも耕作地からが多く,昭和後期には森林が20%残されているのに対し,耕作地は5%しか残されていない.一部考えにくい土地被覆の変化が一定以上の面積で認められたが,その原因は現存植生図のポリゴンデータの位置ズレ,現存植生図で細かいポリゴンが取得されていないことによるもの,迅速測図の谷部分での位置精度の悪さなどである.
 
  本文[PDF:2,884KB]
 
Improvement on Failure Detection System Based on GEONET Time Series Data
 
地理空間情報部  小清水寛
測地観測センター  野神 憩
 
【要 旨】
  GEONETを構成するGPS観測点集合に対して,周辺環境の変化に起因する特異な変動を示す観測点(以下「異常観測点」と呼ぶことにする)を検出する異常観測点検出表示システムの初期版の改良を行った.システム初期版は,GPS観測点集合から短基線網を構築し,連続観測データ(24時間解析解)から基線ベクトル変位量を計算し,成分値が閾値を超える基線を着色表示することによって,視覚的に異常観測点を抽出するものであった.本改良作業では,初期版の設計方針を生かしつつ,異常の過大評価を抑制する監視手法の追加,より効果的な異常の可視化表現などを追及した.
  本改良システムのように,測地観測データを地理空間情報として取り扱う場合には,観測データから得られる指標値を地図情報として可視化するアルゴリズムや,指標値自体を取得するための測地計算手法が明確化されていることが必要不可欠であるため, これらについて,なるべく丁寧に記述した.
 
  本文[PDF:1,962KB]
 
Countermeasures against Sophisticated and Diversified Information Security Threats
 
地理空間情報部  高桑紀之・小林秀光・岩間義幸・ 高原正勝・浅野妙子・大山岳志・渡辺一禎・関 真幸
 
【要 旨】
  国土地理院では,平成6年に統合的なネットワークシステムを構築し,インターネットに接続した.以降,外部からの情報セキュリティ脅威に対して様々な対策を行ってきた.
  インターネットは,コンピュータやネットワーク技術の発展とともに急速に業務に浸透してきており,今や欠かせないものとなっている.これらの変化に合わせて,情報システム課では,国土地理院情報セキュリティポリシー実施手順書の策定や,それらを周知するための講習会を毎年度行ってきた.また情報システムもそれらに合わせて,DMZや高機能ファイアウォール,Webメーラ,大容量ファイル転送サービスなどを構築,運用してきた.
  しかし,情報セキュリティ脅威は高度化,多様化しており,このような対策を講じても,USBメモリなどを介したウィルス侵入や感染,盗難などによる個人情報漏えいなどは必ずしも防ぎ切れてこなかった.これらセキュリティ事故を,二度と発生させないため,職員に情報セキュリティ対策の重要性について周知を徹底するとともに,事故が発生しにくい利用環境を整備するなどの対策を講じる必要がある.
  また,めざましい技術進歩に対する今後の課題として,アップル社のiPadのような無線LANの使用を前提としたデバイスへの対応,検疫ネットワークの導入,仮想化技術の発展による問題への対応,クラウドコンピューティングに関する情報セキュリティ対策の検討が必要になってきている.
  平成22年度で9回目の共同利用計算機システムの更新を行うが,最新の技術やインシデント(情報セキュリティ対策の不備による不測の事態,または重大な事故を引き起こす恐れがある事態)事例を常に把握し,それらに応じた情報セキュリティ対策を,コンピュータの利便性を損なわないようバランス良く講じていきたい.
 
 
 
Towards the Introduction of Semi-Dynamic Correction
 
測地部  檜山洋平・森下 遊・山尾裕美・湯通堂 亨・越智久巳一
中部地方測量部  岩田昭雄
 
【要 旨】
  日本列島及びその周辺では,プレート運動に伴う地殻変動により,基準点の相対的な位置関係に歪みが生じ,やがて測量成果と観測結果の間に不整合を生むこととなる.このため,国土地理院では,基準点体系分科会(3)報告書(国土地理院,2003)に基づき基準点測量に及ぼす地殻変動の影響を取り除く「セミ・ダイナミック補正」について検討を行ってきた.セミ・ダイナミック補正は,「地理空間情報活用推進基本計画」(平成20年4月閣議決定)及び 「基本測量に関する長期計画」(平成21年6月国土交通省告示)に位置付けられ,平成22年1月から基本測量及び公共測量の一部に導入したところである.
  本稿では,セミ・ダイナミック補正の導入に向けた検討内容及び平成21年度に国土調査に伴う基準点測量等において実施したセミ・ダイナミック補正の検証作業の結果を報告する.
 
  本文[PDF:2,253KB]
 
 
Towards the Introduction of Semi-Dynamic Correction
 
地理地殻活動研究センター  西村卓也・今給黎哲郎・飛田幹男
 
【要 旨】
  電子基準点の1秒サンプリングデータを用いて,リアルタイムに地殻変動を算出し,大地震発生時に緊急地震速報を受信して迅速に震源断層モデルの自動推定を行うシステムを試作した.このシステムを関東地方南部を対象として試験運用し,リアルタイムGPS解析の精度評価と誤差軽減手法の検証,震源断層モデルの自動推定に関する検証を行った.大地震が解析地域内で発生しなかったため,このシステムによる実際の地殻変動検出例はないが,後処理による岩手・宮城内陸地震を対象とした震源断層モデルの自動推定手法の検証では,断層モデルが地震後15分程度で推定できることが確かめられた.リアルタイムのGPSデータを用いた地殻変動の検出と震源断層の推定は,数cm以上の地殻変動を伴う内陸地震に対しては,有効であると考えられるが,大気擾乱時などGPS解析精度が大幅に悪化する場合もあり,精度と信頼性向上のためにさらなる研究が必要である.
 
  本文[PDF:1,841KB]
 
 
Korean Legal Systems on Survey and Geospatial Information
 
測図部  明野和彦
 
【要 旨】
  韓国は,2009年に「国家空間情報に関する法律」及び「空間情報産業振興法」の制定等,地理空間情報の活用推進・産業育成を目指した法律を整備している.また,韓国の中央政府の改編等も踏まえて,測量法,水路業務法及び地籍法を統合した「測量・水路調査及び地籍に関する法律」を制定している.
  これらの法律の改正・制定の背景,概要等を含め, 韓国の測量・地理空間情報に関する法制度を中心に, 我が国の法制度とも比較しながら解説する.
 
  本文[PDF:2,252KB]
 
 
Development of Broad Area Fundamental Data(200000/1000000)
 
測図部  新藤昭彦・下地恒明
 
【要 旨】
  測図部では,平成21年度から小縮尺図の基幹データとして広域基盤データ整備に着手している.
  広域基盤データは,道路,鉄道,地形,水系等を表した我が国全域を覆う小縮尺のベクトルデータであり,交通網・地形・水系等広域な概況を把握するのに適したデータである.現在,広域基盤データは,地図情報レベル200000及び1000000の2種類の構成となっている.
  広域基盤データは,従来の紙地図を数値化しているため,小縮尺図特有の総描や転位等の編集要素を含んだデータである.また,広域基盤データにおける地物項目の取得基準は,従来の紙地図と同等の基準を継承しつつ,災害対策図への活用に資するべく,災害対策地理情報も併せて取得している.
  今後,電子国土基本図の情報をもとに広域基盤データの即時更新を実施し,同データを利用した,各種の災害対策図の作成・提供,最新かつ共通の小縮尺図の電子国土Webシステムによる公開,紙地図の更新・刊行に向けた最新情報の反映等を実施する予定であり,広域基盤データを小縮尺図の基幹データとして位置付け,幅広い分野での活用を目指すものである.
  本稿では,これらのデータ整備について解説する.
 
  本文[PDF:865KB]
 
Deflation Sources beneath Kusatsu-Shirane Volcano Inferred from Repeated Campaign Measurements of GPS and Precise Leveling
 
測地部 平岡喜文・三森庸里江・横川正憲・根本盛行
 
【要 旨】
  草津白根山における火山性地殻変動の検出を目的として,1992年から2009年の間に,4回のGPS測量および水準測量を実施した.本稿では,これまでの測量結果と2009年の測量結果と合わせて,力源とこの間の地殻変動の推移を再検討したので,これらの結果について報告する.
  測量を始めた1992年以降,草津白根山は山頂付近を中心として収縮しており,収縮源の1つは山頂の南東側にあることが確認された.地殻変動パターンは,地下1.0km程度にある球状圧力源の収縮によって説明が可能であり,この収縮源は1992年以降,一定速度で収縮してきたと思われる.また,水準測量の結果から,1999-2003年の間は山頂の北側にも収縮源がもう1つ存在していたことを示すことができる.
 
  本文[PDF:3,502KB]
 
Seasonal Vertical Motions in TSUKUBA: Measurements, Mechanism, and Monitoring
 
地理地殻活動研究センター 畑中雄樹・宗包浩志・石本正芳・高島和宏・黒石裕樹
 
【要 旨】
  つくば市では,農業用の地下水くみ上げに伴い,地盤が季節的な上下変動をしていることが知られている.そこに置かれているVLBI観測点およびGPS観測点について,本研究では,様々な観測手段を投入して上下変動の精密計測を行い,得られた結果に基づいて上下変動の機構解明とモデル化を図り,これら観測点における上下変動の精密な監視手法を検討した.国土地理院の近傍では,地表の季節的上下変動は空間的に少なくとも1km以上の範囲でほぼ一様であり,VLBI基台の季節的上下動の振幅が地表よりも小さいこと,VLBI観測局が経年的に隆起して いることなどが明らかとなった.季節的上下変動は表層地盤に分布する帯水層における間隙水圧変化に伴う弾性変形をメカニズムとしてほぼ説明できることが分かり,地下水位観測に基づいて定量的に推定するモデルを構築した.また,各種観測およびモデルを用いて,VLBI観測点およびGPS観測点の上下変動を監視する手法をとりまとめた.
 
  本文[PDF:2,278KB]
 
Outline and Mission of Survey Aircraft“KUNIKAZE"
 
測図部  林 孝
 
【要 旨】
  国土地理院は,昭和35年の「くにかぜ」就航以来,50年間に渡り空中写真撮影事業を実施してきた.そしてこの度,平成21年度末に「くにかぜII」が退役し,平成22年6月に新しい測量用航空機「くにかぜIII」が就航したので,画像情報整備に係る事業の概要,これまでの測量用航空機の概要及び測量事業の実績を報告するとともに,新しい測量用航空機「くにかぜIII」の概要と役割を紹介する.
 
  本文[PDF:2,619KB]
 
Investigation for the Ideal Method of Map Information etc. in Various Foreign Countries
 
企画部  諸橋 拓・田中宏明
近畿地方測量部  門脇利広
 
【要 旨】
  平成20年4月に閣議決定された地理空間情報活用推進基本計画(以下,「基本計画」という.)では,地理空間情報の提供と二次利用を進めるためには,様々な主体が作成した地理空間情報を円滑に提供・流通させるためのルールを明確にすることが必要であるとしている.また,その際には,地理空間情報は個人情報を含んでいるケースや著作権等の知的財産権の対象となっているケースが多いこと及びその公開が国の安全に影響を及ぼすおそれもあることか ら,国民が適切にかつ安心して利用できる地理空間情報の流通のためには,これらの観点等も踏まえた情報の提供・流通に関するルールを確立する必要があるとしている.
  そのため,企画部地理空間情報企画室では,平成21年度に地理空間情報の主要情報である地図情報等の提供や規制及び地域連携による活用について,主要6カ国(米国,英国,仏国,独国,豪州,韓国)(以下,「主要国」という.) の実態を調査し,日本における今後の地図や空中写真 (以下,「地図情報等」という.)の提供の在り方について検討を行ったので,その調査検討内容について報告する.
 
  本文[PDF:1,891KB]
 


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