4. 環境・観光等への利活用を目指した電子国土の時間的・空間的拡張

 政府および国土交通省の重要施策のひとつである美しい国土の実現や観光振興を推進するにあたっては、地域の個性や風土を知り、施策の計画段階からこれらに配慮していくことが重要である。地域の個性や風土は、歴史の中で育まれてきたものであることから、その地域の地理的情報を4次元的に理解することが有効な方法である。
 国土地理院は、これを支援する第一歩として、我が国における複雑かつ多様な地形、植生等の自然環境や文化、風土等の社会環境に関する地理情報について、時系列的かつ体系的に整備、提供する。また、環境の保全・復元や観光支援等への利活用方策を提案する。
 さらに、世界との対比で我が国の個性や風土を理解するとともに、地球環境問題の理解と持続可能な開発に寄与するため、国際的な協調体制のもとで、地球地図データの整備、標準化、共有化等を積極的に推進する。
 (1)時系列地理情報デジタルアーカイブの整備
 地域の個性や風土を過去から現在に至る時間の流れの中で把握することにより、地域の未来を予測し、よりよい未来の選択と豊かで美しい国土づくりに役立てることができる。このため、国土地理院が所有する過去から現在までの地図や空中写真を時系列的かつ体系的に取りまとめたデジタルアーカイブの整備を推進する。
 (2)地球地図整備の推進等による地球環境問題解明への貢献
 全地球規模のデジタル地理情報の整備を目的とする地球地図プロジェクトについて、主唱国として、また地球地図国際運営委員会(ISCGM)の事務局として、ヨハネスブルグ・サミットで目標に掲げられた2007年までの全球陸域のデータ整備を目指し、その推進に主体的に貢献する。特に、環境変化の影響を反映する土地被覆データの作成について、関係各国との連携のもとに推進する。また、作成されたデータの利用促進および京都議定書に基づき、森林の土地利用変化等による温室効果ガス吸収量の算定に向けたデータ作成技術の高度化を図る。さらに、アジア太平洋GIS基盤常置委員会(PCGIAP)の事務局として、アジア太平洋諸国と協力し、地球環境問題の解明に資する基盤的な地理情報の整備を推進する。