平成15年度国土地理院重点施策用語集

<電子国土>
 国土に関する情報を電子的に統合し、過去・現在の三次元仮想時空間内のディジタル情報として再現するとともに、その情報をインターネット等を通して自由に利用できる環境。この「電子国土」は、道路・鉄道・水系・行政界等の国土の基幹をなす情報を取り込み共有化が図られ、関係機関による火山等の防災情報、統計情報等の様々な情報が組み合わされることにより、行政による防災対策の支援、民間による経済活動の支援など様々な活用が可能となる。

<IT(Information Technology)---情報技術>
 もともとは、通信・ネットワーク、電機・コンピュータ機器、ソフトウェア・情報サービス等で利用される技術や製品の総称であるが、現在では、企業や社会の情報化のために必要な技術・サービス等をすべてを総称する言葉として使われている。また、最近、使われているIT革命とは、このIT(情報技術)により社会構造・産業構造の変革や地球規模の経済活動の変革が起きていることを指していると考えられる。

<国土情報インフラ>
 国土情報に関するインフラストラクチャー。国民誰もが利用できる共有な地理情報のほか、その共有情報を収集・検索・提供する設備等を含む。

<地理情報>
 国土の自然・社会・人文に係る地理的事象についての様々な情報。

<GIS(Geographic Information System)---地理情報システム>
 電子情報化した地図データと空間データ(地理的位置や空間に関する情報を持った自然・社会・経済等の属性データ)をコンピュータ上で結合させ、統合的に処理・管理・分析し、その結果を表示するコンピュータ情報処理システム。

<GPS(Global Positioning System)---汎地球測位システム>
 4~5機の人工衛星の電波を同時に受信して位置を正確に求めるシステムで、船舶や航空機などの航法支援システムとして1970年代に米国で開発された。上空視界が開けている場所であれば、全世界で共通に利用できる。自動車・船舶・航空機のナビゲーションでは、1台のGPS受信機により一瞬に数十m単位の精度で測位を行うが、測量においては、複数の受信機によりmm単位の高精度で測位を行う。
  国土地理院では、精密測地網測量や地殻変動測量、基準点測量に利用している。

<空間データ基盤>
<GIS基盤情報>
 空間データを地球上の正しい位置に対応づける仕組みを兼ね備えたデータで、GIS利用の土台となる基盤的なもの。すなわち、行政界・道路・河川・鉄道・基準点等の基本的な地理情報に、空間データを地球上の空間の正しい位置に対応づけるための機能を付加したもの。

<VLBI(Very Long Baseline Interferometry)---超長基線電波干渉法、超長基線電波干渉計>
 宇宙の彼方にあるクエーサー(準星)から放射される電波を、数百km以上離れた2ヶ所以上の電波望遠鏡で同時に受信し、その到達時間の差を計測する技術をいう。星の形成など微細構造の観測に使われている。
  また、これを応用して、数千km離れた2地点間の距離を誤差数mmで測定し、測地網の規正や大陸移動速度の検出に使用している。

<GIS国際標準>
 ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)は、工業製品・部品・使用技術の規格統一を推進するための国際機関である。このISOのもとに、地理情報システム(GIS)の国際標準化を目的として、1994年4月に211番目の専門委員会(ISO/TC211)が設立された。1999年9月に京都で第9回総会が開催され、地理情報の国際標準の全体が明らかにされた。

<クリアリングハウス(Clearinghouse)>
 空間データ等の所在とその規格・書式を掲示する通信ネットワーク上のサービス。
  クリアリングハウスの活用により、利用者が必要な情報を入手することが可能になるため、情報の流通が促進される。

<ウェブマッピング(Web Mapping)>
 インターネット上の情報源から、必要とする地理情報をリアルタイムに検索・収集して、必要な地図と編集するなどの総合的に処理する技術またはその実行システム。クリアリングハウスの技術は、その重要な構成要素となる。

<測量制度>
 ここでいう測量制度は、昭和24年に制定された「測量法」と測量法に基づく「政令・省令」をいう。

<GPS連続観測施設>
 全国に配置された約1,200点の電子基準点(GPS連続観測施設)により、日本列島全域の地殻変動をリアルタイムで測定している。

<RTK-GPS(リアルタイムキネマティック(Real Time Kinematic)-GPS)>
<リアルタイム測位システム>
<実時間測位情報提供システム>
 リアルタイム測位システム(RTK)は、GPS衛星からの電波と、電子基準点(あるいは他のGPS観測点)からの位置補正情報(位相データ)等を受信し、リアルタイムでの測位を実現するもの。

<世界測地系>
 地球重心を原点として、人工衛星の軌道観測から得られたデータを用いて定義された測地系。世界共通に利用可能な測地系として国際的に提案されており、測量法の改正により平成14年4月より日本についても世界測地系に移行した。

<日本測地系>
 地球の形状と大きさを回転楕円体(南北方向につぶれた球)の長半径と扁平率により定義し、位置を経緯度及び東京湾の平均海水面からの高さで表している測地系。平成14年3月まで使用していたこの測地系は、世界測地系とは東京付近で水平方向に約450mずれている。

<地球地図(Global Map)>
 地球全体の地形・植生や土地利用の情報を全世界同一仕様(1kmメッシュ、縮尺100万分の1)で、カバーする数値地図のこと。地球環境の実態やその変化を把握するとともに、地球環境問題の分析や施策立案を行うために利用される。

<数値地図データセット>
 数値地図データセットとは、一定の範囲を、一定の様式(仕様)で数値化された地図データの集まりのこと。
  地球地図は、各種の数値地理情報を地球的規模かつ統一仕様で整備しようとする構想であり、地球規模の数値データセットといえる。

<測地成果2000>
 現行の三角点等の位置情報(測地成果)は、局所的な座標系(日本測地系)を採用している。現行の日本測地系から世界測地系への座標変換を行い、統一した世界測地系に基づく位置基準(測地成果2000)を作成し、電子基準点と整合を図っている。

<IGS(International GPS Service)---国際GPS事業>
 IGSの目的は、世界測地網のデータ及び精密暦や極位置などの解析結果を世界の利用者に提供することを通じて、測地学及び地球物理学の発展に寄与しようとすることである。IGS自身が世界的なGPS観測網を運用し、極位置等の地球回転パラメーターを常時観測するほか、国際地球回転観測事業とも連携して、高精度の世界測地系の確立と保持を目指す。

<アジェンダ21(Agenda21)>
 環境と開発に関する国際会議/地球サミットは、1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された環境に関する今世紀最大の会議。ストックホルムの国連人間環境会議から20年目に開催された。この会議によって、リオデジャネイロ宣言(リオ宣言)が出され、このリオ宣言を順守・実行するための行動計画がアジェンダ21である。

<SAR(Synthetic Aperture Radar)---合成開口レーダー>
 地表面の状態を観測するためのリモートセンシングセンサーの一種。人工衛星等が移動しながら地上からの反射波を次々と合成処理することにより、その軌道上に仮想の巨大アンテナがあるのと同等な高分解能の画像が得られるようにするレーダーシステム。
  このレーダーで同じ場所を時間間隔をおいて2回観測し干渉処理を行うと、面的な地殻変動の分布を高精度に検出することができる(干渉SAR)。

<PCGIAP(Permanent Committee on GIS Infrastructure for Asia & Pacific)---アジア太平洋GIS基盤常置委員会>
 国連アジア太平洋地域地図会議の勧告に基づき、地理情報システム(GIS)に必要な基盤データの整備促進を図るため、同地域55ヶ国の国家測量・地図作成機関の代表がメンバーとなり、1995年から活動を開始。現在、国土地理院長が事務局長を務めている(会長:中国、副会長:オーストラリア)。総会は毎年開かれ、前回は2001年4月につくば市で開催。次回は2003年7月に沖縄で開催予定。

<ISCGM (International Steering Committee for Global Mapping) ---地球地図国際運営委員会>
 地球地図国際運営委員会(ISCGM)は、1996年、地球地図整備に向けた調整の促進、整備方策検討のための常設組織として設立され、事務局長は国土地理院地理調査部長が務めている(会長は、D.R.Fraser Taylor教授・カナダ)。委員会には、16ヶ国から国家地図作成機関の長クラス19名の委員と国際機関等から7名のアドバイザーが参加しており、年1~2回世界の様々な場所で会合を開いている。今年度の会合(第9回)は、2002年9月、ハンガリー・ブダペストで開催予定。

<UNRCC-AP
  (United National Cartographic Conference for Asia and the Pacific)---
国連アジア太平洋地域地図会議>
 国連経済社会理事会の勧告に基づき、各国の地図事業及びそのための技術協力の促進を目的として、同地域55ヶ国の国家測量・地図作成機関の代表がメンバーとなり、1955年から活動を開始。総会は3年ごとに開かれ、前回は2000年4月にマレーシア国で開催。次回は2003年7月に沖縄で開催予定。