2. 電子国土利用のための技術開発

1.施策の目的

 「電子国土」では、様々な主体の保有する地理情報を分散環境で統合利用するため、通信ネットワークの利点を最大限に活用することが必要である。
  現在、各省庁が整備しているメタデータを一括して検索・利用するクリアリングハウスの高度利用やウェブマッピングの実用化の技術開発を行う。また、電子国土を防災で利用するための災害情報提供等、生活に欠かせない様々な情報を利用しやすい形式で提供することを検討する。これらにより、「電子国土」を利用した安全、便利で快適な社会の実現を目指す。

2.施策の概要
 (1)ウェブマッピング技術の開発
 クリアリングハウスを通じて公開される地理情報の所在、仕様、書式データ等を使って必要な地理情報を検索し、必要な地図を編集できるネットワーク上の高度なGISシステムであるウェブマッピング技術の開発を進める。また、防災情報提供にウェブマッピング技術の活用を進める。
 (2)リアルタイム災害情報提供システムの構築
 災害時において被害をできるだけ軽減するためには、地殻変動の情報、精密標高データ、災害地形分類等の防災に資する様々な情報を、地理的情報に基づき的確に整理・把握し、政府や地方自治体などの防災関係機関等との間で情報の共有化を図る必要がある。このため、全国の電子基準点による地殻変動のリアルタイム監視及び解析技術の高度化を推進するとともに、地震・火山活動の活発な地域等においては、GPS、人工衛星・航空機等による観測・監視の強化を図る。さらに、これらの情報の提供において基盤となる災害情報提供システムの開発、防災関係機関での情報共有化方策について検討する。
 (3)社会的ニーズに応えた地理情報の提供方策の検討
 ハザードマップ基礎情報の整備や移動式GPS端末等を利用しての情報提供など、様々な利用者のニーズに応える地理情報の提供を検討する。また、地図複製工程をデジタル化することにより、地図の迅速な更新・提供を進めるとともに、省力化を図る。

3.重点施策としてのアピールポイント

 電子国土の利用技術の開発を行うことにより、電子国土の有効な利用を図ることができる。技術開発の結果、基盤となるデジタル地理情報が共有化され、常に最新の状態に維持する環境が整備されることにより、ユーザーが必要とする防災などの生活に欠かせない様々な地理情報をその場で即座に得ることが可能となる。特に、防災関係機関及び国民において、災害に対する備えが充実し、また災害発生後の適切な対応が確保され、これらの災害による生命・財産・生活に係る被害の軽減が図られる。

4.他部局、他省庁の施策との関連

(1) 地震調査研究推進本部の「地震に関する基盤的調査観測等の計画」に基づき地殻活動を監視し、その結果を地震調査研究推進本部地震調査委員会に報告する。
(2) 測地学審議会の「地震予知のための新たな観測研究計画」及び「第6次火山噴火予知計画」に基づき地殻変動の観測、地震発生に至る地殻活動の過程の研究等を実施している。
(3) 河川局、道路局、気象庁等と連携した、「防災情報提供センター(仮称)」の設置を検討中。

5.その他

(1) e-Japan重点計画(平成13年3月29日)及びe-Japan重点計画2002 (平成14年6月18日)(IT戦略本部)
(2) e-Japan戦略(平成13年1月22日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)
(3) 地震調査研究推進本部
・「地震調査研究の推進について」(平成11年4月)
・「地震に関する基盤的調査観測等の見直しと重点的な調査観測態勢の整備について」(平成13年8月)
(4) 測地学審議会
・「第6次火山噴火予知計画の推進について」(平成10年8月)
・「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」(平成10年8月)
(5) 第5次基本測量長期計画(平成11年)
(6) 防災基本計画(中央防災会議)(平成14年4月)
(7) 国土地理院防災業務計画(平成12年12月28日)