1. 「電子国土」基盤システムの構築

1.施策の目的

 「電子国土」は、地理情報を整備し、情報通信網を介して誰もが自由に情報を統合・活用できる国土をコンピュータ上に再現するものであり、これにより住民も参加する国土管理の促進、最新の情報に基づく適切な防災対策の実現、地理情報に関連する新たな情報産業の創出などが可能となる。この「電子国土」を構築するため、国民が共通に利用できる基盤的地理情報を継続的に整備するとともに、位置情報の提供基盤の整備、地理情報流通を円滑にするための仕組みづくりなどを行う。

2.施策の概要
 (1)世界測地系に対応した電子基準点位置情報サービスの推進
 電子基準点の機能強化を図るとともに、全国の電子基準点を高速ネットワークで結び、観測データをリアルタイムに取得・解析するシステムを構築する。さらに、世界測地系に対応している電子基準点データについて、それぞれの利用分野に合った形式、媒体でのリアルタイムでの情報提供を行う電子基準点位置情報サービスの推進を図る。
 (2)最新のGIS基盤情報の整備・提供
 国土の変化に関する基本情報の収集を推進し、日本全国をカバーする1/25,000地形図相当の空間解像度を有するレベル及び全国の都市計画区域における1/2,500地図相当の空間解像度を有するレベルのGIS基盤情報をそれぞれ最新の情報として整備する。さらに各所に格納されている地理情報を統合的に利用・活用するウェブマッピング技術等を開発・活用し、クリアリングハウスと有機的に結合した電子国土基盤システム及び電子国土モデルシステムの構築を図る。
 (3)電子政府を見据えた21世紀型測量行政の推進
 測量法改正による世界測地系の採用について、地方公共団体等との連絡協議会の設立など、円滑な測量法施行体制の充実を図る。
また、国内の地理情報標準を最新の国際標準に適合したものに改訂するほか、基本測量及び公共測量の測量成果及び行政情報の電子化を推進するとともに、電子納品、電子申請等を推進する。

3.重点施策としてのアピールポイント
 「電子国土」はIT革命によって構築されるコンピュータ上の国土である。この構築により、その多くが地理的位置に関係すると言われている行政情報をはじめ、民間の情報の共有化が図ることができ、行政・国民生活で新たな展開ができる。
具体的には、位置決定が必要な様々な分野で電子基準点からの情報の活用が図られ、リアルタイムに高精度な位置情報の取得が可能となり、測量分野のみならず、モバイルGIS、ナビゲーション、レジャー等の分野で活用される。
国土の現況に関し、基盤となるディジタル地理情報が共有化され、常に最新の状態に維持する環境が整備されることにより、ユーザーが必要とする地理情報をその場で即座に得ることが可能となる。その結果、官民を問わず、事務の効率化が図られ、コストの縮減効果が期待できる。

4.他部局、他省庁の施策との関連

(1) 地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議では、「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」、「国土空間データ基盤標準及び整備計画」及び「今後の地理情報システム(GIS)の整備・普及施策の展開について」を策定し、関係省庁が連携してデータ整備・提供の推進、相互利用ルールの具体化などを行い、GISの普及を図っている。

5.その他

(1) e-Japan重点計画(平成13年3月29日IT戦略本部)
(2) e-Japan戦略(平成13年1月22日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)
(3) 経済構造の変革と創造のための行動計画(第3回フォローアップ)~新たな経済成長に向けての新行動計画~(平成12年12月1日閣議決定)
(4) 行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)
(5) 日本新生のための新発展政策(平成12年10月19日 経済対策閣僚会議)
(6) 地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議
・国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画(平成8年12月18日)
・国土空間データ基盤標準及び整備計画(平成11年3月30日)
・今後の地理情報システム(GIS)の整備・普及施策の展開について(平成12年10月6日申し合わせ)
(7) 第5次基本測量長期計画(平成11年)
(8) 国際標準化機構第211(地理情報)専門委員会(ISO/TC211)