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GIS次世代情報基盤の構築手法及び活用に関する調査研究

GIS次世代情報基盤の構築手法及び活用に関する調査研究(2/7)

内容

要旨

国土交通省では、国土交通省総合技術開発プロジェクトによる研究「GISを活用した次世代情報基盤の活用推進に関する研究」(以下、『GIS総プロ』という)を建設省から引き続き実施し、平成14年度に3か年に渡る研究を終了した。

これは、国土交通省におけるGIS及びそれらを構築するためのデータ群の利活用を目的としている。本稿はこの『GIS総プロ』を構成する要素のひとつであり、国土地理院が中心となって実施した国や地方公共団体の建設行政において利用するGISの基盤データ構築に関する研究についての報告である。

本研究では、まず、建設行政用各種GISで利用する空間データ基盤の相互利用を図るため、異なるシステム間で共通に利用できる基盤地図データ「建設行政空間データ基盤」を策定し、製品仕様書(案)を作成した。また、この製品仕様書(案)に従ったモデルデータを作成し、実際に構築した実験システムにおいて実証実験を行ない、製品仕様書(案)の有効性を検証するとともに、基盤データの構築手法について検討した。

次に、民間地図データの建設行政業務への適用性について品質要件と品質評価手法を提案するとともに、建設行政での利用例を例示し、検討課題等を抽出した。

さらに、GISの基盤となる地図データを効率よく作成する、あるいは更新するための研究として、地図データ作成のための要素技術(特に最新の測量技術である航空レーザ測量や高分解能衛星画像を利用した地図作成の技術等)についての調査を行ない、精度検証の手法やデータ利用の方法等について調査・検討した。


1.はじめに

平成7年1月の阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえ、関係省庁の密接な連携の下にGISの効率的な整備及びその相互利用を促進するため、平成7年9月、内閣に「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議」が設置され、これまでGISの普及のために必要な施策が講じてられてきた。
このうち、GISを全国に普及させるためには、都道府県程度の広がりを持つ地域においてGISを有効に利活用する先進事例を構築し、その有用性を実証することが効率的であるとの観点から、総務省、経済産業省及び国土交通省の3省は、平成12年度~平成14年度にかけて、「モデル地区実証実験」を実施した。これは、全国7府県(岐阜県、静岡県、大阪府、高知県、福岡県、大分県及び沖縄県)をモデル地区に指定し、国、地方公共団体、民間等の密接な連携のもと、データ整備、データ流通、そのための技術開発、各種業務で利用するためのアプリケーションの開発等について実験を行うものである。

このように国や地方公共団体のGISに対する様々な取り組みが進む中、国土地理院では、国土交通省内のGISの普及とデータの相互利用を推進するため、『GIS総プロ』の研究の一環として、岐阜県地区におけるモデル地区実証実験と連携して、本研究「GIS次世代情報基盤の構築手法及び活用に関する調査研究」を実施した。

この研究は、国土交通省にとどまらず、国や地方公共団体等における建設行政という大きな枠組みの中では共通するものの、個別の運用面では異なるGISで、共通に利用できる地図基盤データを構築し、効率的なデータ整備手法について提案しようとするものである。

なお、表-1に『GIS総プロ』の枠組みを示す。

 
表-1 『GIS総プロ』の構成
研究課題名 *1) 研究機関名 *2)
GIS次世代情報基盤の構築手法及び活用に関する研究 国土地理院
品質要件・評価手順の基準(案)作成 国土地理院
ネットワークを介したGISの統合利用について 国土地理院
河川・道路事業におけるGISデータの連携活用 国土技術政策総合研究所
道路GISデータの整備・更新方法 国土技術政策総合研究所
携帯型情報端末による現地調査システムの実証実験 建築研究所
*1) 研究課題名は正式な名称ではない。
*2) 研究機関が複数にまたがっている場合は、主なものを掲載。


 

2.研究概要

本研究では、建設行政におけるGISの基盤データの整備や整備後の修正に係る諸問題、特に、経費の削減に効果的な解決策を提案するため、(1)データの相互利用、(2)既存データの利活用、(3)効率的かつ迅速なデータの更新という3つの異なる視点からのアプローチを試みたものである。
(1)では、建設行政で利用されている異なるシステム間でのデータの相互利用を図るため、共通の空間データ基盤である「建設行政空間データ基盤」を策定し、「建設行政空間データ基盤製品仕様書(案)」を作成した。
また、(2)においては、一般に市販されている民間データを積極的に活用していこうという観点から、民間データの利用方法や品質の評価方法について調査し、その結果を「民間地図データ利活用のガイドライン(案)」としてまとめた。
さらに、(3)に必要な要素技術の調査を行うという視点から、現在測量の分野で注目されている技術について調査した。
特に、航空機搭載型レーザスキャナを使った測量については、キャリブレーションサイトの構築とガイドラインの作成を、また、高分解能衛星画像を使った地形図作成については、画像基準点の構築と地形図修正ガイドラインの作成を行った。
また、それぞれの技術について、精度検証の手法に関する研究も併せて行った。

3.建設行政空間データ基盤の構築

3.1 建設行政空間データ基盤の策定
国土交通省や地方公共団体等が行っている河川管理、道路管理、都市計画、上下水道の管理等、社会基盤整備に関する行政を建設行政と呼ぶこととする。
この建設行政の各分野では従来から積極的にGISの導入が図られ、業務の効率化や高度化に大きな役割を果たしてきた。しかしながら、各種GISの基盤となる地図データについては、その事業主ごとあるいはシステムごとに整備が行われており、各システム間の相互利用が図られていないのが現状である。各行政主体では、このGISに必要とされる基盤地図データの整備に莫大な経費を費やしている。
植生や道路、建物といった地物は常に変化しており、地図データは一度整備したからといってそれで終わりではなく、GISとしての機能を果たすには、常に最新の地理データとして維持するために頻繁な更新が必要となる。また、GISで利用される地図データは、地物の位置情報の座標の集合体としてだけではなく、それぞれの図形と図形の関係に意味を持つデータにしなければならず、データの整備や更新を一層困難なものにしている。

国土地理院が作成している地形図のように、標準的なデータが配信され、それを皆が利用するしくみとは違い、それぞれのシステムが、独自に仕様を定めシステムの運用を行い、各々のシステムごとに自分が必要とするデータを自ら都合の良い形式で整備しているGISの現状では、データの形式を統一するのは、事実上不可能である。

そこで本研究では、地理情報標準の理念に従い、相互にデータ交換ができる仕組みを策定し、必要に応じて異なる主体が保有するデータを迅速に交換できる体制が提案された。
図-1にその概念を示す。本研究においては、この仕組みを、「建設行政空間データ基盤」と称することにした。

図-1 建設行政空間データ基盤のイメージ
 図-1 建設行政空間データ基盤のイメージ

建設行政空間データ基盤は、地理情報標準に準拠し、その構築は、地理情報標準第1版(JSGI)、地理情報標準第2版(JSGI2.0)の内容を反映させたものとなっている。


3.2 各種GIS空間データ基盤の仕様調査
表-2に示すとおり、本仕様書を策定する上で参考とした基盤地図データ(空間データ)の仕様書は、河川、道路、都市計画等の7つの種類に及ぶ。
それぞれの仕様とそれぞれの業務を突き合わせ、品質要件や業務の内容を調査・整理し、問題点及び相違点について検討を行ってきた。

また、仕様類の調査と併行して、建設行政の業務分析を行い、それぞれの業務が必要とする基盤地図データの項目と仕様について、詳細な調査を行い、整理した。

 

表-2  各種の共通基盤空間データ仕様一覧
既存の仕様等 応用スキーマ 所管部門
大縮尺数値地形図に係る仕様書記載事項及び品質(案) 国土地理院
河川基盤地図データ作成のガイドライン(案) 国土交通省河川局
道路基盤データ製品仕様書(素案) 国土交通省道路局
都市計画GIS標準化ガイドライン(案) 国土交通省都市・地域整備局
下水道台帳管理システム標準仕様(ISO/TC211準拠) (社)日本下水道協会
土砂災害防止法に使用する数値地図作成ガイドライン(案)暫定版 (財)砂防フロンティア整備推進機構
共用空間データ基本仕様書 総務省


3.3 応用スキーマと製品仕様書(案)の作成
建設行政空間データ基盤製品仕様書は、平成11年度の研究作業「建設省次世代GIS情報基盤の設計に関する調査」でその理念や方針が示され、同年に実施した「建設省統合型地理情報システムの構築手法及び活用に関する調査研究作業」において「建設省空間データ基盤製品仕様書(案)」として具体的な仕様の原型が示された。この「建設省空間データ基盤製品仕様書(案)」は、平成12年度に改良が加えられ、更に、国土交通省発足直後の平成13年度に「建設行政空間データ基盤」と名称を変更し、平成13年度及び14年度に、仕様の見直しと改良、製品仕様書(案)の改訂を行ってきた。

建設行政空間データ基盤では、各空間データ基盤で共用性のある地物を抽出し、それを建設行政空間データ基盤のデータ項目としているが、個々の地物について、どの空間データを建設行政空間データ基盤の地物として利用するかを定義し製品仕様書(案)としている。

図-2に「建設行政空間データ基盤」と各種空間データの関係を示す。
これら異なる空間データ基盤は「建設行政空間データ基盤」という共通の空間データ基盤を介して、相互にデータの交換を行う。このために、それぞれの空間データの仕様や業務内容を精査するだけでなく、地理情報標準に基づいた応用スキーマを必要とする。
応用スキーマが整備されていなかった空間データについては、それぞれ応用スキーマの試作を行った。
各空間データの応用スキーマは、共通項目の相互比較を行い、定義の違い等を整理し、これらの結果をもとに「建設行政空間データ基盤製品仕様書(案)」に改良を加え、逐年改訂を行ってきた。

図-2 建設行政空間データ基盤と各種基盤的空間データの関係
図-2 建設行政空間データ基盤と各種基盤的空間データの関係


 

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