傾斜分級図について

 火山地域における地表面の傾斜は、土壌の発達状況などを規制するのをはしめ、溶岩の流下速度や流下方向を左右するので、噴火災害の予測や土地利用の適性などを考える上で重要な指標となります。図-4は、等高線データをもとに計算して凡例のように色わけ表示した傾斜分級図です。

 この傾斜分級図と地形概念図(図-1)を比較すると、傾斜と地形区分との問に以下のような対応関係のあることがわかります。

 (1)急傾斜地(傾斜25°以上)の分布は、島の周縁をとりまく海食崖と山腹の谷斜面、及び南部や東部にある爆裂火口壁などに対応する。

地形の傾斜の大きさによって色分けした図

 (2)極緩斜面(傾斜6°未満)は、海岸沿いの南西部、同東~南東部、同北部などに広く分布するほか、西側中腹部(村営牧場一帯、旧期カルデラの火口原に相当)と山頂の新期カルデラ内に認められる。

 (3)中斜面(傾斜15°~25°)は、島の東半部では山頂のカルデラ外側の山腹一帯に分布し、島の西半部では、山頂カルデラ外側と海岸よりの旧期カルデラ西側にわかれて分布する。

 (4)上記中斜面の分布域には、急斜面が複雑に入り混しっているが、そのパターンには、a)急斜面が山頂から放射方向に延びる地区、及び、b)急斜面が等高線の延びの方向に平行に延びる地区、の2とおりが認められる。

 (5)上述のaの地域は形成年代が古く、谷が密に入り込んだ火山体斜面であり、bの地区は側噴火が頻繁に起こり新しい時代に溶岩の流下やスコリア丘の形成がくり返された地区に対応する。

 溶岩流の流下速度と地形との関係については、三宅島ハザード・インフォメーションの項で説明しています。