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GNSS以外の電波が解析結果に影響した事例

 2013年5月末から、電子基準点「函館」の「日々の座標値」の上下成分に、図1の赤枠に示すような周期的な変化が発生しました(周期約3週間、振幅1~5cm)。

函館の時系列図
図1 電子基準点「函館」の時系列図(2013年3月から2014年7月まで)

 また2014年4月初めから、電子基準点「焼津A」でも図2の赤枠に示すような良く似た現象が発生しました(周期約2ヶ月、振幅約2cm)。

焼津Aの時系列図
図2 電子基準点「焼津A」の時系列図(2013年11月から2015年9月まで)

 このため、電子基準点の高さを別の測量方法(水準測量)で測ったり、電子基準点のすぐ近くに臨時のGNSS観測点を設置したりして、実際に地面の上下変動が起きているか調べました。この結果、実際には高さは変化しておらず、見かけの上下変動であることが確認されました。

 受信機メーカー等の協力を得て、見かけの上下変動の原因を調査しました。
  • いずれの点も近くに携帯電話基地局(函館:約200m、焼津A:約100m)があり、1.5GHzの電波を利用する次世代高速通信サービス(以下、LTE)が始まった日から、衛星信号(L1帯)の強度が減少し、上下成分に異常が発生したことがわかりました。
  • 電子基準点には、GNSS用の幅広い電波が受信できるアンテナが設置されており、LTEの周波数帯(1.5GHz周辺)にも感度があります(図3参照)。現地で電波の周波数調査を行ったところ、1.5GHz周辺のLTEの信号の強度がかなり強いことがわかりました。
  • こうしたことから、受信機にGNSS以外の信号が紛れ込み、観測される信号の感度が下がったことで、見かけの上下変動が生じたと考えられます。

GNSSアンテナの受信周波数特性とGNSS信号周波数帯
図3 電子基準点で使用されているGNSSアンテナの受信周波数特性(模式)とGNSS信号周波数帯

 GNSS以外の信号の影響を取り除くための対策を行いました。
  • 影響が見られる電子基準点において色々な試験を行った結果、アンテナと受信機の間に1.5GHz周辺の信号を取り除く帯域フィルターや、減衰器(アッテネータ)を挿入することにより、見かけの上下変動がほぼ解消することがわかりました。
  • 影響を受けた電子基準点「函館」及び「焼津A」では、2015年5月下旬以降にこのような対策を実施することにより、見かけの上下変動が見えなくなりました。
  • 今後も受信機メーカーや通信サービス事業者と協力しながら、良質な電子基準点の観測データを提供するための対策を講じていく予定です。

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