ALOS/PALSARデータの干渉SAR測量への利用とデータ処理・解析システムの構築概要

Utilization of ALOS/PALSAR Data for InSAR Survey Project and Construction of Data Processing/Analysis System

測地部
和田弘人・松坂 茂・藤原 智・仲井博之・藤原みどり・雨貝知美
Geodetic Department
Kozin WADA, Shigeru MATSUZAKA, Satoshi FUJIWARA, Hiroyuki NAKAI, Midori FUJIWARA and Tomomi AMAGAI
地理地殻活動研究センター 飛田幹男・福﨑順洋・矢来博司
Geography and Crustal Dynamics Research Center
Mikio TOBITA, Yoshihiro FUKUZAKI and Hiroshi YARAI

要旨

国土地理院は,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載されているLバンド合成開口レーダ(PALSAR)の観測データを用いて干渉SAR解析を定常的に実施する.
干渉SARによる解析の成果は,他のGPS・水準測量等と同様に,高精度地盤変動測量の一つとして位置づけられている.干渉SARを測量業務として継続して実施するためには,全国を隈無く繰り返し観測するデータが必要である.そのため,国土地理院は宇宙航空研究開発機構に,全国をカバーし,かつ一部地域について高頻度に観測を行う基本観測要求を提案している.また,大規模災害発生時の緊急対応を考慮した観測案も併せて提案している.
また,国土地理院は,宇宙航空研究開発機構から定期的に提供される大容量の観測データを,効率的に処理・解析するためのシステムを設計・構築してきた.システムは「前処理システム」,「高次処理支援システム」,「高次処理システム」から構成され,これらが連携して,観測データの管理から干渉解析による成果の作成まで,一貫して干渉SARに関わる全ての処理を行う.
構築した処理・解析システムを用いて,「だいち」の校正検証期間の開始から現在までに,いくつかの地域の緊急解析を実施してきた.この内,第105回火山噴火予知連絡会で,「だいち」の定常運用後初めて,硫黄島の干渉SAR解析の成果を提出・公表した.
干渉SARの定常解析は今後,地盤沈下・火山地域の特定地域について,年1~数回程度の頻度で情報を更新し公表する予定である.また将来には,定常解析の範囲を広げ,全国土をカバーした地殻・地盤変動図を作成する予定である.

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