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測量に関するミニ知識

第10回 UTMグリッド地図 その2

UTMグリッド地図とは(その2)

 今回は、UTMとは何か、また、UTMグリッド地図のグリッドのルールを説明し、その仕組みに基づき、UTMグリッドポイントの命名規則とその使い方について、名古屋城天守閣の位置(範囲)を例に説明します。

1.UTMとは

 ユニバーサル横メルカトル:Universal Transverse Mercatorの略で、球形である地球を平面(図)に表す投影法の一つ、地球の赤道面を中心に横にした円柱に球形である地球を投影したものです。
 球形を平面に投影する際、ひずみが生じます。ひずみが少ない範囲にある経度6度の幅をUTM図法では使います(図1)。
 この投影法は、国土地理院の地形図などのほか、世界的にも広く採用されています。

図1 UTM図法概念


2.UTMグリッドのルール1(経度緯度による分割)

 UTM図法によって、平面に投影した地域について、決められたルール(注1)に従い、経度、緯度方向のグリッドで分割します。
 経度については、西経180度より東回りに6度毎に、地球を60個の経度帯に分割します。緯度については、南緯80度より8度毎に、北緯84度(北緯72度~北緯84度だけは12度の範囲)までを20個の緯度帯に分割します。こうして分割された各ブロックは、3文字の英数字を用いて命名します。
 経度帯は、西経180度より東回りに、01、02、・・・60の数字で表します。緯度帯は、南緯80度より、C、D、E、・・・X(最後のXは12度幅;A、B、I、O、Y、Zは欠番)と20個のアルファベットで表します(図2)。こうして各分画は、例えば53Sといった2桁の数字と1文字のアルファベットで表せることになります。

図2 世界のゾーン



 日本は、東経122度~153度、北緯24度~46度の範囲にあるので、経度帯は51~56、緯度帯はR、S、Tに位置します(図3)。名古屋市は、53Sに位置していることがわかります。

図3 日本周辺の経度緯度のゾーン



(注1)このルールは、国際的にも用いられ、陸上自衛隊でも採用されているMGRS(Military Grid Reference System)です。

3.UTMグリッドのルール2(100km毎の分割)

 UTMグリッドでは、2.で分割された範囲を、西経180度と赤道を基準として、さらに100km四方のブロックに分割し、各ブロックをアルファベット2文字で表します。
 100km毎のブロックを表すアルファベット2文字の1文字目は、東西方向の位置を表し、赤道上の西経180度を西端とする領域より東方向の100km毎に、A、B、C、・・・、Z(I、Oは1「イチ」と0「ゼロ」と間違えやすいので欠番)、の24文字を付与します。
 各経度帯は、100km毎のブロックにきれいに分けられないため、東端と西端は、隣の経度帯の両端とブロックに重複が生じます。
 6度幅の経度帯はおよそ8つのブロックに分けられ、24個の文字で3つの経度帯に文字が付与されることになります。そのため、4つめの経度帯は、再びAから文字がつけられることになります。
 なお、赤道面を基準とした100kmブロックは、経度1度の長さは、高緯度にいくほど短くなるため、隣り合うゾーンで重複したブロックを表す記号が連続しない場所があります(図4)。

図4 経度帯100km毎の分割(日本付近の例)



 アルファベット2文字目は、緯度方向の位置を表します。北半球では、奇数の経度帯(01、03、・・・、59)について、赤道より北へ100km毎にA、B、C、・・・、V(I、Oは欠番)のアルファベット20文字を繰返し付与します。偶数の経度帯(02、04、・・・、60)では、赤道より北へ100km毎に奇数の緯度帯の場合と同じアルファベット20文字を、Fから始めG、H、・・C、D、Eの順に繰り返し付与します。
 このルールに従って、名古屋市中心部を表すと、経度、緯度帯のブロックが53S、100kmのブロックがPUに属していることがわかります。

4.UTMグリッドポイントの命名規則とその使い方

  ~名古屋城天守閣の位置を例として~
 地理院地図を使用して名古屋城天守閣を右クリックし、UTMポイント表示を選択すると、「53SPU72919528」と表示されます(図5)。

図5 地理院地図によるUTMポイントの表示例(10mグリッドを採用)



 このUTMポイントのうち、左からの英数字3文字“53S”は6度×8度のブロック(経度帯が53、緯度帯がS)を示し、次のアルファベット“PU”で100kmブロックを示します。
 残りの数字8文字“7291 9528”は、100kmブロックの原点(PUの南西隅)からの位置を表し、はじめの4桁が原点から東に測った距離を、次の4桁は原点から北に測った距離を10mの単位(原点から東に72910m、北に95280m)で表しています(図6)。これにより、名古屋城天守閣の位置は、地名や住所を使わず、UTMグリッドのルールにより、UTMポイントを使うことで場所を特定することができました。

図6 PU原点から名古屋城天守閣までの距離



 また、UTMポイントは、同じブロック内においては共通する原点からの距離を表しているので、2つのUTMポイントの比較から、それらの間のおおよその距離を知ることができます。
 例として、1回目の説明で使用した、名古屋市役所のUTMポイント「53SPU73609480」と、名古屋城天守閣の「53SPU72919528」を比べてみましょう。
 名古屋市役所は、名古屋城天守閣より、およそ東に690m(7360-7291=69)、南に480m(9480-9528=-48)の位置にあることを教えてくれます。

 UTMポイントにおいて、原点からの位置を示す文字数は、目的に応じて、より詳細なグリッドに対応させて増大することができます。例えば1m単位を伝えたい場合には、10文字を用いれば良いのです。こうして地上の任意の場所をより細かく特定することもできるのが、UTMグリッドの特徴でもあります。
 もちろん、東海地方の人など土地勘のある人の間では、地名や建物の名称で、その位置がわかるでしょう。一方、例えば災害発生時において、救助隊として広域から派遣されたり、ご自分が救助隊として広域に派遣されたとき、UTMグリッドは、地名を使わずに、正確な場所を伝えあうツールとして、使っていただければと考えています。

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