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地理院ホーム  > 刊行物・資料  > 国土地理院時報  >  国土地理院時報(2018,131集)目次  > 国土地理院時報(2018,131集)要旨 最終更新日:2018年12月28日

国土地理院時報(2018,131集)要旨

The History of Gravity Measurement in Geospatial Information Authority of Japan
—Evolution of Observational Technique and Gravity Standard—
 
測地部   山本宏章・宮原伐折羅・吉田賢司・菅原安宏
地理地殻活動研究センター   松尾功二・宮﨑隆幸
 
【要 旨】
 文部省(現文部科学省)の測地学審議会が,1952年に建設大臣(現国土交通大臣)宛てに国内外の重力測定を推進するため「重力測定等のための国際基準点設定について」建議したことを受けて,国土地理院の前身である地理調査所は,日本の重力の測定を開始した.重力測量は,現在まで,広く国内に重力の基準を整備し,維持することを目的に続いている.国土地理院は,基準となる重力点を設けて日本の重力の基準を構築,維持するとともに,水準点や三角点などの国家基準点等で重力測量を行い日本の重力分布を把握してきた. この建議は,測地学における国際協力の重要性を認識して,日本の重力を世界と結合して地球の形状を把握することを目的に,国際的に統一された重力の基準に準拠して地理調査所が国内外で重力の測定を行うというものである.また,重力測量は,国土に重力の基準を与えるとともに,重力分布を把握して正確な標高を決定することによって,測量法に基づいて国土に正確な位置と高さの基準を与えるという国土地理院の使命の遂行に不可欠である.国土地理院は,重力測量によって高さと重力の正確な基準を維持するために,絶え間なく進歩する重力の測定技術や高度化する機器を重力測量に取り入れ,国際的に整合した高精度な重力値を国土に展開することを継続してきた.また,重力分布は標高の基準となるジオイド・モデルの構築に必須であることから,衛星測位の発展に伴うジオイド・モデルを用いた標高決定への需要拡大を受けて,高さの基盤の整備を実現する重力測量の意義が高まっている.国土地理院が60年以上実施してきた重力測量について,測定機器の性能,観測技術及び達成精度を述べるとともに,社会的な意義を解説する.
 
 
Gravity Measurements in Geospatial Information Authority of Japan
 
測地部   山本宏章・宮原伐折羅・吉田賢司・菅原安宏
地理地殻活動研究センター   宮﨑隆幸
 
【要 旨】
 国土地理院は,高精度で安定した重力値を提供するとともに国際的に合意された基準に基づく日本の重力基準網の構築を目的として,全国で絶対重力測定及び相対重力測定を実施している.1993年にはFG5絶対重力計を導入し,2001年からは絶対重力測定の国際標準との整合性を担保するために,FG5絶対重力計の国内比較観測を行うとともに,測定及びデータ処理手法の高度化を検討してきた.このように測定誤差を極力除いて安定した重力値を求める手法を追及し,重力測量の精度及び信頼性を保っている.2016年には,こうした重力測量の結果を用いて「日本重力基準網2016(JGSN2016)」を構築した(吉田ほか,2018).
 本稿では,高精度で信頼性のある測定を達成するための機器及び測定方法,並びに重力基準網の根幹である重力点の現状とその維持・管理の方針を解説するとともに,国土地理院のこれまでの重力測量の実績を報告し,今後の課題と展望を議論する .
 
 
Establishment of the Japan Gravity Standardization Net 2016:JGSN2016
 
測地部   吉田賢司・矢萩智裕・平岡喜文・宮原伐折羅・山本宏章
地理地殻活動研究センター   宮﨑隆幸
 
【要 旨】
 国土地理院は,全国に等しく正確な重力値を与えることを目的として重力点を設置し,正確な標高を決定する際の重力補正,質量・力・トルクなど計測の国家計量標準の検定,地下構造探査等のための重力測定の基準等,社会や科学で広く活用される重力値を提供している.
 重力基準網は,重力点のネットワークからなる重力の基盤で,国際的な取り決めに準じた正確な重力値を利用者に与える役割を果たしている.1976年に整備した日本の重力基準網「日本重力基準網1975」は,公表から約40年が経過し,その間に生じた地殻変動等によって重力値の変化が累積したために,場所によっては日本重力基準網1975と実際の重力分布の間に0.1mGalに達する乖離が生じている.そこで,最新の測定に基づく信頼性の高い重力値を広く社会に提供することを目的に,「日本重力基準網2016」を2017年3月15日に公表した.日本重力基準網2016は,FG5絶対重力計を用いて全国34か所に基準重力点を設けるとともに,ラコストG型重力計を用いて全国262か所に一等重力点(水準点等に取り付けた分を含む)を設けて空間密度を補い,全国を約70kmの平均間隔で網羅する重力値の基準を実現した.その精度は基準重力点で0.006mGal,一等重力点で0.019mGalと見積もられ,JGSN75と比べて1桁高い精度となっている. 
 
 
Future Perspective for Gravity Measurements in Geospatial Information Authority of Japan
—Emerging Technology and Future Vision for Gravity Standard—  
 
測地部   宮原伐折羅・吉田賢司・山本宏章
地理地殻活動研究センター   松尾功二・宮﨑隆幸・宗包浩志
 
【要 旨】
 国土地理院は,全国に正確な重力の基準を与えるため,重力加速度を地上で測定する重力測量を1950年代から継続して行ってきた.重力測量では,国土地理院が設置した基準及び一等重力点において絶対及び相対重力値を測定し,測定した重力値を網平均処理することで重力の基準を構築する.最新の重力の基準は,「日本重力基準網2016(JGSN2016)」で,計量機器の校正や地下の質量分布探査の基準など,様々な社会及び科学分野において重力の基準を提供している.重力測量の測定の精度は,計測機器と技術の高度化に伴って向上を続けており,国土地理院は,これらを取り入れることで測定を高度化し,現在は技術的に可能な限り高い精度で重力測量を達成している.一方,重力観測衛星や航空機搭載型の重力計など,近年の急速な重力観測技術の高度化に伴い,重力の詳細な時空間分布の把握が可能となってきている.GRACE衛星やGOCE衛星といった重力観測衛星ミッションの実現によって,地球規模の重力分布とその時間変化の解明が進むとともに,航空重力測定の高度化によって沿岸域や山岳域といった,これまでの技術では重力分布の把握が困難であった場所で詳細な測定が可能となった.観測精度や時空間解像度など,これらの技術の現在の性能と特徴を解説するとともに,各々の技術の特徴を生かしてこれらの測定を適切に統合することで,国土地理院が今後目指していく重力測量と重力基準の将来像を議論する.
 
Gravity Measurements in Geospatial Information Authority of Japan at Antarctica
—Emerging Technology and Future Vision for Gravity Standard—

 
測地部   菅原安宏・宮原伐折羅・吉田賢司・山本宏章
京都大学大学院理学研究科   福田洋一
 
【要 旨】
 日本の南極地域観測事業は,1957~1958年の国際地球観測年を契機に開始された.国土地理院は,1956年の第1次観測隊から毎次隊員を派遣し,基準点測量,地図作成,重力測量,地磁気測量などを実施して南極地域観測の基盤となる位置情報の整備に貢献している.
 国土地理院は,南極地域の重力の基準を定め,維持するとともに,南極地域の重力場を把握することを目的として重力測量を実施している.南極地域における国土地理院の重力測量は,1956年に国際重力委員会の要請を受けて,第2次観測隊(1957)から計画された.第3次観測隊(1958)ではウォルドン重力計を用いて相対重力測定を開始し,第6次観測隊(1961)ではGSI型重力振子を用いて昭和基地に重力点を設けた.第33次観測隊(1991)では,投げ上げ式GA60絶対重力計を用いて絶対重力測定を開始し,第36次観測隊(1994)では落下式のFG5絶対重力計を導入して第56次観測隊(2014)まで測定を継続している(写真-1).
 本稿では,国土地理院が実施してきた重力測量の足跡をたどり,重力測量に基づいて定められた重力基準について解説するとともに,第56次観測隊の絶対重力測定について報告する.さらに,ほかの機関が南極地域で実施する超伝導重力計による連続観測,海上重力測定,航空重力測定などの概要を述べるとともに,今後の南極地域の重力測量について議論する.
 
 

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