地理院ホーム > 公共測量 > 過去の地震における公共測量への対応について > 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」に伴う公共測量成果の改定 > 東北地方水準成果改定に伴う公共測量に関するQ&A
平成29年2月28日
A1
地域特性もあるため一概には言えませんが、水準測量など、比較的高精度の標高必要がある場合には、今回の成果改定が影響する可能性があります。一方で、通常の基準点測量など、一定の精度で標高を求める測量の場合は、標高改定量の大きい地域のみ影響することが考えられます。測量の内容等によっても異なりますので、別紙(標高成果改定の影響を受ける可能性のある公共測量について)も参考にしてください。
成果の改定が必要であると判断した場合には、過去の測量結果を用いた改算(再計算)、又は改測(再測量)を行います。また、成果を改定しない場合であっても、標高改定量のやや大きい地域で過去の公共測量成果を使用する場合には、精度確認のために検測を実施し、許容範囲を超過する場合は同様に改算または改測等を行っていただくことが必要となります。
なお、東日本大震災による地殻変動の影響(余効変動)は今後もしばらく継続することが予想されます。また成果の改定を行うには、追加の経費も必要となります。このため、今後使用予定のある公共測量成果のみを改定の対象とするとか、厳密な絶対標高を必要としない測量の場合は、成果を改定しないといった判断も考えられます。各計画機関の実情に合わせて測量成果の改定を行う時期及び方法をご検討ください。また、個別の状況に応じて適宜助言いたしますので、国土地理院にお問い合わせください。
A2
公共水準点は測量の目的により求めたい精度が異なりますし、地域特性があるので、改定についての一定の基準を設けることは困難です。
標高成果の改定量は国土地理院のウェブページで公表していますので参考にしながら、各計画機関の実情に合わせて測量成果の改定の有無を決定してください。必ずしも成果の改定を行わなければならない、とはしていません。
A3
震災後、既に公共測量成果を測地成果2011に改定している測量計画機関もあること、現在も余効変動が継続している状態にあることから、今回は必ず公共測量成果の改定を行うような統一的な指導や助言は行いません。
各測量計画機関の実情に合わせて、今後使用予定のあるものについて、必要な範囲で公共測量成果改定の検討をいただくことになります。
A4
測量成果改定地域と非改定地域での境界付近で公共測量作業を実施する場合は、精度確認のために検測を実施し、許容範囲を超過する場合は改算または改測等を検討してください。
A5
継続して公共測量を実施している場合は、求めたい測量精度にもよりますが、これまでに実施した公共測量成果を改算して新しい測量作業を実施するか、改定前の標高のままで測量作業を進めて、最後にすべての標高成果改定を行うことも可能です。
A6
既知点である公共水準点が設置された際に使用された基本水準点の改定成果を用いることが必要です。
例えば、公共水準点(E・F)が公共水準点(C・D)を既知点として設置されており、さらにその公共水準点(C・D)が基本水準点(A・B)を既知点として設置されている場合を考えます。この場合、公共水準点(E・F)の成果を改算により改定するには、以下の手順で行います。
一方、改測により成果の改定を行う場合は、基本水準点を既知点として水準測量を行うことが必要となります。
A7
水準点の成果は、パラメータでは補正できません。よって公共水準点成果の改定は等級(必要精度)に応じて過去の測量結果により改算を実施するか、改測を行うことが必要です。
A8
標高区分が、「水準測量による」とされている電子基準点を既知点とすることで、整合は図れます。
A9
標高改定量の大きな一部の地域では、水準点と三角点の標高に不整合が生じますが、水準点の標高と三角点の標高を同時に使用する測量は限定されるため、適切な測量方法により実施することで、ほとんど影響は無いと考えます。
また、作業規程の準則第43条では公共基準点の新点に関して、標高の標準偏差の許容範囲は20cmと規定されており、今回の水準点の測量成果改定で、これを超える不整合が生じる地域は限定的です。水準点の標高と三角点の標高を同時に使用する測量を計画されている場合は、適宜助言いたしますので国土地理院にお問い合わせください。
A10
公共基準点成果の改定については、引き続き標高の補正量がおおむね10cmを超える公共基準点は標高成果改定を検討ください。今回、基本基準点(三角点)の標高成果を改定していないので、新たな標高補正パラメータの提供は行いません。
A11
今回の改定では、電子基準点の標高成果は改定されますが楕円体高の改定は行いません。電子基準点のみを既知点とする基準点測量では、計算に用いる既知点の楕円体高について「電子基準点の楕円体高は、成果表の楕円体高とする」と規定されています。(準則第43条第3項第二項イ(1))
このため、電子基準点の標高が改定されたとしても、その影響は無く、基本基準点(三角点)の標高成果や、過去に設置した公共基準点の標高成果と整合する成果となります。
A12
単点観測法で求まる標高は、既知点となる電子基準点の楕円体高を計算に用いているため、基本基準点(三角点)の標高成果や、過去に設置した公共基準点の標高成果と整合します。
A13
標高改定量が大きな一部の地域でのみ影響が懸念されますが、ほとんど影響が無いと考えます。合わせて別紙(標高成果改定の影響を受ける可能性のある公共測量について)の、数値地形図データの作成の精度をご確認ください。
A14
単点観測法で求まる標高は、基本水準点の標高改定量が大きい地域の水準点標高とは整合しないため、別の方法(簡易水準測量またはGNSSによる標高の測量マニュアル)で標高を求めるよう助言する場合があります。ただし、ほとんどの地域は標高改定量が10cm程度、あるいはそれ以下ですので、ほとんど影響がないものと考えています。
A15
今回の改定は、標高改定量が大きい所で30cm程度であり、その範囲も限定的ですので、ほとんど影響ないものと考えています。合わせて別紙(標高成果改定の影響を受ける可能性のある公共測量について)をご確認ください。
A16
近傍に必要な基本水準点がない場合には、調整用基準点に最も近い2点以上の基本水準点を既知点としてGNSS観測のスタティック法に準じて行うか、「GNSS測量による標高の測量マニュアル」を用いて電子基準点のみを既知点とした標高の測量を実施してください。
A17
標高改定量が大きな一部の地域でのみ影響が懸念されますが、ほとんど影響が無いと考えます。合わせて別紙(標高成果改定の影響を受ける可能性のある公共測量について)をご確認ください。
A18
標高改定量が大きな一部の地域でのみ影響が懸念されますが、ほとんど影響が無いと考えます。合わせて別紙(標高成果改定の影響を受ける可能性のある公共測量について)をご確認ください。
A19
作業規程の準則第333条より、三次元計測データと調整用基準点との較差が許容範囲を超過した場合は、再計算処理又は再測等の是正処置を講じる必要があります。
補正方法については、「地域全体の三次元データの標高値を上下の一律シフトの平行移動による補正とする」と規定されていますのでご確認ください。
A20
標高改定量の大きい地域では仮BMの標高の測量成果改定量が、路線測量の結果に影響する場合もありますが、経費が必要なこともありますので、厳密な絶対標高を必要としない測量の場合は、成果を改定しないという判断もあります。
合わせて別紙(標高成果改定の影響を受ける可能性のある公共測量について)をご確認ください。
今回実施する基本水準点の標高成果の改定は、太平洋沿岸の一部地域で標高改定量が最大30cm程度、その他のほとんどの地域は標高改定量が10cm以下となっています。こうした状況を踏まえた場合の公共測量への影響について、作業規程の準則(以下、準則)の規定などを参考に、具体的な数値で影響の有無を例示しました。
なお、これらの内容は、あくまでも参考として示すものです。影響が懸念される地域で公共測量を実施する際は、個別の状況に応じて適宜助言いたしますので、国土地理院にお問い合わせください。
基準点の標高を測標水準測量(4級水準測量)により算出している場合は、基本水準点の標高改定量が大きい地域では影響する可能性があります。
GNSS測量又はTS測量により標高を求める場合には、基本的には影響は生じません。
基本水準点の標高改定量が大きい地域で水準測量を実施している場合は影響する可能性があります
標定点の標高の標準偏差が、地図情報レベルによって0.1m~0.3m以内と規定されていることから、標高改定量が大きな一部の地域では影響する可能性があります。
ただし、数値地形図データの作成における標高の精度は、標定点の精度より緩く設定されているため、数値地形図データの作成にはほとんど影響がないものと考えています。
標高の標準偏差が0.25m以内と規定されていることから、標高改定量が極めて大きな地域以外では、ほとんど影響がないものと考えています。
標高が改定されることにより、数値地形図上の等高線や標高値を修正する必要が生じる可能性もあります。
調整点の標高の標準偏差が0.1m以内と規定されています。また、数値図化用データと調整点との較差について地図情報レベル500では0.2m以内、レベル1000では0.3m以内と規定されています。
このため、標高改定量が大きな一部の地域では影響する可能性があります。
調整用基準点と三次元計測データの較差の平均値の絶対値が25cm以内又はRMS誤差が30cm以内と規定されていることから、標高改定量が大きな一部の地域では影響する可能性があります。
仮BM設置測量(平地:3級水準/山地:4級水準)や縦断測量(平地:4級水準/山地:簡易水準)を行う場合には、標高改定量が大きな一部の地域では影響する可能性があります。
水準基標測量(2級水準)や定期縦断測量(平地:3級水準/山地:4級水準)を行う場合には、標高改定量が大きな一部の地域では影響する可能性があります。
標高の標準偏差が0.33m~3.33m以内と規定されているため、今回の標高改定による影響は基本的には無いと考えます。
標高の標準偏差が0.33m~5.0m以内と規定されているため、今回の標高改定による影響は基本的には無いと考えます。
標高点の標準偏差が0.5m~10.0m以内と規定されているため、今回の標高改定による影響は基本的には無いと考えます。
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