地理情報 − 画像とグリッドデ−タ(要約)

ISO/PDTR 16569.2 (1999年6月26日)


序文

この技術報告は、一連の19100規格の環境における、画像とグリッドデータの取り扱い方を探求している。
 

適用範囲

このドラフトは、テクニカルレポートであり、空間情報科学のコミュニティでこれらのデータがどのように取り扱われているかを調査し、一連の19100 規格により、画像とグリッドデータのようなタイプのデータがどのようにサポートされるべきかを提起する。
 

既存標準の調査

画像とグリッドデータの標準化に関する努力は、これまでにも様々な分野において行われてきた。下の表は、画像とグリッドデータに関する既存標準の調査結果のまとめである。
 
既存規格
の名称
連携
地理的
内容
メタデータ
コード化
※3
圧縮
※3
サービス
データ
モデル
交換
フォーマット
ISO/TC211
へのインパクト
DIGEST
Y
Y
Y
E
R
N
N(not
raster)
Y
Y
IHO
Y
Y
Y
S
S
N
Y
Y
Y
IP-IIF
Y
N
SOME
S
R
N
N
Y
Y
BIIF
Y
Y(※6)
Y
S
R(※7)
N
N
Y
Y
NITF
Y
Y
Y
S
R(※7)
N
N
Y
Y
SQL/MM
Image
Y
Y
N
N
N
Y
Y
N
Y
OGC
Y
Y
Y
E
※8
Y
Y
※9
Y
SC29 JBIG
N
N
Y
S
S
N
N
Y
Y
SC29 JPEG
N
N
Y
S
S
N
N
Y
Y
SC29 MPEG-2
N
N
Y
S
S
N
N
Y
Y
T4&T6
N
N
N
S
S
N
N
PART
N
TC130 TIFF
N
N
N
S
R
N
N
PART
N
GeoTIFF
N
Y
Y
S
R
N
N
 
Y
SDTS raster
N
Y
Y
R
R
N
Y
Y
Y
CEOS CIP
Y(※10)
Y
Y
R(※11)
N
Y
Y(※11)
Y(※11)
Y
CEOS Super
Structure
Y(※10)
Y
Y
S
N
SOME
Y
Y
Y
HDF
N
N(※12)
Y
S
Y
Y
Y
Y
Y
HDF-EOS
N
N
Y
S
Y
Y
Y
Y
Y
※1  インパクトとは、ISO/TC211がその規格をISO/TC211の開発のための要求の出所として考慮すべきことを意味する。
※2  表中の様々な規格の権威のレベルを評価する努力は行われていない。
※3  表中の「コード化」、「圧縮」は、次のように分類される。R−仕様の参照、S−仕様を含む、N−無し、E−外部仕様の適用上の指示を提供する。
※4  「サービス」は、参照された標準が、サービスを規定していることを示す。
※5  「データモデル」は、規格が概念スキーマ言語で記述される概念スキーマによりサポートされることを示す。
※6  BIFFは、DIGESTのGeo Contentを利用している。(付属書D)
※7  この標準は、JPEGやVQを含めて、非常に多くの標準を考慮にいれている。
※8  OGCは、まだ独自の圧縮サービスに関しては何も規定していないが、OGCのImage Exploitation Working Groupの中でそれが前進していることにより、そのような仕様が期待される。
※9  OGCの焦点は、交換フォーマットと関連しているが、それは、相互的なセッションの中で、クライアントと(潜在的に遠くのそして異種の)サーバの間のフューチャ情報のダイナミックな交換をサポートする構造にあった。
※10  CEOS WGISSは、Aクラスの連携を確立しようとしているところである。
※11  メタデータだけ
※12  そのフォーマットはユーザに、地理的内容の導入を提供する。

 これらの外部規格と一連のISO基本規格群との提携を確保する為に、ラスタ及びグリッドデータの標準に関する正式な検討をISO/TC211 の中で始めることが急務である。
 

画像とグリッドデータの構成要素

ラスタ交換フォーマットは、次の基本的なパーツから構成される。
− 映像要素(ピクセル)またはセル;
− ラスタデータセットに関するメタデータ(情報源や品質情報を含む);
− 空間登録情報;
− カプセル化とコード化の手法;
カプセル化とコード化を除いて、ある基本的なパラメータまたは少ない種類のパラメータがこれらの要素について標準化され得る。これらのほとんどの点において、様々な既存フォーマット間に強い類似が存在する。
以下の1〜4は、ISO/TC211 19100ベースの規格によってサポートされるべき要素である。
 

1 セルの映像要素

空間上に分散された属性値は、画像または他のセンサーにより取得された情報を含み、それ自体、画像を形成する。属性値はまた、高さデータ、潮の調和パラメータ等のような計算値または計測情報を含む。カバレッジ機能の要素が画像の要素に対応しているとき、それらは表現された画素である。さらに一般的に、細部のすべての要素は、セルと呼ばれる。
 

2 メタデータ

メタデータは、データについて記述する情報である。それが何であるか、またその属性が何を意味するのかを知らなければ、画像とグリッドデータを解読することは、ほとんど不可能であるため、それは、画像とグリッドデータと同じくらい重要なものである。
 

3 空間的な位置決め

画像とグリッドデータセットにとってもっとも重要な面は、画像の実際の位置を正確に記述する情報である。
 

4 カプセル化とコード化

コード化に関する15046-18の作業は、XML(eXtensible Markup Language)を使ったモデルの具体化をベースにした中立の交換フォーマットの開発である。これは、すべての地理情報の交換のための一般的な基礎を提供する。この技術を画像とグリッドデータに当てはめることができるが、他のたくさんのコード化のための仕組みをも考慮することが必要である。
 

他の標準との連携

外部のいくつかの標準、例えば映像のコード化におけるISO/IEC JTC1/SC 29の研究は、ISO/TC211の作業を大いに助ける。つまり、標準というものは広い共同体のために開発されるものであり、さらにそれらはまた、画像とグリッドデータに関係する地理情報共同体の要求を満たすものである。これらの標準は、ISO/TC211の作業の中の規準参照に含まれている。他の外部標準であるDGIWGとIHOは、ISO/TC211の作業に影響を与える。したがってISO/TC211の、DIGESTラスタデータプロダクトのような既存のデータプロダクトは、ISO/TC211の要素という見地から説明することができる。
 

画像とグリッドデータをISO/TC211の作業項目に位置づける計画

このレポートにおいて立案された計画は、画像とグリッドデータを位置づけるために、新しい作業が必要になることを認識している。ISO/TC211における、他の作業項目の進捗を遅らせるよりも、画像とグリッドデータの様々な側面の詳細を提供するような予備的なステージ0の新しい作業項目を創造することが提起されている。これらの要素が既存の19100の各パーツに技術修正という筋道か又は19100の一連の規格における新しパーツの開発という事例として追加されることが必要であろう。
次の表は、関連するWIに対して必要とされる、新しい研究領域を示す。
 
新しい研究領域
WG
新しい研究領域
WI7
2
カバレッジ幾何と機能のためのスキーマ
WI8
2
時空間幾何
WI9
2
カバレッジ機能のための応用スキーマ規則
WI10
3
画像とグリッドデータのカタログ化法
WI11
3
画像とグリッドデータのための空間参照
WI13&14
3
画像とグリッドデータのための品質と品質評価
WI15
3
画像とグリッドデータのためのメタデータ要素
WI16
4
画像とグリッドデータのための測位サービス
WI17
4
画像とグリッドデータのための可視化法
WI18
4
画像とグリッドデータのためのコード化要素
WI19
4
画像利用サービス
※ 1:カバレッジの幾何と機能、そして時空間幾何に関する研究は、WG2で作成されている新作業項目提案により取り扱われるだろう。これは、画像とグリッドデータの必要条件だけでなく、Triangular Irregural Neworks(TINs)等のような異なるタイプのカバレッジ機能データの為の必要条件にも取り組むだろう。これは、OGCとの協力により成されるだろう。
※ 2:ラスタとグリッドデータのプロジェクトチームが他のプロジェクトチームからの情報も加味して作成した、ステージ0の準備文書においては、他の領域の新しい研究成果も取り扱われるだろう。
※ 3:画像のための参照システムの移動サービスにおける新しい領域の研究がまた必要とされる。これはまた、ステージ0の準備文書の一部として扱われる。

 

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