地理情報 − コード化(要約)

ISO/CD 15046-18 (1999年3月16日)


適用範囲

この規格は,データ交換のために用いられなければならないコード化規則を規定する。コード化規則は,アプリケーションスキーマで定義された地理情報を,移送や記憶に適する,システムから独立したデータ構造にコード化することを可能にする。コード化規則は,コード化されるデータ型や,結果として得られるデータ構造の中で用いられる構文,構造,及びコード化体系(coding schemes)を規定する。定義されたコード化規則は,コード化サービスを実装するために用いられなければならない。
この規格は,XMLに基づくコード化規則を定義する。XMLはシステム及びコンピュータプラットフォームから独立しており,また,WWWと相互運用性を持つように設計されている。
この規格は,いかなるデジタル媒体や通信フォーマット,転送プロトコルも定義しない。
 

用語と定義(抜粋)

アプリケーションスキーマ (application schema)
1つ又は複数のアプリケーションから要求されるデータに対する概念スキーマ
コード化規則 (encoding rule)
特定のデータ構造に対するコード化を定義する変換規則の識別可能な集まり
コード化サービス (encoding service)
コード化規則を実装したソフトウェアコンポーネント

基本的な概念と前提

 この規格群の目的は異種の地理情報システム間の相互運用性を可能にすることであり,その為には2つの基本的問題が決定される必要がある。1つは,地理データの内容及び論理構造の意味を定義することで,これはアプリケーションスキーマで行われる。もう1つは,そのアプリケーションスキーマに対応するデータを表現することのできる,システムやプラットフォームから独立したデータ構造を定義することである。
 

1 データ交換の概要

 データ交換の概要を図1に示す。データ交換のためには,AとBは,共通のアプリケーションスキーマ,適用するコード化規則,及び使用する転送プロトコルの3つを決定しなければならない。アプリケーションスキーマIは,転送データの可能な内容と構造を定義する。一方,コード化規則は,データをシステムから独立したデータ構造にコード化するための変換規則を定義する。
A,Bの両システムとも,内部データベースの中に内部スキーマに従ってデータを記憶している。Aの内部データベースからBの内部データベースへデータセットを転送するためには,次の論理的ステップを踏まなければならない。

a) システムAの内部データをアプリケーションスキーマに従ったデータ構造に翻訳する。これは, 
b) 内部スキーマの概念からアプリケーションスキーマで定義された概念への写像(MAI)を定義しかつ,データインスタンスを翻訳するための適切な写像ソフトウェアを書くことにより可能になる。結果はアプリケーションスキーマ特有データ構造iである。
c) システムから独立し,転送に適したデータ構造を作成するためのコード化規則Rを適用するコード化サービスを使用する。コード化されたデータセットはdと呼ばれる。
d) dをシステムBに送るために転送サービスを実施する。転送サービスは,パッケージ化や実際の移送のための転送プロトコルを実装しているソフトウェアコンポーネントである。
e) システムBの転送サービスは,転送されたデータセットを受け取る。それは,プロトコルに従いアンパックされ,dとして中間ファイルなどに記憶される。
f) iを得るため,システムBはコード化されたデータを解釈するためのR-1を適用する。
g) データセットを使用するため,システムBは,iを内部データベースに翻訳する。これは,アプリケーションスキーマから内部スキーマへの写像(MIB)を定義し,かつ,実際の翻訳をするソフトウェアを書くことによってなされる。

この規格は,ステップb) ,e)のコード化規則及びコード化サービスを規定するだけであって,データ交換プロセス全体は規定しない。
 

文字レパートリ

この規格は,文字集合の国際規格であるISO/IEC 10646-1及びISO/IEC 10646-2を採用する。この2つの国際規格に対していくつかのコード化体系が存在する。この規格群では,UTF-8,UTF-16 ,UCS-2又はUCS-4を使われなければならない。
 

アプリケーションスキーマ特有データ構造

アプリケーションスキーマ及び標準化されたスキーマを表現するためのスキーマモデル,及び,アプリケーションスキーマに対応するデータを表現するためのインスタンスモデルの2つの抽象モデルが定義される。これらのモデルは,アプリケーションスキーマとデータについて説明し,変換規則を定義するための道具である。これらのモデルは,UMLのメタモデル及びオブジェクト指向の原理に基づいている。
 

出力データ構造

変換規則には,スキーマ変換規則及びインスタンス変換規則の2つの型がある。スキーマ変換規則は,どのようにスキーマモデルのインスタンスを文書型定義(DTD)ファイルにおけるXML要素宣言に変換するかを定義する。インスタンス変換規則は,どのようにインスタンスモデルのインスタンスを,結果として得られるデータ構造のインスタンス(XML文書におけるXML要素)に変換するかを定義する。
スキーマ変換の結果はXMLのDTDファイルである。このファイルの目的は,スキーマを交換することではなく,妥当なXML文書を保証することである。
インスタンス変換の結果は,上のDTDに従った妥当なXML文書である。このXML文書は,次のような構造を持つ:
<GI>
<GI.header>…</GI.header>
<GI.content>
<package_element><object_element></object_element>

</package_element>

</GI.content>
</GI>

コード化サービス

コード化サービスは,コード化規則を実装し,その機能へのインタフェースを提供するソフトウェアコンポーネントである。コード化サービスは,少なくとも,アプリケーションスキーマに基づくDTDを生成するための機能を持ち,XML生成規則に従ってデータをコード化し,逆向きのXML生成規則を適用してデータを復号しなければならない。
 

附属書

この規格には,AからEの5つの附属書がある。
附属書A(規定):コード化サービスがこの規格に適合するための要件等について述べている。
附属書B(規定):必要となるDTD要素について述べている。
附属書C(参考):XMLとその関連規格について解説している。
附属書D(参考):ISO/IEC 10646を簡単に紹介している。
附属書E(参考):例を示している。
 
 

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