地理情報−測位サービス(要約)

ISO/CD 19116 (1999年11月27日)


序文

 測位サービスはISO19119「サービス」で識別する処理サービスの中に含まれる。測位サービスはより計算指向であり、モデル領域自体に直接統合されるというよりはむしろモデル領域から要素を操作するサービスを含んでいる。この領域での他のサービスには座標変換、メートル翻訳、フォーマット換算、意味的な翻訳などがある。
 測位サービスは広範な各種の応用に対し位置及び関連した情報を与える広く各種の工学を使っている。これらの工学は多くの点で違っているが、これらと共通で、位置データや観測した時間、及びその正確度のように応用領域に共通するニーズに対応する情報の重要な項目がある。また、特定の工学に適用し、時には信号強度、幾何学的な要因、生測定値のような測位結果を正確に利用させるために必要とされる情報の項目がある。それゆえに、この規格は広範囲な測位サービスに利用できる一般データ要素と特定の工学に関連する工学特定要素の両方を含んでいる。
 現代の電子測位技術は高速かつ高正確度で地球上やその近傍の位置座標を測定することができ、それによって、数千のオブジェクトで地理情報システムの中のデータベースを詰めることができる。しかし、位置決定のための工学は位置情報を示す共通する構造も、また正確度を示すための共通する構造をも持たなかった。もし違う工学から得られたデータが本質的な情報のための共通する構造すなわちISO測位サービス・インタフェースによって統合されないならば、GISデータベースはこれらの測位工学から十分に利益は得られない。このインタフェースは位置情報を生成し、利用するシステムの構成部分のいづれの間でも測位の通信に利用されるだろう。
 測位サービス装置はシステム識別データを伝送する。そうすればユーザは測位システムの型を決められ、そのシステムが作動中かどうかを決めることができる。つぎに、ユーザはコマンドを出すことによって、インタフェースを通じて希望する座標参照系で座標を与えるよう装置をセットする。またユーザはシステムのある作動状態をセットする。そうすれば望む方法で位置決定が行われる。測位システムはユーザが測位値を利用できるかどうか判断する手助けとなるある種の作動状態を報告する。
 

適用範囲

 この国際規格は位置を与える装置と位置情報を利用する装置の間で通信できるようにするインタフェースのデータ構造と内容を定義したものであり、それにより、位置情報を利用する装置は利用の要件を満たし、位置情報を取得し、あいまいさのない解釈をし、利用の要件を満たしているかどうかを判断するよう、人間の介在なしで測位装置を制御できることを目的とする。
 

適合性の要件

国際規格のこの項目に適合するためには、付属書A「適合性」に定義した要件を満たさなければならない。
 

用語と定義(抜粋)

 
測位システム(positioning system)
点又は対象物の位置を求める装置
慣性測位システム(positioning system, inertial)
初期の参照点から点又は対象物の座標を求めるために加速度計、ジャイロコンパス、及びコンピュータを統合して使う相対的な測位システム
統合測位システム(positioning system, integrated)
2つ以上の技術を組み合わせた測位システム
線型測位システム(positioning system, linear)
参照する1点又は複数の点から測定しこれらの点から位置を求める測位システム
光学測位システム(positioning system, optical)
光の特性によって位置を求める装置のシステム
衛星測位システム(positioning systems, satellite)
衛星から送られる信号を受信して測定する測位システム

測位サービスモデル

 図−1に測位サービスのモデルを示す。


 

システム情報(PS_System)

 システム情報要素は測位データソース、利用した技術のタイプ、及びその能力を規定する。システム情報はシステム能力コードに沿ってどんなデータタイプが利用できるかを決めるために問いかける。このことによってユーザに対し適切なタイプの測位観測を要求し、解釈することができる。システム情報に関する要素を以下に説明する。
 

装置の認識(PS_InstrumentID)

規定の測位サービスに使う装置の認識番号がわかれば、測定はその起源を追跡することができ、装置の特徴(装置のバージョン)に関連する情報が使用する測位システムによって利用できる。これは、以下の属性からなる。1)装置のタイプ、2)装置のラベル又は番号、3)装置の製造者、4)モデル名・番号・又は製造形式、5)製造者の部品製品バージョン、6)装置のバージョン・又は改良認識番号、7)装置のシリアル番号。
 

セッション(PS_Session)

観測セッションを規定する。操作の統合システム情報とモードを持つセッションの中で行われる観測に関連するものである。測位サービスによる観測はユーザにとって意味のある時間間隔に相当するセッションに関連している。セッション情報は認識番号、始終時間、調査団や作業の区分番号、観測者や責任ある団体の認識番号が含まれる。この情報はデータソースと遺産データに関するメタデータ項目をうめるために利用されるだろう。このデータ要素の実装はオプションである。このデータの属性データは、次の5項目である。1)識別番号、2)始まりの日時、3)終わりの日時、4)機関と作業又は調査団の規定、5)観測者、操作者、管理社、又は同様にセッションに責任ある団体の規定。
 

操作モード(PS_Mode)

 測位観測は各種の原子、投影法、測定単位など、多くの方法で表される。操作モードクラスは特別な観測のセットを表す方法を規定する。そして、操作モードについての方法は曖昧さなしで解釈できるように結果の表現についての適切な詳細を含まなければならない。この情報には次の6つのものが含まれる。1)モードの名前、2)測定のタイプ、3)位置参照システム、4)時間参照システム、5)測位サービス参照システムをアクセスするリンク、6)測定に利用する変換と転換。
 

観測(PS_Observation)

  測位観測の結果はPS_Obsevationの中で報告する。これには測位観測をした日時、及び関連するPS_Modeで規定した参照システムに対応した結果ベクトルが含まれる。利用する対象を規定するための追加の観測、情報測位センサーと関心のある対象物までのオフセット、及び操作情報を規定するために付属する技術がこのクラスに含まれる。この情報には、次の5つの属性がある。1)観測がなされた日時、2)結果の値を含むベクトル、3)関連する対象物又は出来事を規定する文字列、4)対象物に関連する結果に関する値、5)操作状況データを規定する技術。
 

品質規定情報

 測位サービスはその測位観測を表す品質情報を与える。その品質情報はある利用に対し観測結果が適合するかどうかを決めるのに使われる。例えば、精度がプロジェクト仕様に満たないとき観測は地上測量や地理的フィーチャーを持つGISの構築では使われないだろう。品質情報はより大きなデータセットの品質評価の部分となるデータを持っている。
 

技術規定情報

 技術規定情報クラスは全ての技術で利用するのではなく規定の技術の応用で必要な情報を得、伝えることができる。技術規定クラスの仕様は一つの技術から他の技術へと変化するかもしれない。一般的に技術規定情報は次に3つのグループに分けられる。1)システムの操作と性能に直接関係ある情報、2)技術の本質的な解法フォーマットに構造化された情報で測位観測として報告する参照システムに渡さない、3)技術が測位結果を引き出した観測の値。
 なお、これはGNSS技術のみに対するクラスと定義を与えるが、他の技術に規格を拡張する際のこの構造は基準として使うことができる。
 
 

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