地理情報 − メタデータ(要約)

ISO/CD 19115.2 (1999年11月30日)


序文

 地理データセットの数,複雑性,及び多様性が増すにつれて,データの全ての側面について、その理解を得るための方法は、重要性が増して来ている。
 デジタル地理データは,情報のコンピュータ分析及びグラフィック表示に使うために,実世界をモデル化し,記述する試みである。現実のいかなる記述も常に抽象概念であり,常に部分的なものであり,常にたくさんの可能性のある「見方」の中のただの1つである。実世界のこの「見方」又はモデルは,まったくの複製ではない;近似されている部分もあれば、単純化されている部分もあり、また、無視されている部分もある。データが誤用されていないことを保証するために,データの作成に影響を及ぼす前提と制限は完全に文書化されなければならない。メタデータは,利用者が前提と制限を理解し,彼らの意図した利用に対するデータセットの適用可能性を評価できるように,作成者にデータセットを完全に記述することを認めている。
 一般的に,地理データは作成者以外の多くの人に利用される。適切な文書化は,データに不案内なそれらの個人や組織に,よりよい理解を提供し,彼らがデータを適切に利用することを可能にするであろう。
 本規格の目的は,利用者が,地理データの在処を見つけ,選択,購入,及び地理データへのアクセスができ,手持ちのデータが自分達に役に立つかどうかを決定し,それを最も効率的な方法で利用できるように,デジタル地理データセットを記述するための構造及び既存の構造を拡張する手順を提供することである。メタデータの用語,定義,拡張手順の共通集合を確立することにより,本規格は地理データの適正な利用と効果的な検索を促進するであろう。メタデータに対する本規格の補足的な便益は,地理データの体系化と管理を促進すること,及びある組織の持つデータセットについての情報を他に提供することである。データの文書化のための本規格は,データ作成者に対し,彼らが地理データを特徴づけるための適切な情報を提供する。また,本規格は,データの発見,検索,及び再利用を実現するデータセットのカタログ化を可能にする。
 

適用範囲

 本国際規格は,地理情報の記述及びサービスのために必要となるスキーマを定義する。本国際規格は,デジタル地理データの識別,範囲,品質,空間的及び時間的なスキーマ,空間参照,並びに配布についての情報を提供する。本国際規格は,データセットのカタログ化,クリアリングハウス活動,及びデータセットの完全な記述に適用できる。本国際規格は,地理的なデータセット,データセットシリーズ,及び個々の地物と地物特性に適用できる。
 本国際規格は以下を定義する。
* 必須及び条件付きの,メタデータパッケージ,メタデータ中項目,及びメタデータ要素-メタデータの応用の全範囲(データの発見,データ合目的性の決定,データアクセス,データ転送,デジタルデータの利用)を供給するための必要最小限の集合
* オプションのメタデータ要素- 地理データのより広範囲にわたる標準的記述が必要になった時のためもの
* 特殊なニーズに合うようにメタデータを拡張する方法
本国際規格はデジタルデータに適用できるが,この原理は,地図,海図,テキスト文書のような他の多くの形式の地理データにも拡張できる。
 

適合性の要件

本国際規格への適合性を主張するいかなる製品も,規定扱いの附属書Dに示される抽象試験スイートに記述された要件を満たさなければならない。適合性は次の2つの型のメタデータに対して規定される
* ISO 19115規格のメタデータ−本規格で規定されるメタデータ
*  利用者によって定義(拡張)されるメタデータ。
 

用語と定義(抜粋)

地理データセット
空間的側面を持つデータセット
メタデータ
データについてのデータ
メタデータ要素
メタデータの別個の構成単位
メタデータ中項目
データの同じ側面を記述するメタデータ要素及び他のメタデータ中項目のグループ
メタデータパッケージ
関係するメタデータ中項目とメタデータ要素の集まりを定義する,メタデータのサブセット

地理的メタデータの要件

本規格はデジタル地理データを記述するために必要となるメタデータを識別する。メタデータは,独立したデータセット,データセットの集合体,個々の地物,及び地物を構成するオブジェクトの様々なクラスのオブジェクトに対し適用出来る。メタデータは各地理データセットに対して必須であり,データセットの集合体,地物,地物の一部に対しても任意で提供してもよい。メタデータは,1つ以上のメタデータ中項目(UMLクラス)を含む1つ以上のメタデータ大項目(UML パッケージ)から成る。
 

メタデータパッケージ

本規格では,地理的メタデータはUMLパッケージで表される。各パッケージは1つ以上の中項目(UMLクラス)を含み,これらの中項目は規定されるか(サブクラスにされ),又は汎化され得る。中項目は,メタデータの別個の構成単位を識別する要素を含む。中項目は1つ以上の他の中項目に関係付けられてもよい。中項目は次のことを満たすのに必要なものとして,集約され,繰り返され得る:(1)本規格で述べられる必須の要件;(2)追加的な利用者要件。メタデータは,UMLのモデル図及び各パッケージに対するデータ辞書を使って完全に規定される。
 
 

附属書A メタデータスキーマ

 ここでは地理データを記述するためのメタデータを,統一モデリング言語(UML)の抽象オブジェクトモデルによって定義している。
 

附属書B 地理的メタデータのデータ辞書

 ここで示されるデータ辞書は、6節、および規定扱いの附属書Aにおいて定義されたメタデータの特性を記述する。辞書は、情報同士の関係、および組織を確立するために、階層化されて分類されている。
 

附属書C メタデータの拡張とプロファイル

ここでは、特別な利用者の要求へのより良い答えをだすために、メタデータの追加定義、および適用のための規則を示している。
 

附属書D 抽象試験スイート

ここでは、メタデータに対する抽象試験項目が示されている。
 

附属書 E  ISO 23950規格へのクロスリファレンス

 本附属書の一覧表は,ISO/DIS 23950, Information and documentation-Information retrieval (Z39.50)-Application service definition and protocol specification (ISO/DIS 23950, 情報とドキュメンテーション-情報検索 (Z39.50)-応用サービス定義及びプロトコル仕様)で見つかるコードへのクロスリファレンスを提供する。
 

附属書 F  エッセンシャルメタデータ応用プロファイル

 このエッセンシャルメタデータプロファイルは基本的なプロファイルであり,広範囲の情報コミュニティに適用できる標準化された国際的なプロファイルを提供する。このプロファイルの利用は,情報コミュニティ間の相互運用性を促進するであろう。このエッセンシャルプロファイルは,データセットを文書化するために必要な必須のメタデータとオプションのメタデータの両方を含んでいる。
 

附属書 G  包括的メタデータ応用プロファイル

 包括的プロファイルは,附属書Aで定義されたパッケージ,クラス,属性,及び関係から成る。包括的プロファイルはUMLのメタデータ応用スキーマで提示されている。
 

附属書 H  メタデータ拡張方法論

 ここではメタデータの拡張法に関する、8段階からなる規則が述べられている。
 

附属書 I  メタデータの実装

 ここではメタデータ管理システムの実装に関するガイドラインが述べられている。
 
 

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