地理情報 − 地物カタログ化法(要約)

ISO/CD 15046-10.2(1998年11月9日)


 地物とは、地球上のある地点に関連づけられた実世界の現象であり、データは収集、維持管理され、配布される。地物の型を定義する地物カタログとその関数、属性、地理データとして表現される関係は、データを有用な情報に変えるために不可欠である。そのような地物カタログによって、データの内容と意味はより理解しやすくなり、地理データの利用、配布、共有が促進される。地理データが表現する様々な実世界の現象に対して、データの供給者と利用者が同じ理解を共用しなければ、利用者はデータが自分の目的に合っているかどうか判断することができない。
 規格地物カタログが繰り返し使われることによって、データ収集のコストは削減され、地理データ集合のための製品仕様書は単純化されるだろう。
 国際規格の本パートでは、地理データの集合の中で複雑で多用な実世界現象の分類を体系化し、単純化、抽象化する。地物型のカタログは、豊富な現実の地理を取得することはできないが、データの利用者が容易に理解できアクセスできる形式で、明確かつ精密に、ある抽象的な表現をすることはできる。
 地物は、インスタンスとタイプという2つのレベルで表示される。インスタンスレベルにおける地理的な地物は地理的座標および時間座標と関連づけられた離散的な現象として表現され、ある地理記号によって描画される。これらの個々の地物インスタンスは、共通の特性(地物型)でクラスに分類される。
 

概念と目的

 国際規格の本パートは、地物型の分類が地物カタログに体系化され、地理データの集合の利用者のために表現される方法を規定することを目的とする。前もってカタログ化されていない領域の地物型のカタログを作成したり、既存の地物カタログを標準的なものに修正したりするために適用することができる。
 地物カタログ情報を体系化する標準的な方法は、アプリケーション間の調和または相互運用性を自動的にもたらすものではない。地物の分類が異なる状況において、少なくともその差を明らかにして、それらを無視することから生じるエラーを避ける助けになることがある。また、変域をオーバーラップさせるような既存の地物カタログを含む標準的な枠組みとして用いることもできよう。
 

用語とその定義

地物型
 実世界の現象を共通の特性について分類したもの
地物カタログ
 いかなる地理データの集合と地物関数との間に起こりうる地物型、地物属性、地物関係の定義と記述を集めたもの
地物カタログ要素
 地物カタログの中に出てくる要素
地物カタログエンティティ
 地物カタログの中に出てくる地物カタログ要素のグループ
地物属性
 地物型の特性
地物関数
 地物型の全てのインスタンスに対して、あるいはインスタンスによって行われる演算
地物関係
 ひとつの地物型のインスタンスを、別の同じ地物型かあるいは異なる地物型のインスタンスに結びつける関係
関数型言語
 抽象データ型が型についての演算の用語の中で定義されたり、代数的公理がそれぞれの型についてそれぞれの演算の結果を規定するようなプログラミング言語

引用規格

 ISO 3166-1, 国とその細区分の名称を表現するためのコード- パート 1: 国別コード
 ISO/IEC 11179-3 :1994, 情報工学- データ要素の仕様と標準化- パート 3:データ要素の基本属性
 ISO 15046-4 :199x, Geographic information - パート 4: 用語法
 ISO 15046-15 :199x, Geographic information - パート 5: 適合性とテスト
 ISO 15046-9 :199x, Geographic information - パート9: アプリケーションスキーマのための規則
 

要件

1 地物カタログ

 地物カタログは、地理データの集合の中で、実際の現象を定義する分類によって、抽象化された事実として表現しなくてはならない。地物カタログにおける基本的レベルの分類は、地物型であるべきである。地物カタログは、地物型を含むいかなる地理データの組み合わせのためにも電子的に利用できなくてはならない。
 また、地物カタログは、国際規格の本パートの仕様とともに、いかなる既存の独立した地理データにも応ずることができる。
 

2 地物カタログ情報の編成とその表現

2.1 一般的な要件

a)地物カタログ完全性
 記録と地物分類情報の表現のためのテンプレートに従って用意される地物カタログは、与えられた地理データで見つけられる全ての地物型に対して利用できなくてはならない。地物カタログはデータを構成する全ての地物対応の定義と記述を含む。そのデータは、いかなる地物属性と個々の地物型と関連するデータに含まれる地物関係を含み、データによってサポートされる地物関数を時には含むことができる。
b)名称の形式
 全ての地物型、地物関数、地物属性、地物カタログの中に含まれる地物関係は、地物カタログの中で一意の名称によって識別されなくてはならない。地物型、地物関数、地物属性または地物関係の名称が一度ならず地物カタログに現れるならば、その定義は全て同じものである必要がある。
c)定義の形式
 地物型、地物属性、地物関係の定義と地物関数の記述は、自然言語の中で与えられなければならない。カタログが別の定義ソースを規定しない限り、地物型、地物属性、地物関係の定義はカタログの中に含まれなければならない。同じ用語が定義ソースと地物カタログにおいて現れるならば、地物カタログにおける定義を適用すべきである。

2.2 地物型のための要件

 各地物型は、自然言語や時には科学表記法で使っている関数言語で定義されなければならない。また個々の地物型は、カタログの範囲内の一意の英数字コードとエイリアスのリストによって識別もされる。地物カタログは、それぞれの地物型、地物関数、関連する地物属性も含み、もしあれば地物属性と地物関係にも関係しなくてはならない。地物型を定義するのを助けるために関数言語の仕様の使用が推奨されている。

2.3 地物関数のための要件

 地物型の定義は、地物関数を含むことができる。その地物関数は、その上で実行できる地物型の関数を含む。地物関数が規定されるならば、与えられた地物関数によって遵守されるか影響を受ける地物属性もまた、規定されなければならない。

2.4 地物属性のための要件

 もしあるなら、地物属性は一つ一つの地物型に識別され、定義されなくてはならない。定義は、自然言語の定義と、属性の値のための規定されたデータ型を含まなくてはならない。それぞれの地物属性は、カタログの範囲内で一意である英数字コードによっても、識別することができる。

2.5 地物関係のための要件

 もしあるなら、地物関係はそれぞれの地物型により識別され、定義されなくてはならない。それぞれの地物関係は、カタログの範囲内で一意である英数字コードによっても、識別することができる。影響を受ける地物型のために、地物関係によって影響を受けるいかなる地物属性でも識別されなくてはならない。
 
 

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